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カテゴリ:Ⅱ.見分ける学習の教材

96 位置把握の教材(ステップ可変)

⑬でも紹介した位置把握の教材です。図形の合同や相似の見分け、黒板を見て書き写すこと、文字や数量を見分けることなど、さまざまな学習の基礎となっていきます。およそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』として用いることを想定しています。

 

筋疾患があるなど、「教材を持ち上げにくい」子供のために作成してある教材です。各種ペグを「すべらせて」入れることができるようになっています。土台の枠、色の台紙、上の枠という3つのパーツからなります。85や87の教材の、磁石を省略してあるようなものです。作成方法はほぼ同じになっています。

 

 

百円均一のMDF材(A3サイズ)を材料としており、土台の枠はそれを半分に切ったもの(A4サイズ)を使用しています。また、上の枠はさらにそれを半分に切ったもの(A5サイズ)です。

 

 

 

 

 

 

上の枠と台紙を交換することにより、難易度を加減することができます。たとえば、上の枠を交換して選択肢を減らすことで、難易度を下げます。

 

 

 

 

 

 

逆に、オールカラーだった台紙を「白黒」あるいは「黒一色」に変更することにより色というヒントをなくし、難易度を上げます。このように難易度を加減する中で、今の子供にとってちょうどよい難易度を保っていきます。

 

 

 

 

 

 

上の枠の交換で、数量の学習や、弁別用、形態構成の枠といったことに用いることもできます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

78 磁石の両極を活用した「種類」の弁別教材 その2

前回の続きとなります。30ミリの面取りドリルを用い、ボール盤でランダムに穴を開けていきます。ここでは8か所に開けています。

 

 

 

 

 

 

もう一枚の板を重ね、先ほど30ミリで開けた穴のところに、今度20ミリの面取りドリルで穴を開けていきます。要は、重ねた板の同じ位置に穴を開けるということです。

 

 

 

 

 

 

20ミリの穴を開けた板と、まっさらな板とを貼り合わせます。そして20ミリの穴に強力磁石を固定していきます。この時、磁石のS極とN極の向きを調整します。

 

 

 

 

 

 

ラミネイトした紙を間に挟んだうえで、30ミリの穴を開けた木が一番上になるように貼り合わせます。最終的に、板は3枚重ねとなります。磁石に百円均一の店の立体シールを貼り付けて完成となります。これで、「違うところに磁石を置こうとしても、反発するので置けない」教材が完成します。76の色のマッチングの教材もそうですが、2択までならこのやり方で表現することができます。子供が間違えたときに、教材そのものが間違えたことを教えてくれます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

77 磁石の両極を活用した「種類」の弁別教材 その1

前回とほぼ同じ作り方の教材です。前回は色のマッチング用でしたが、今回は種類の弁別用のものを作成していきます。『Ⅱ見分ける学習の教材』として想定しています。

 

材料を購入します。材料として適切なのは、質のほかに、「安価であるもの」「同じものが継続して手に入るもの」になります。特に「同じものが継続して手に入る」というのは重要で、同じ材料を使って教材を作っておくと、「別の目的で作ったこの枠に、この教材が入った」など、予想外の互換性が出ることがあります。

 

今回購入したのは「MDF板(A3サイズ)」「磁石(8個入り)」「各種シール(今回は虫と食べ物)」あたりです。その他、「ボンド」「ドリルの刃(20mm,30mm)」「電動糸鋸」「ボール盤」「ラミネイトフィルム」「ラミネーター」などを使用します。

 

 

 

最初に、磁石のS極とN極を入れ替えます。磁石はかなり強力なテープで枠に固定されているので外すのが大変なのですが、ゆでるとテープが剥がれます。ただし、ゆですぎると磁石の枠がゆがんでしまうので、加減が必要です。70度程度のお湯で、数分ゆでると外れるようです。製品によっても異なるかと思いますので、ご確認ください。

 

 

 

 

 

 

磁石についていたテープのねばねばをシールはがし等で落とします。そして磁石の表裏を入れ替え、接着剤で再固定します。これで磁石の準備が完成となります。また、A3サイズのMDF板を適切なサイズに切ります。今回はA4で使っていくので、半分にします。

 

種類の表札を作成します。10センチ四方のMDF板を半分に切って使用しています。印刷した紙をスティックのりで仮止めし、周囲を梱包用テープで巻きます。①の形態構成と同じ作り方です。表札のサイズに、板をくり抜いていきます。その他の教材にも共通するのですが、ドリルで穴を開けたうえでそこに電動糸鋸の刃を通し、くり抜いています。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

