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カテゴリ:Ⅳ.文字や数を身につける際の教材

132時計の教材

基本的には「時刻」を示すのが時計です。時計にはアナログ時計とデジタル時計とがあり、時刻を知るためだけであれば、デジタル時計で十分です。数字さえ読めれば時刻を読むことができます。わざわざ難易度の高いアナログ時計を学ぶ必要はありません。しかしなぜアナログ時計の学習をしていくかというと、「あと〇分」「〇分経ったら〇時になる」といった「時間」を知るためには、デジタル時計よりもアナログ時計の方がわかりやすいからです。時計の針の動きで、「時間」の量を知ることができます。

 

 

 

 

 

 

時計の教材としては、様々な物が市販されています。いわゆる「算数セット」の中に入っていることも多いでしょう。それらの教材の構造も様々なのですが、身体の動かし方が苦手な子供の場合、「歯車を動かす」タイプよりも、「針(長針)を動かして操作する」タイプの方が扱いやすいことが多いようです。また、それでも操作が難しい場合、枠を作って教材を固定するといった支援が考えられます。主として、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

131カラーバールーペ

身体の動かし方が苦手な子供の中には、目の使い方も苦手である、という子供がいます。すると算数科の内容が積み上がりにくいというのはこれまでも紹介してきた(「130棒と木枠での5と10の合成と分解」等)ところですが、国語科の内容についても習得が難しくなっていきます。具体的には、学習の流れに目の動きがついてきにくく、「文末を自分で作って読んでしまう(勝手読み)」「行や列を読み飛ばしてしまう」といったことが起こってきます。当然ながら、文や文章の意味を理解し、考えることが難しくなっていきます。

 

 

 

 

 

 

今回紹介するのは、そういった「行(列)飛ばし」を予防するための教材です。全体が透明であるために前後の行(列)とのつながりが見えやすく、また、適度な重みがあるために手が使いにくい子供にとっても扱いやすくなっています。ルーペとしての機能もあるため、中心部が大きく見える、というのも特長です。主として、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

130棒と木枠での5と10の合成と分解

「数の合成と分解」は算数の学習の、非常に大きな基礎となる内容です。「5を2と□に分ける」「2と3で□になる」。これらを頭の中で自由自在に思い浮かべ、操ることができてはじめて足し算や引き算を使いこなしていくことができるようになります。「数の合成と分解」の理解が十分でないと、計算にあたって指を使ってしまうというようなことになりがちです。

数の合成と分解の理解にあたっては、小さいころからおもちゃなどを使ってたくさん遊んだり、砂場で砂を分けたり、合わせたりした経験が土台となっていきます。また、目で空間を捉える力も重要になっていきます。身体の動かし方につまずきがある子にとってはその両方ともが育ちにくく、結果、数の合成と分解の理解が難しい、さらには算数科の内容の習得全体に影響してくる、ということがあります。

 

 

 

 

 


今回紹介するのは、5と10の合成と分解について、「長さ(連続量)」に置き換えることで直感的に捉えることができるようにしている教材です。長さの棒は市販品で、枠だけを教員が作っています。

「2と4で『5』になるのか?」「5と4で『10』になるのか?」といったことを、「枠にはまる/はまらない」「空間が余っている/ピッタリ」といったことで、手ごたえで確認することができます。主として、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。

128ひらがな学習用の枠

「126線学習用の枠」では、円、三角、十字といった、様々な線の学習に向けての教材を紹介しました。今回は、それらの線の学習の総決算、ひらがなという複雑な線を捉えるための教材を紹介します。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。

ここでは、「り」と「よ」という2つの文字があります。どちらの文字の方が捉えにくいのか、ということだと、これは「よ」の方が難しいという子供が多いでしょう。「り」は2本の線がそれぞれ独立していますが、「よ」は同じく2本の線でできているものの、2本の線が一点で接し、さらには途中でぐるりと回る中で交差していきます。

 

 

 

 

 

 

