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カテゴリ:Ⅰ.手や目を使う基礎を整える教材

213 星の形の型はめ(大)

これまで〇、△、□。それぞれの大小。並び方の違いといったさまざまな型はめを紹介してきました。型はめパズルは市販品をよく見かけますが、「形が複雑すぎる」「枠が浅くて『入れた』感覚がつかみにくい」「選択肢が多すぎる」といったことから子どもにとって難しい課題になっていることがあるようです。ですので、一旦「〇だけ」「1つだけ」「深い」型はめに立ち戻り、丁寧に子どもの学習を整えていきます。

 今回紹介するのは、星の形です。ここでは型はめのペグの形について紹介しますが、型はめのペグの難易度は、「〇」「△□のような正多角形」「ハートのような左右対称の図形」「左右非対象の図形」といった順で難しくなっていきます。楕円などは〇と正多角形の間に入るでしょうか。

星の形も正多角形の仲間で、星型正多角形となります。△や□もそうですが、それぞれの角に区別がないので、ぐるぐると回しているうちになんとなく枠にはまるということがあります。また、表裏の区別もないので、子どもがあれこれと試しているうちに裏返ってしまった、ということもありません。複雑な形に進む前に、順を追って学んできます。

また、型はめのペグは形も重要ですが、その大きさも重要となります。小さいペグだと指先での操作となりますが、今回紹介したものは約10センチの大きさになります。このくらいの大きさになると、自然と子どもの手首の動きが引き出されてきます。

学習の目的に応じ、教材の大きさも調整していきます。

(本校支援部)

207 ボール落とし(5連)改造版

206で紹介したボール落としの改造版になります。ボールを落とした先にシロフォンを敷き、♪コロンコロンと綺麗な音が鳴るように工夫されています。「ゴトン!」と大きな音を立ててボールが落ちるのもわかりやすいのですが、得意な音、苦手な音も子どもそれぞれに異なります。

 

今回の教材は越陽祭の学習発表の中で使われたものです。ちょっとした工夫で、子どもが自分自身で楽器を演奏することができます。

 (本校支援部)

206 ボール落とし(5連)

176や177において、「ビー玉落とし」の教材を紹介しました。子どもにとって活動の終わりがわかりやすく、手の動きを引き出しやすい教材なのですが、なにぶんビー玉が小さくて、かなり細かい指先の動きを必要としました。

今回紹介するのは、「ボール落とし」です。教材の作り方は「ビー玉落とし」と同じなのですが、ボールは直径45㎜のもの(「くるくるチャイム」で使用されているもの)を使っています。ビー玉落としと異なり、指先の力を必要とせず、手全体で押し込むことができます。

 

 

 

 

 

 

また、ゴムの貼り具合により、微調整することも可能です。ゴムをたくさん貼り、落とす際の「手ごたえ」を強調することができます。また、ボールが落ちるか落ちないかのギリギリの状態にし、子どもの手がボールにあたっただけで落ちるようにすることもできます。

 

 

 

 

 

 

子どもにとって自分の手の動きとその結果(因果関係)がわかりやすく、活動の目的(終点)もわかりやすいため、非常に意欲的に取り組める教材になります。次のボールへ、次のボールへと手を伸ばす中で、自分の身体の中央(正中線)を越える手の動きを目指していきます。

(本校支援部)

204 ボール入れ 平面 枠あり 方向づけあり(長い距離)

前回紹介したものの続きとなります。前回紹介した教材は、ボールを転がし始める位置(運動の始点)からボールを落とす位置(運動の終点)までの距離が、およそ20センチでした。今回紹介しているものはその倍、約40センチの距離になっています。「距離が倍になっている」ということは、ボールを転がすという運動を2倍、持続させる必要があります。距離が伸びたということは、時間的にも運動を持続させる必要があるということです。また、「ここまでボールを転がしていく」という見通しについても、20センチの時よりも40センチの方が難しくなります。

 

 

 

 

 

 

これは距離が伸びれば伸びるだけ難しくなりますし、方向転換などが伴えば、さらに難しくなります。なお、作成にあたっては2つの箱をそれぞれ切断し、連結しています。中に入っているのはA3の板(45センチ×30センチ)を横に長く切ったものを、5枚重ねたものです。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

203 ボール入れ 平面 枠あり 方向づけあり

186や、前回に紹介したボール入れと同じ要領で作成されている箱入りのボール入れの教材ですが、それぞれ目的がだいぶ異なります。

 

 

 

 

 

 

これまで紹介してきたものが「入れることを学ぶ」ための教材、「並べることを学ぶ」ための教材だとすれば、今回は「方向づけることを学ぶ」ための教材となります。

 

 

 

 

 

 

の大きな穴があります。ボールを落とすためには、大きな穴がある方向に向けて手を動かす必要がありますし、持続して動かし続ける必要があります。

これが例えばスイッチ教材などであれば、そのボタンをその場で、一瞬触ればよいかもしれません。しかしこの教材の場合は、特定の方向に向けて操作し続ける必要があります。運動の持続が求められるわけです。このあたり、「ボール入れ」の教材ではあるのですが、「輪抜き」などと目的が重なるものになります。そして輪抜きの場合は腕を持ち上げる必要がありますが、ボール入れにすることで、子どもの負担が少なくなります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

