カテゴリ:Ⅰ.手や目を使う基礎を整える教材
教材紹介⑪「アクリル棒さし」
今回紹介するのは、アクリルの棒を使った教材です。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』『Ⅱ見分ける学習の教材』や『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として、⑦⑧の電池入れとほぼ同じ目的で使用していきます。
電池入れの教材は、電池に適度な重さがあるうえ、素材としても手に入りやすいので、便利なものです。しかし電池は劣化しやすく、常に新しいものを使っていく必要があります。
そこで、アクリルの棒を使うことがあります。アクリルの棒は黒と白の2色で、それぞれ25ミリと15ミリの太さのものです。長さとしては、子どもの操作のしやすさを踏まえて、50ミリで統一しています。ほぼ、単2電池、単3電池に匹敵するサイズとなっています。なお、棒の購入に際しては、業者に発注しています。
土台に開ける穴は、電池の時よりも若干大きめにしています(25ミリの棒には27ミリ、15ミリの棒には18ミリサイズで開ける)。
電池に対し、アクリルの棒は軽くなるため、電池の重さが学習のヒントになっていた子どもにとっては難易度が高くなることもあります。一方で、白黒という色に注目できるようになると、今度は色のヒントによってアクリルの棒の方が分かりやすくなることがあります。「どの子どもにとっても分かりやすい教材」というのは存在しなくて、子どもによって分かりやすさは違う、ということになります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介⑦「電池入れ(直線、円)」
今回紹介するのは、本校の教員が作った「電池入れ」です。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』、あるいは『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。
「見分ける」要素を入れるために、単3電池、単2電池を使い分けています(単2電池だけを入れるものもあります)。横の直線の電池入れは、ホームセンターで市販されている2×材を使用しています。ドリルで厚い板を貫通させ、薄い板を貼り合わせて底をふさぐ、という要領です。木の幅はおよそ30センチ。ドリルの刃は単2電池用で26~27ミリの木工用ボアビット。単3電池用で15~18ミリのものを使用しています。
円形のものは、⑥「丸の型はめ」と同じ、ホームセンターで売っていた直径18センチ弱の端材を、4枚重ねて使っています。3枚を貫通させ、1枚で底をふさぎます。
(ボール盤を使うため)作成するのには敷居が高そうな教材ですが、実際にはさして手もかからず、あっという間にできてしまう教材です。一方で教材としての効果は高く、「全部入れて終わり」という理解や、大小を見分けること、手指の操作といったことを促すことができます。最終的には、「円」という図形を意識していくこともねらっています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介⑥「丸の型はめ」
今回紹介するのは、本校の教員が作った型はめパズルです。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
土台はA4サイズ(百円均一の店舗でA3サイズで売っているMDF材を半分に切って使用)。ペグはホームセンターで扱っていた、直径18センチ弱の端材を使用しています。作り方としては⑤で紹介した型はめと同じですが、サイズが大きめとなります。意外と円形の、大きい型はめというのは市販されているものを見かけず、教員が絵を描き、色を塗ってニスを塗り、紙やすりで仕上げています。
円形は最もはまりやすい形であるため、⑤の型はめでは細かい見分けや操作することが難しい子どもが扱っています。なお、ペグと土台は別の木を使っています。土台から形をくり抜けばそれをそのまま使えそうなのですが、実際には正確に「円」や「四角」「三角」といった図形をくり抜くのは困難です。ペグとなるものは市販品を買い、土台だけをくり抜くのが作りやすいようです。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介④「一方向/多方向輪抜き」
今回紹介するのは、市販の「キッチンペーパーホルダー」と「マグカップホルダー」を利用した、「輪抜き」の教材です。市販品を組み合わせているだけで、特に加工している部分はありません。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
棒に通してある円筒状のペグは穴が開いていれば何でもよいのですが、ここでは木製のものを使っています。やはり、ある程度の重さがあったほうが子どもは扱いやすいですし、「持っている」ことの実感がつかみやすく、ペグを棒から抜いて箱に入れた際の音も大きくなります。
子どもの手の使い方を引き出すにあたり、子どもはどうしても自分の使いたいように手を使う傾向があります。そこで、一方向/多方向の棒で手を使う方向を指定し、さまざまな方向に手を使う、といったことが学べるようにしていきます。
なお、輪を引き抜いて学習が終わりなのではなく、それを箱に入れて、「入れて終わりにする」ということ(活動の終点の理解)を促していきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介③「鉄球入れ(鉄球とアクリルパイプ)」
今回紹介するのは、市販の鉄球(正確にはステンレス球)です。本校の教員が作った筒(パイプは市販、土台は自作)に入れていきます。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
球の直径、及びパイプの内径は45ミリです。市販の玩具である「くるくるチャイム」のボールや、ゴルフボールなどとの互換性があります。ステンレス球にはかなりの重みがありますが、その重みがあることで、子どもが球を持った時に「持っている」という実感を持ちやすくなります。また、球を操作するに際しても、ある程度の重みがあった方が操作がしやすいようです。
鉄球入れですが、主な目的としては「入れる」ということの学習となります。「入れる」の先に、「入れ分ける」すなわち弁別の学習へとつながっていくからです。また、入れる、「入れて終わりにする」ということそのもの(活動の終点の理解)が、見通しを持って活動することの第一歩になっていきます。
(越谷特別支援学校コーディネーター)