他にも、「あ」「め」「ぬ」「す」「れ」「わ」「ね」など、子供が捉えにくいひらがながあります。これらの複雑な線による文字は「字を見る」だけではなかなか捉えることが難しく、「書く」こと等を通して学んでいくことになります。しかし、身体の動かし方が難しい子どもたちにとって、「書く」ことこそとりわけ難しいことになります。立体的な枠を使い、最初は「指を使ってペグを移動させる」ことから始め、「棒を使ってペグを移動させる」など、書くことへ向けた学習を進めていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

118お金を数える/支払う教材

子供にとって身近なお金は硬貨であり、硬貨は6種類あります。1円玉、五円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉です。なお、五円玉だけは漢数字しか書いていなくて、算用数字の表記がないため、子供が戸惑いやすいことに注意が必要です。そのため、学習に使用する五円玉に算用数字の「5」をシールで貼ってわかりやすくすることがあります。今回紹介するものはお金の桁をそろえるためのもので、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

MDF板に3か所の穴を開け、ラミネイト加工した黒画用紙を挟んだうえで、もう一枚の板で底をふさいでいます。また、500円と100円玉、50円と10円玉、五円と1円玉がセットになるようにイラストをつけています。

 

使用方法としては、

・硬貨の弁別を行う

・硬貨を数える

・教員が取り出してみせたのと、同じだけの硬貨を取り出す

・〇百〇十〇円、といったように教員が言っただけの硬貨を取り出す

・おつりが出にくくなるように硬貨を取り出す

といったことが考えられます。

実際のところ、身体の使い方が苦手な子供たちが、お店で硬貨を出すという場面は想定しにくいところがあります。財布をそのままお店の人に渡す、お札だけを出す、クレジットカードやプリペイドカードを使用するなど、様々な会計の仕方があるでしょう。どんどんとキャッシュレスの時代になってきています。

一方で、スマートフォン上の数字だけを見ていてお金の量的な感覚が身につくのか? 「あのお菓子なら2個、あのお菓子なら3個買える」「あと〇円であのおもちゃが買える」だとか、そういった感覚が身につくだろうか? という疑問もあります。

硬貨を始めとする現金を扱うことは今後の時代の中で少なくなっていくのかもしれませんが、学校の中でじっくりと、その扱いになじんでおくことは必要なのではないでしょうか。

(本校特別支援教育コーディネーター)

116接続詞の学習用教材

「が」「を」「に」といった助詞が文レベルの学習だとすれば、「なぜなら」「だから」「しかし」といった接続詞は文と文をつなぐもの、すなわち文章レベルの学習となってきます。「113構文の学習用教材」で紹介しましたように、子どもにとって助詞を正確に理解するということはかなり難しい学習となります。接続詞は、さらに難しくなってきます。

次の文章は、実際に子供が書いたものです。

「おけしょうしたら おひめさまになれるのよ『でも』おひめさまになって プリンセスになるよ」

子供としては、おそらくは『だから』という意味で『でも』という接続詞を使っているのでしょう。この辺りは教えてあげたいところですが、ではどうやって教えていくか、となるとなかなか難しいところです。今回紹介するものは、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

2つの文を読み上げ、間に入る接続詞を選択していきます。文だけでは十分に状況をイメージしきれない場合、絵を見て確認していきます。「くじらはおおきいです。〇〇〇、ぞうもおおきいです」「くじらはおおきいです。〇〇〇、きんぎょはちいさいです」。非常に繊細な言語感覚ですが、できるだけ状況を目に見えるようにしたうえで学んでいきます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

114栄養素のマトリクス

マトリクス(属性分類の表)は基本教材であるため、「②二次元属性分類(色と形のマトリクス)」「㉓色と形以外のマトリクス」「㉕三次元属性分類(マトリクス)」で紹介してきました。マトリクスは「色と形だけではない」というのはこれまでもお伝えしてきたのですが、今回は中学校の家庭科の授業における活用例を紹介します。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