202 ボール入れ 平面 枠あり 2連/3連

186で紹介したボール入れの続きになります。百円均一で売っている箱を塗装し、その中に箱の内径のサイズに切ったMDF板を5枚重ねて入れています(深さは25ミリ)。使用するボールが45mmですので、このくらい深いと「穴に落ちた」ということを、子どもが実感しやすくなります。

 

 

 

 

 

 

何度か紹介してきましたが、筒へのボール入れのように「縦に連続して入れる」のと、「横に並べて入れる」のとでは、横に並べて入れる方が圧倒的に難しいです。

 

 

 

 

 

 

また「横に並べて入れる」となると、円柱状のペグ(前回201「アクリル棒さし(大)」で紹介したもの)を横に並べて入れる、金属製のリベットを並べて入れる、木工用のダボを並べて入れる、といった教材を見かけます。しかし、それら「長いもの」は子どもの手の中で扱いにくいことがあります。だからこそ練習のために取り組むことがあるのですが、ここでは手にスポリとおさまる、球を使っています。

しかし球だとゴロゴロと転がっていきかねません。そのため、箱の中に教材を固定することで、子どもが活動しやすいよう、子ども自身が工夫しながらやりきることができるようにしています。

(本校特別支援教育コーディネーター)

201 アクリル棒さし(大)

11で紹介した「アクリル棒さし」の別バージョンとなります。アクリルの棒を入れる面をあえて広く取り、目と手の学習が深まるようにしています。使っているアクリル棒は、白が直径25mm長さ50mm。黒が直径15mm長さ50mmです。こういった特定のサイズのものは市販されていないので、業者に発注しています。→詳しくはお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

なお、ここでは太い棒を白、細い棒を黒というようにサイズごとに色を分けています。色の違いに気づきかけている子は、それが太さを見分けるヒントになります。

一方、子どもに合わせて難易度を調整していこうとすると、「難しくするのであれば」すべての棒を同じ色にするということが考えられます。また「易しくするのであれば」太い方だけ先に渡す(細い棒の穴には入らないのでミスがなくなる)、一本ずつ手渡す、といったことが考えられます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

200 野菜の水切り

この「本校の教材教具」コーナーも、ついに200回目を迎えました。200回目ということで紹介するのは、「野菜の水切り(サラダスピナー)」です。機械の目的外の使用になるのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

野菜の水切りの中には、子どもの好きなフィギュアなどを入れます。そしてボタンを押し込むと、フィギュアがぐるぐると回っていきます。意外なくらい、子どもが興味を持って活動することの多い教材となります。

子どもの目の使い方は、「動きや光」などを受け止める『周辺視』から、「色や形(いずれは文字や数)」を見分けていく『中心視』へと発達していきます。この野菜の水切りの活動は、そのうちの周辺視に焦点をあてたものです。詳しくは、「62ハンドスピナー」の記事をご確認ください。また、目の使い方の学習であると同時に、「押す」「動く」という因果関係の学習ともなります。

 

 

 

 

 

 

なお、野菜の水切りにはハンドルを回すタイプもあります。この辺だと、肘を中心とした身体の動かし方の学習ともなってきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

198 横に長い輪抜き

これまで「4」「73」「159」「160」回で『輪抜き』の課題について取り扱ってきました。それらのほとんどが縦方向の輪抜きでしたが、子どもによっては横方向の方が手を使いやすい、という場合もあります。今回紹介するのは、横方向の輪抜きです。

 

 

 

 

 

 

この写真のように、縦方向の輪抜きは、使う棒を高くすれば高くするだけ高くなります。ある程度土台を作ってしまえば、安定感もでます。しかし、横に長くしていくと、そうはいきません。棒を伸ばすと、重心がずれて、簡単に倒れてしまいます。倒れないように大人が支えていれば大丈夫かもしれませんが、できれば子どもが自分の力でやりきってほしいところです。そこで、ここでは土台となる木に棒を貫通させ、横の長さを調整できるようにするとともに、伸ばした方と反対側に重りをつけることで、倒れないようにバランスをとれるようにしてあります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

196〇だけの型はめ(大)

178で「〇だけの型はめ(小)」を紹介しました。今回紹介するのは、「〇だけの型はめ(大)」になります。「小」「大」と言っていますが、「小」が直径40ミリ、「大」が直径80ミリです。こういった極端にシンプルな教材はまず市販されておらず、自作する必要があります。

ペグの直径が倍になると、体積や重さは大きく変わります。子どもにとっては小さい方がやりやすいかもしれませんし、逆の子もいるでしょう。

 

 

 

 

 

 

さらに、ペグの厚みの違いによっても、子どもの達成度は変わってきます。ここでは10ミリ、20ミリ、30ミリを用意しています(厚さ10ミリの板を1~3枚重ねて塗装)。大きくて薄い、小さくて厚いなど、どれが子どもの手になじむかはケースバイケースです。どの教材にも言えることですが、一人一人の子どもに合わせていきます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)