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本校の教材教具

185高さによる数量の教材(棒に通す)

前回紹介した「数量のマトリクス改」と同じ発想による教材となります。棒をさらに高くし、10までの数量に対応できるようにしてあります。なお、形の要素を加えて3×10くらいまでのマトリクス化することも可能でしたが、今回は1×10の、数量に特化したシンプルな教材にしてあります。

 

 

 

 

 

 

棒については、直径8ミリ、長さ120ミリのアクリル棒を使用しています。教材の強度、子どもにとっての見えやすさといった観点から、白いアクリル棒にしました。なお、棒のカットは業者に発注しています(詳しくはお問合せください)。土台となる板は3枚重ねで、もう一枚の板で底をふさいであります。なお、棒の長さは115ミリでぴったりとなりますが(板が1枚5ミリで3枚分、積み木が1枚10ミリで最大10枚)5ミリ分の余裕を持たせてあります。

似たような市販の教材もあるかと思いますが、それらはおそらく「1から10までの数量を順番に並べる」ものかと思います。この教材は表札を自由に入れ替えることができるため、より多様な学習を行うことができます。また、「5」をまとまりとして接着し、黒く塗り分けているのもポイントです。「『5が区切りの良い数である』ということの理解」「『5といくつ』で6から9までを捉える」ということは数量を学習する上で非常に大きなことですが、あらかじめ「5」をまとめておくことにより、そこが自然に学べるようになっています。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

184数量のマトリクス 改

数量と形のマトリクスにつきましては、23「色と形以外のマトリクス」で紹介しました。ここではすいか、みかん、りんごを用いていますが、〇△□のもの、キャラクターの絵を用いたものなどのバージョンがあります。

 

 

 

 

 

 

これらの数量のマトリクスについてですが、そのメリットは大きい(少ない動きで学習できる等)ものの、本当にこれらで数量の理解が深まるのだろうか?という疑問もありました。そこで、改良を加えたのが以下の教材になります。

 

 

 

 

 

 

「5でぴったりになる」棒を3×5に配置し、〇△□の積み木に穴を開けて棒に通せるようにしてあります。この棒はいわゆるダボで、直径8ミリ×長さ60ミリ。各積み木は厚さ10ミリで、〇が直径40ミリ、△が一辺45ミリ、□が一辺40ミリです。それぞれ中央に直径10ミリの穴を開けてあります。結果、高さを駆使することにより、数量を感覚的に掴みやすい教材となりました。また、似たような市販の教材もありますが、マトリクスの中に組み込んだために、「表札」の位置を自由自在に変えることができます。さらには手をたくさん使うため、手の使い方の練習としても効果的な教材となりました。

一方、メリットとデメリットは表裏一体とも言えます。手の使い方がとても苦手な子どもにとっては、扱いにくい教材ともなりました。この新型の数量のマトリクスがよいか、それとも従来通りの高さのない数量のマトリクスがよいか、それらは子ども一人一人によって、学習の目的によって変わってきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

183木の塗装の仕方 その2

前回の続きです。木を絵の具で塗る(毛羽立つ)→紙やすりで削る→再度絵の具で塗る、という過程をたどることにより、なめらかに塗装されたはずです。ただ、そのままでは子どもが触ると絵の具が落ちてしまいますので、ニスで保護していきます。ニスは透明なものを用います。

④ニスを塗る

刷毛を用い、ニスを塗っていきます。①~③の過程を丁寧に行っていると、ニスが木になじむはずです。片面に塗って乾いたら、もう片面を塗ります。

 

 

 

 

 

 

⑤ニスを紙やすりで整える

ニスを塗ったままだとべたべたしてしまうので、ニスが完全に乾いたところでニスの表面を削ります。削りすぎるとニスが全部はがれてしまうので、程度にやすりがけをします。

 

 

 

 

 

 

このように、木の塗装にはかなりの手間がかかります。水性塗料を使っている以上、どうしても毛羽立ちが多くなります。質感が気になる際は、とにかく紙やすりで削っていきます。④ニスを塗る⑤紙やすりでけずる過程も、繰り返すとさらに丁寧に木が保護されていきます。

 

 

 

 

 