マトリクスというと基礎教材という印象がありますが、ここでは様々な栄養素を分類していくのに使っています。同じ学習を紙と鉛筆で「書く」ことでも行うこともできますが、こうすることで、子どもにとって負担を少なくして学ぶことができます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

113構文の学習用教材

「~が~を~する」といった、助詞を使って文を組み立てる学習があります。助詞の理解というのはことのほか子供にとって難しく、わかっているようでいて、実は正確には理解できていない、ということがあります。たとえば、「りんご」「いるか」「たべる」といった言葉を使ってできる文には

・A いるか が りんご を たべる(語順通りで、あり得ること)

・B りんご が いるか を たべる(語順通りで、あり得ないこと)

・C りんご を いるか が たべる(語順が逆転し、あり得ること)

・D いるか を りんご が たべる(語順が逆転し、あり得ないこと)

といったものがありますが、これらのうち子供が理解しやすいのは一番上のAの文です。実際のところ、子供がBやC、Dの文を聞いたり読んだりしても、Aの内容として理解していることがあります。

構文の理解、正確に助詞を理解するということは非常に難しく、丁寧に学習していく必要があります。今回紹介するのは構文を理解していくための教材の一つで、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。

 

 

 

 

 

 

単語ブロックは3×9×1.5センチの木片に、磁石が内蔵されているものです。「が」「を」「に」といった助詞ブロックは3×3×1.5センチです。単語ブロックや助詞ブロックを並べていく枠は、A3大のMDF材をカットしたものです。単語3つ、助詞2つが入るようにくり抜いてあります。また、ホワイトボードを切ったものを内蔵していて、単語ブロックや助詞ブロックが貼りつくようになっています。

 

 

 

 

 

 

この教材を用い、

・教員がぬいぐるみ等を動かしたのを見て、子供が文を作る

・教員が作った文を読んで、子供がぬいぐるみ等を操作する

といった学習を行っていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

111文字入力装置の改良

⑫「トーキングエイドライト」でも紹介した文字入力装置です。今回は、それらの機器を使っていく際の工夫を紹介します。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。

文字入力装置は、身体が動かしにくい本校の子供たちにとって、非常に重要な教材教具となります。一方では当然ながら文字を入力するためには文字の読みに熟達していることが必要で、「文字を打ってみたい、でも打ち間違えるのはしたくない」といった子供たちにとって、ハードルの高いものになっていました。

そこで、文字入力装置のカバーをはがし、サイズを合わせてラミネイト加工した50音表(「53文字を読み上げるカード その1」で紹介したもの)を挟み込んだのが以下の教材です。

こうすることで、どのボタンを押すとどの音が出るのか、文字だけでなく絵によっても判断することができます。このようにすることで、各文字の読みがまだうろおぼえの子供も、どんどんと文を作っています。

このような加工をするにはタブレット端末とアプリではなかなか難しく、「トーキングエイドライト」「ペチャラ」といった、専用の文字入力装置が活躍しています。

(本校特別支援教育コーディネーター)

110文字ブロックの改良

㊷「文字ブロック各種」では、子供が操作しやすい文字ブロックを紹介しました。今回は、さらにそれを改良したものを紹介します。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。

 

 

 

 

 

 

以前紹介したものが左の写真で、今回紹介するものが右の写真となります。表面は変わっていませんが、以前紹介したものは裏面が磁石がむき出しになっていました。

 

 

 

 

 

 

今回紹介する教材の裏面には、その文字に対応する絵(「53文字を読み上げるカード その1」で紹介したもの)が貼り付けられています。そのため、子供は文字ブロックを並べていく際、その文字を何と読むのかということを確認しながら学習を進めていくことができます。ここでは、「あ」という文字を『あ』と読むのか『め』と読むのか悩んだとしても、裏面の絵を見ることで、それが『あ』と読むものであるということを自分自身で確認することができます。

(本校特別支援教育コーディネーター)