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カテゴリ:Ⅲ.言葉やイメージを広げていく際の教材

㊸細部視知覚と全体視知覚

たくさん手を使って教材を操作していくことが、目を育てることにつながっていくということを繰り返しお伝えしてきました。周囲を見る力が高まる中で、子どもは興味関心をさらに高め、自ら動こうとする気持ちも育ちやすくなっていきます。その「見る」力ですが、大きく2つの視点で分けることができます。細部視知覚と、全体視知覚です。このあたりはおよそ、『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。

 

細部視知覚というのは、細かく見分けていく力のことです。「バナナとミカンの違い」「武蔵野線と伊勢崎線の違い」「漢字の『薔薇』と『嗇徴』の違い」といったことです。人の表情を見分けること、「『あ』と『め』の違い」を見分けること、数字・数量を見分けることなど、さまざまな学習の基盤となる重要な力となります。本校では、①パズルだとか、㊳様々なものの弁別だとかを通して学習していっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、全体視知覚というのは全体を捉える力、物事の関係性を捉える力となります。左の写真で「お母さんが笑っている」とわかるのが細部視知覚だとしたら、右の写真で同じ表情であるとしても、それが「笑顔のようで、実は心底怒っている」とわかるのが全体視知覚となります。この辺りが育ってくると、周囲の状況を捉える力も高まり、人と関わっていくことがより上手になっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体視知覚を高めるために、ということでいくつかの教材があります。水滴の位置によって「汗」ともなれば「雨」とも「涙」ともなる教材。状況を読み取って、必要なものを選ぶといったプリントなどです。細かいステップを刻みながら、子どもたちは学んでいきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

参考文献:宇佐川浩「感覚と運動の高次化からみた子ども理解」学苑社

㉟立体トランプ

今回紹介するのは、立体のトランプです。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

トランプやウノといったカードゲームは楽しいものですが、なにぶん、肢体不自由の特別支援学校に通っている子どもたちは手が使いにくいことが多く、なかなか平面のカードは扱いにくいという現状があります。そのため、百円均一のお店で売っているトランプを1センチ厚のボード(これも百円均一のもの)に貼り付け、子どもが持ちやすいように改造しています。また、そのままではカードがばらけてしまうし、軽すぎて扱いにくいので、磁石を内蔵しています(百円均一の強力磁石を2枚入れる)。

なお、図版は市販のままだと子どもに親しみにくいことがあり、オリジナルのものにしています。スペード、クローバー、ハート、ダイヤをキャラクターに変更したほか、数字をひらがなに変更したものも作っています。

 

磁石を内蔵する方法については、磁石のサイズにカッターでボードをくり抜き、そこに磁石を押しこんでいます。そのうえでセロテープで磁石が動かないように固定し、トランプの両面でボードをはさみこみ、その周囲を梱包用テープで巻きます。なお、梱包用テープですが、百円均一のものよりも、ホームセンターで売っている一巻き300円くらいするものの方が取り扱いやすいようです。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

教材紹介㉓「色と形以外のマトリクス」

今回紹介するのは、②で紹介した二次元属性分類(マトリクス)のバリエーションとなります。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「重さ」「数量」「大きさ」「硬さ」「季節」「種類」など星の数ほども属性がある中で、多くの子どもにとって最も気づきやすいのが『色』と『形』であるのは②で紹介しました。マトリクス(二重分類)という教材は特定の2つの属性を組み合わせて表を作っていくものになります。ですので、取り扱うのは色と形だけではありません。例えば、ということでここで紹介しているのは「名詞×動詞」「色×大きさ」「形×数量」「種類×陸海空」となります。これらの組み合わせは、ほとんど限りがありません。

子どもたちはこうやっていくつもの属性を組み合わせ(総合)、あるいは「りんご」といった具体的なものから『あか』『まる』『くだもの』といった属性を抜き出し(分析)、考えを深めていきます。「数量」などは子どもにとって特に気づきにくい属性であるため、色、形、大きさ、高さ、長さ、多さなど、比較的気づきやすい属性から取り扱う練習をしていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター) 

教材紹介⑮「見立て模倣板」

今回紹介するのは、見立て模倣板です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として使っていきます。

 

「イメージを育てる」といっても、具体的にどういう学習をするとイメージが育つのでしょうか。例えば、ということで紹介するのがこの見立て模倣板です。淑徳大学発達臨床研究センターの教材を参考にし、百円均一の店舗のMDF材を切り抜いて作成しました。

 

 

 

下の写真をご覧ください。これを子どもが前にしたとき、どうするでしょうか? 最初はさわったり、口で確かめたりして、「それがそこにあるということに気づく」という時期があります。そしてそれらを十分に行う中で、触らなくても見ただけで「それがそこにあることがわかる」ようになっていきます。さらには、最初は木そのものとして扱っていますが、時と場合によって、同じ木が『鏡』に見えたり、『ラケット』に見えたり、『フライパン』に見えたり…。木という具体物の向こうに、イメージを持てるようになっていきます。

 

「イメージを広げる」というと漠然としていますが、段階を追って、具合的な教材を通して学ぶことでも子どもたちは力をつけていくことができます。こうやって身につけた見立てる力、模倣の力などを通して、子どもたちは絵本を見立てて遊ぶといった応用的な学習にも向かっていくことができます。

(本校特別支援教育コーディネーター)