 

百円均一の店の絵の具、ニスといったものを使うだけでも、これだけ塗り分けることができます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

182木の塗装の仕方 その1

木は適度な重さがあり、子どもにとっても「自分が操作している」ことに実感を持ちやすい素材です。一方、木製の土台に木製のペグだと見えにくいため、ペグを白や黒に塗りたくなります。また、色の弁別といった課題に取り組むためには様々な色に塗り分ける必要があります。そんな時、木を塗装したいということになるのですが、白木のままだと表面がつるつるしていたはずなのに、塗装したとたんにざらついてしまうということがあります。「毛羽立つ」という現象で、毛羽立った上からニスを塗ったとしても、うまくいきません。塗料の水分が木にしみこみ、それが蒸発する際に木の繊維を立ち上げてしまっているのだそうです。

 

 

 

 

 

 

この現象を解決するには解消には様々な方法(専用の塗料を使う等)があるようですが、ここでは百円均一の店でも簡単に手に入る道具で解決する方法を紹介します。まず、塗る塗料は、アクリル絵の具で構いません。

①とりあえず絵の具を塗る

紙やすりでざっと表面を整えたあと、水はほとんど用いず、絵の具そのままで塗り込んでいきます。片面が乾いたら、もう片面を塗ります。絵の具が乾くと、表面がざらざらとしてしまい、とてもではないですが教材として使えないはずです。ここではそんなに丁寧に塗る必要はありません。

 

 

 

 

 

 

②紙やすりで絵の具をそぎ落とす

非常に手間がかかるのですが、ここがポイントとなります。ざらつきがなくなるまで、絵の具をそぎ落とします。

 

 

 

 

 

 

③再度絵の具を塗る

もう一度、絵の具を塗ります。今度はできるだけ丁寧に、ムラがないように塗っていきます。ここでも、水は用いず、ほぼ絵の具の原液のままで塗っていきます。写真では最初に塗った時との違いが分かりにくいかと思いますが、なめらかさが違います。次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

181型はめパズルの作り方 後編

前回の続きになります。

④ふちどったところに、電動ドリルで穴をあける

電動糸鋸の刃を通すためです。糸鋸の刃のサイズにもよりますが、直径8ミリほどの太さのドリルであければ十分でしょう。なお、くりぬいた部分をペグとして利用する予定がなければ、中央に穴を開けてしまって構いません。また、ドリルで穴を開ける場合は下に不要な木を敷いておきましょう。そうしないと、穴を開ける際、木の下側の状態が悪くなってしまいます(バリができる)。

 

 

 

 

 

 

⑤穴を開けたところに電動糸鋸の刃を通す

ちょっと難しいですが、穴に刃を通したうえで、機械に固定します。この辺は用いる機械により、固定の仕方が変わります。

 

 

 

 

 

 

⑥線にそって、電動糸鋸でくりぬく

線に沿って一周します。慣れていないと、線にそって切ることや、△や□を切る際の方向転換が難しいでしょう。何度か練習したうえで挑戦してみてください。

 

 

 

 

 

 

⑦黒い色画用紙をラミネイト加工したものをはさみ、もう一枚の板を底にして接着する

木のままでも構いませんが、土台の枠の中を黒くすると、子どもが枠の存在に気づきやすくなるとともに、教材としての質感が一気にあがります。大きな手間ではないので、おすすめするポイントです。

 

 

 

 

 

 

なお、ここでは〇△□の木を用いました。しかし、たとえばスプーン、はさみなど、身近なもの、どんなものであっても、それをふちどり、くりぬいてしまえば、型はめパズルとすることができます。また、同じ要領で様々な教材を木に固定することができます。テープカッターなど、「教員が押さえていなければ扱えなかった」ようなものを子どもが一人で扱えるようになったりすることもあります。ちょっとした工夫で、子どもの可能性は広がっていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

 