76 磁石の両極を活用した「色」のマッチング教材

百円均一のお店で売っている磁石を、同じ色の枠にはめこんでいく教材です。『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。サイズとしてはA4大で、A3大のMDF板(中密度繊維版)を半分に切って使用しています。

 

 

 

 

 

 

一見すると特に特徴のない教材に見えますが、この教材は実物を触ってみることで「あれ?」と子供が小首をかしげるようにできています。同じ色の枠には磁石が貼りつくけれど、異なる色の枠には絶対に入らないのです。「失敗することのない」教材になっています。そうするために、磁石の中身を一回取り外し、S極とN極を逆転させるということを行っています。次回、作成法を詳しく紹介します。

 色の学習の中でこの教材を使うのは、㉔「カラーコーン重ね」の次くらいのステップになります。同じ色を一か所に積み重ねていく「カラーコーン重ね」とこの教材だと、こちらの難易度の方が高いです。ただ、手指の操作といった理由で、こちらの方がやりやすいという子供もいることでしょう。一人一人、違ってきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊺弁別のステップ(その1)

同じ内容の同じ教材教具を使っていたとしても、弁別のやり方によって学習の難易度は大きく変わってきます。このあたりはおよそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。

 

最初のやり方は、『分ける』ことです。これは「パターン弁別」ですとか、言語療法の世界では「ふるい分け」だとか呼ばれることがあります。子どもの手元に型はめなどのペグがあり、向こうに枠の選択肢があります。もっとも一般的な学習の形となるでしょう。いわば、形を『見分けて』います。

 

 

 

次のやり方は、『選択する』ことです。これは「対応弁別」ですとか、言語療法の世界では「選択」だとか呼ばれることがあります。手元に〇△□といった複数のペグがあり、向こうに1つだけ枠の選択肢が提示されます。この場合、いわば形を『見比べて』います。

 

 

 

この両者は実際に体験してみるとわかるのですが、圧倒的に後者の『選択する』ことの方が難しいです。理由としては、『選択する』ためには教員が「これを選んで」と選択肢を見せるまで待つ必要があること(見て待つ姿勢)。その選択肢を一時的に記憶したうえで選ぶ必要があること(視覚性の短期記憶)。教員が提示したものを選ぶ必要があること(相手に応じる力)。視線の動きが『分ける』際よりも複雑になること、等があります。 

 

教材をどうやって置くか? というただそれだけのことなのですが、子どもにとっては学習の難易度が大きく変わります。教員は、その都度学習を難しくも簡単にもし、子どもにとって程よい難易度を保っていきます。 

 

参考文献:矢口養護学校小学部「“S‐S法”によることばの遅れとコミュニケーション支援」明治図書出版

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊵再生と再認の違い(「これはなに?」と「~はどれ?」の違い)

カードだけでなく、すべての学習に通じることになりますが、例えば「これは誰?」と聞かれてその人の名前を言うことと、「~はどれ?」と聞かれて何人かの中から選ぶこととでは、難易度が大きく変わります。圧倒的に、「これは誰?」に答える方が難しいのではないでしょうか。このあたりはおよそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』にかかってきます。

肖像画があり、

 

 

 


「この人は誰?」と聞かれて答える(再生)のは難しいと思いますが

 

 

 

 
「ルイ13世はどれですか?」に答える(再認)だったらどうでしょうか。だいぶ難易度が下がったはずです。

 

子どもの学習も同じようなステップをたどっていきます。りんごとばななであれば、

・りんごとばななを分けることができる <弁別>

・「りんごはどれ?」と聞かれて選ぶことができる <再認>

・「これはなに?」と聞かれて「りんご」と言うことができる <再生>

といった具合です。色の学習などでも同様で、

・赤と青を分ける <弁別>

・「赤はどれ?」で選ぶ <再認>

・これは何色?で「赤」と答える <再生>

 

 

 

 

 

 

と進んでいきます。色などでは、さらに「赤い色にはどんなものがある?」「他にはどんな色がある?」などとも発展していきます。なお、身体の動かし方が苦手な場合、発語が苦手なこともあります。その場合、どうしても物の名前を言うことが困難になるのですが、そんな時には、例えば文字を入力して答える、身振りで答えるといったように、様々な表現手段を工夫していくことになります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊳名詞での弁別のカード(マッチングでの弁別と代表性の弁別)