180型はめパズルの作り方 前編

前回、前々回と紹介してきた型はめパズルですが、その作り方を具体的に紹介します。必要なものは材料となる木と、電動糸鋸(と刃)ハンドドリル(と直径8ミリ程度のドリルの刃)になります。これらを自前で用意するのは大変かと思いますが、大型のホームセンターなどではDIYのコーナーが設置されているところもあります。なお、電動の器具を用いずに作成することは不可能ではないかもしれませんが、かなり難しいでしょう。はさみ、カッターで作成したい場合は、木ではなく、スチロール製の素材を用います。磁石を埋め込んで重くするといった工夫もできますが、耐久性や質感を考えると、できるだけ木を用いたいところです。

まず、土台となる板を用意します。ここでベースとしているのは百円均一の店で売っている、A3サイズのMDF板です(お店の種類により、同じ「MDF板」でも質感や厚さに違いがあります)。

①MDF板を半分に切ってA4サイズにする

A3サイズのままだと大きすぎるので、半分に切断します。場合によってはA3のままで用います。なお、電動糸鋸よりも正確にまっすぐ切断できる機械はありますが、最初は電動糸鋸を用いる方がよいでしょう。〇や△にくりぬいていく際の練習にもなります。電動糸鋸の刃には「直線切り用」と「曲線切り用」があるので、使い分けます。

 

 

 

 

 

 

②A4サイズになったMDF板を貼り合わせる

もとのままだと厚さは5ミリですが、これだと型はめに加工しても「はまった」感覚がわかりにくいです。市販されている、多くの型はめパズルが扱いにくい理由がここにあります(そのほか、選択肢が多すぎる、形が複雑すぎる等の理由もある)。土台の厚さを10ミリにすると、かなり「はまった」感覚が強まります。これは板が厚ければ厚いだけ「はまった」感覚が出やすいのですが、あまり厚くすると、ペグがはまりにくくなってしまいます。この辺はケースバイケースになります。

 

③買ってきたペグを土台に置き、先が丸くなった鉛筆でふちどる

ここが重要なポイントです。型はめパズルを自作する際、木を〇、△、□にくりぬき、それをサンドペーパーなどで削ってペグとして利用しようとすることがあります。しかしながら、それだとうまくいかないということはないでしょうか。実際、正確に丸く、三角に、四角に切るというのは極めて困難です。そして正確な〇△□でないと、「この方向だと入る」「この方向では入らない」ということが起こってしまいがちです。おすすめするのは、「ペグとして用いるものは市販品を用い、土台だけを作成する」ことです。

 

 

 

 

 

 

では、どうやってペグとなるものを購入するか? 〇の木、□の木は、ホームセンターでも売っているでしょう。しかしながら△の木というのは、ほとんど見かけません(□を半分に切った直角三角形はよく見かけます)。これは通販で探すか(詳しくはお問い合わせください)、市販の積み木セット、型はめパズルのものを流用する、といったことが考えられます。

 

 

 

 

 

 

なお、「先が丸くなった鉛筆」でふちどるのは、ある程度枠に余裕(遊び)がないと、ペグが入らないためです。あまり余裕がありすぎても「はまった」感覚が薄れてしまいます。この辺の加減は、非常に難しいところです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

179△だけの型はめ □だけの型はめ(小)

前回の続きとなります。前回紹介したのが「〇だけの型はめ」ですから、今回は「△だけ」「□だけ」の型はめとなります。なお、「まる さんかく しかく」とは言いますが、子どもにとって取り組みやすい順序は、ほとんどの場合「〇→□(正方形)→△(正三角形)」ということになるようです。

 

 

 

 

 

 

〇はどの角度でも入るので、一番簡単です。一方、□と△はというと、枠の角に、ペグの角を合わせる必要があります。この場合〇に近いほど角が合わせやすいですから(正三角形よりも、正八角形の方が入れやすいように)、「〇→□→△」という順序になります。

 

 

 

 

 

 

「〇△□」だけの、シンプルな型はめというのもなかなか市販されていませんが、〇だけ、△だけ、□だけの型はめというのは、さらに手に入れるのが難しくなります。今回使用しているのは材料として百円均一の店のMDF板、ラミネイトした黒画用紙、通販で手に入れた正三角形と正方形の木(詳しくは本校コーディネーターまでお問合せください)になります。1セットあたり200円もかかっていません。あとは、枠を切り抜くための電動糸鋸、糸鋸の刃を通すためのドリルです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

178 〇だけの型はめ(小)

「3鉄球入れ(鉄球とアクリルパイプ)」「95 筒入れ課題のバリエーション」でも紹介してきましたが、子どもの学習の中で、「入れる」ということは、非常に大きなポイントとなります。同様に、「はめる」ということも、重要な学習となります。いわゆる型はめの学習ですが、多くのものがおもちゃ屋や本屋などで市販されています。しかしながらそれらは子どもにとって難しすぎる、ということも多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

もっとも簡単な型はめは、「〇だけの型はめ」となります。かつて「6丸の型はめ」でも紹介したのですが。今回のは子どもの手のひらに収まるサイズのものです。また、枠と高さをそろえていて(10ミリ)、一度はめると、もう取れないようになっています(「終わり」の理解が十分でない子どもは、何度も入れたりはめたりする)。

「〇」というのは△や□と異なり、角を合わせる必要がありません。子どもにとって非常に取り組みやすい活動となります。一方、「球」と異なるのは、球が360度、どの方向でも枠に入ったのに対して、〇は水平になるように方向づける必要がある、ということです。基本的には「球を入れる」よりも難しい活動です。しかしながら「手を持ち上げることが難しい」という子どもにとってみれば、球を操作するよりも、「〇をはめる」方が取り組みやすいでしょう。活動の難しさは子ども一人一人に異なります。そこに合わせて教材教具を工夫していきます。

177 ビー玉落とし(小)

前回紹介したビー玉落とし(大)は箱作りから始めたもので、大掛かりなものでした。大きな手の動きを引き出すにはどうしても大きな箱が必要だったからなのですが、市販品の箱を活用して作成することもできます。小さなサイズならば、百円均一の店で売っている箱でも作成できます。

 

 

 

 

 

 

最初から箱があれば、ふたが落ちないようについたてをして、ふたを作るだけです。引き出したい子どもの手や目の動きに合わせて、横一列に穴をあける、放射状に穴をあけるなど、穴のあけかたを工夫していきます。

 

 

 

 

 

 

「一面のビー玉を全部落としたら終わり」といった使い方のほか、あえて目をつぶったうえで「教員が置いた1個のビー玉を、探り当てて落とす」など、多様な使い方が考えられます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

176 ビー玉落とし(大)

視覚障害特別支援学校で活用されている教材を参考にした、ビー玉落としです。身体が動かしにくい子どもの中には目の見えにくさがある子どもも多く、視覚障害特別支援学校での取り組みが大きな参考になることがあります。広い面にちりばめられたビー玉を指で押して落としていくわけですが、目の使い方だけでなく、手の使い方の練習にもなります。「押したら」「落ちて、音が鳴る」という、因果関係理解の学習にもなります。

 

 

 

 

 

 

ビー玉落としについては市販の作成キットを取り寄せることもできるのですが、ここでは一から自作してあります。まずはA3サイズのMDF板を用い、大きな箱を作ります。ここで既成の木箱(大きなホームセンターなどで売っている)を使うなどすると、作成のハードルが下がります。木箱にふたをするわけですが、ふたが落ちないように、木箱の内側についたてをするのがポイントです。また、ついたては木箱全体の高さよりも1センチほど低くし、ふたをしたときに段差ができて、ビー玉が転がり落ちないようにします。

木箱の高さですが、低すぎると、ビー玉が落ちた時の衝撃や音が弱く、子どもにとって「自分がしたこと」と「その結果」の因果関係に気づきにくくなります。しかしあまり高くしすぎると音が大きくなりすぎ、子どもがびっくりしてしまい、発作などを誘発しかねません。この辺は子ども一人一人に合わせて調整していきます。

 

 

 

 

 

 

ふたには、ボール盤を使ってビー玉が通る穴をあけていきます。ここでは、直径20ミリの穴をあけています。なお、穴のあけかたはランダムにしたり、放射状にしたりと、引き出したい子どもの目の動き、手の動きに合わせて調整していきます。穴の裏側から、ゴムひもを木工用ボンドで固定して完成となります。ビー玉は散らばってしまいがちなので、タッパーなどでまとめておくと便利です。

(本校特別支援教育コーディネーター)