以前、㉚から㉜にかけて絵カードの作り方を紹介しました。「名詞」「色」「形」「大きさ」「速さ」「種類」など、様々な観点で弁別するためのカードでした。それらの中でも、最初に使いやすいものが、名詞レベルでの弁別のカードとなります。「りんご/りんご/りんご」「ばなな/ばなな/ばなな」など分けていきます。およそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 
 その名詞レベルの弁別ですが、大きく分けて2種類があります。まったく同じ絵を分ける弁別(マッチングでの弁別・左写真)と、同じ「りんご」「ばなな」であったとしても、異なる絵柄の絵を、同じものとして分けていく弁別(代表性の弁別・右写真)です。言葉にしてしまうとどちらも「りんごとばななの絵を分けている」のですが、難易度としてはかなり変わってきます。右のほうが、圧倒的に難しいです。

 

 

 

 

 

 
 また、この後の発展として、「種類の弁別」につなげていくといったことがあります。先ほどまで別のものとして扱っていたりんごとばななを、今度は「くだもの」として、同じものとして扱っていきます。「りんごとばなな」は、名詞としては別だし、種類としては同じ、色は別、形も別、などなど。こんな風に、自在に視点を切り替えながら弁別することを通して子どもは頭の中を整理していきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

 

㊲重さのある〇△□の型はめ

今回紹介するのは、本校の教員が作った「〇△□の型はめ」です。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』、あるいは『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 


 大小それぞれ6色ずつがあります。ボール盤で木の半分の厚さだけ直径20ミリの穴を開けており、そこに強力磁石を入れることで重さと、磁力を追加してあります。そしてそれを貼り合わせることで型はめ用のペグとなります。

基本は小△25g 小□32g 小〇27g。大△102g 大□125g 大〇115gとなっており、最も重くしてあるもので△180g □220g 〇210gとなります。これだけ重くなると、子どもとしても「自分が教材を操作している」という実感を持ちやすくなります。また、枠の方には鉄板(ホワイトボードを解体して再利用)を入れてあり、「はまる」だけでなく磁石で「貼りついた」ことでも「できた」ということがわかりやすいようになっています。

なお、〇と□の木はホームセンターなどでも手に入りやすいのですが、正三角形の木は、なかなか手に入りにくいです。ほとんどが四角形を半分に切った直角三角形になっているためです。インターネット上で取り扱っているところもありますので、本校コーディネーターまでお問合せください。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

㉙市販の型はめの応用 その2

今回紹介するのも、市販のパズルを改良したものです。『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。

 

元々の教材は9つの図形の型はめなのですが、選択肢が多すぎるうえに枠が浅すぎ、手指が使いにくい子にとっては「はまった」という感覚がわかりにくくなっていました。そこで、ペグの形でMDF板をくり抜き、程よい選択肢の数に調整したうえで、枠の厚みも調整してあります。なお、土台を色分けすることで、分かりやすいようにもしてあります。

 

 

 

ただ、教材というのはわかりやすければよいというものでもありません。子どもができるようになれば、難しくしていきます。その際、色んな方法があるわけですが(選択肢を増やす等)、ここでは土台に入れてあった色を入れ替える、ということをしています。土台の色とペグの色が一致しなくなっているので(土台が紫なのにペグは赤)、子どもは「あれ?」と考えることになります。

 

 

ちょっとした工夫で、教材の難易度を下げることもできれば、上げることもできます。それらの調整を通し、子どもが「少しだけ頑張ればできる」というところで難易度を保っていきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

㉘市販の型はめの応用 その1

今回紹介するのは、百円均一のお店で売っているジグソーパズルを、手指が使いにくい子が操作しやすいように改良したものです。『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。

 

市販のジグソーパズルは「この絵がいい!」と思ってもピース数が多すぎたり、紙が薄すぎ・軽すぎたりして使いにくい…ということがあります。そこで、ここではMDF板にジグソーパズルを貼り付けたうえで、5~6分割程度に電動糸鋸で切りなおしています。結果、パズルのピースが厚く・重くなって操作しやすくなるうえ、ピース数を調整することにより、パズル自体の難易度も調整することができます。

 

 

また、くり抜いたMDF板がパズルをはめる枠になるため、活動の終点(目的)がわかりやすくなるというメリットもあります。市販の玩具や教材は、そのままだと使いにくくても、ひと手間加えると便利な教材に生まれ変わることがあります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)