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タグ:Ⅱ見分ける学習の教材

180型はめパズルの作り方 前編

前回、前々回と紹介してきた型はめパズルですが、その作り方を具体的に紹介します。必要なものは材料となる木と、電動糸鋸(と刃)ハンドドリル(と直径8ミリ程度のドリルの刃)になります。これらを自前で用意するのは大変かと思いますが、大型のホームセンターなどではDIYのコーナーが設置されているところもあります。なお、電動の器具を用いずに作成することは不可能ではないかもしれませんが、かなり難しいでしょう。はさみ、カッターで作成したい場合は、木ではなく、スチロール製の素材を用います。磁石を埋め込んで重くするといった工夫もできますが、耐久性や質感を考えると、できるだけ木を用いたいところです。

まず、土台となる板を用意します。ここでベースとしているのは百円均一の店で売っている、A3サイズのMDF板です(お店の種類により、同じ「MDF板」でも質感や厚さに違いがあります)。

①MDF板を半分に切ってA4サイズにする

A3サイズのままだと大きすぎるので、半分に切断します。場合によってはA3のままで用います。なお、電動糸鋸よりも正確にまっすぐ切断できる機械はありますが、最初は電動糸鋸を用いる方がよいでしょう。〇や△にくりぬいていく際の練習にもなります。電動糸鋸の刃には「直線切り用」と「曲線切り用」があるので、使い分けます。

 

 

 

 

 

 

②A4サイズになったMDF板を貼り合わせる

もとのままだと厚さは5ミリですが、これだと型はめに加工しても「はまった」感覚がわかりにくいです。市販されている、多くの型はめパズルが扱いにくい理由がここにあります(そのほか、選択肢が多すぎる、形が複雑すぎる等の理由もある)。土台の厚さを10ミリにすると、かなり「はまった」感覚が強まります。これは板が厚ければ厚いだけ「はまった」感覚が出やすいのですが、あまり厚くすると、ペグがはまりにくくなってしまいます。この辺はケースバイケースになります。

 

③買ってきたペグを土台に置き、先が丸くなった鉛筆でふちどる

ここが重要なポイントです。型はめパズルを自作する際、木を〇、△、□にくりぬき、それをサンドペーパーなどで削ってペグとして利用しようとすることがあります。しかしながら、それだとうまくいかないということはないでしょうか。実際、正確に丸く、三角に、四角に切るというのは極めて困難です。そして正確な〇△□でないと、「この方向だと入る」「この方向では入らない」ということが起こってしまいがちです。おすすめするのは、「ペグとして用いるものは市販品を用い、土台だけを作成する」ことです。

 

 

 

 

 

 

では、どうやってペグとなるものを購入するか? 〇の木、□の木は、ホームセンターでも売っているでしょう。しかしながら△の木というのは、ほとんど見かけません(□を半分に切った直角三角形はよく見かけます)。これは通販で探すか(詳しくはお問い合わせください)、市販の積み木セット、型はめパズルのものを流用する、といったことが考えられます。

 

 

 

 

 

 

なお、「先が丸くなった鉛筆」でふちどるのは、ある程度枠に余裕(遊び)がないと、ペグが入らないためです。あまり余裕がありすぎても「はまった」感覚が薄れてしまいます。この辺の加減は、非常に難しいところです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

175「探り当てる」教材

人間の感覚には、様々なものがあります。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といったいわゆる「五感」のほか、分類の仕方にもよりますが、揺れ、回転、加速などを感じる前庭感覚、筋肉への力の入り具合や、関節の曲がり具合などを感じる固有感覚といったものです。

今回取り上げるのは触覚です。触覚とひとことで言ってもさらに細かく分かれていきます。ごく狭い意味での触覚のほか、圧覚、冷覚、痛覚、振動覚などがあり、子どもによってはそれぞれに感じやすさ、感じにくさが違っていることがあります。冷たさは感じやすいけれど、人に触られるのは感じにくい等です。

今回は、それらの中でもごく狭い意味での触覚、すなわち「触り分ける」力を育てるためのものです。触覚は全身の皮膚にはりめぐらされていますが、自分の身体と、外の世界との境界になる、非常に重要な感覚です。これが過敏であったり、逆に感じにくかったりすると、自分の身体がどこまでで、どこからが外の世界なのかがわかりにくくなるということで、身体の動かしにくさといったことにも影響することがあります。前庭感覚や固有感覚とともに、身体の動きを見ていくうえで、真っ先に整えていきたい感覚となります。

触覚へのアプローチはさまざまなものがありますが(手遊び、マッサージ、お腹に指で書かれた字を当てる、小麦粉粘土を扱う等)、これは見えなくなっている箱の中から、特定の形のものを取り出すものです。見えないので、触覚に頼った活動になります。

 

 

 

 

 

 

市販の教材でなくとも、身の回りのもので同じ目的の活動を設定することもできます。袋の中に入れた「ぬいぐるみ」「せんたくばさみ」「ペン」などを、探り出すといった活動です。身近な物で工夫しながら、それぞれの子どもの課題に応じた活動を行っていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

162位置把握の提示法(3次元)

「161パズルボックス」では立体的に空間を捉えることについて紹介しました。今回は、13、16、96、106回で紹介してきた位置把握課題において、立体的に空間を捉える教材の提示の仕方を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な位置把握課題がありますが、ここにあげているものは縦×横、もしくは高さ×横の、2次元的なものです。3次元的な位置把握課題となると、例えば縦×横×高さで立体的に積み上げた積み木を、同じように積み上げる、といったことが考えられます。ですが、これは手が使いにくい子どもにとっては非常に操作が行いにくい課題となります。また、見本の全体像が見渡しにくいということもあります。

 

 

 

 

 

 

そこで、右の写真のように、教材を提示するという方法があります。これは教材を作る段階で一定の長さのあるダボを利用しているため、穴が開いているペグをいくつか通して「高さ」を表現することができます。ペグを棒に差し込んでいるため、積み木のように倒れることもありません。

(本校特別支援教育コーディネーター)

161パズルボックス

158回でも「可変型はめ」を紹介しましたように、形態構成、位置把握、マトリクスなど、これまでいくつもの「空間を捉える」学習の教材を紹介してきました。しかし、それらはあくまでも平面、縦×横の2次元のものでした。

 

 

 

 

 

 

このパズルボックスは、市販のものですが、縦×横だけでなく、そこに高さの要素が加わるため、3次元の空間を捉える教材となります。2次元から3次元に変わるということは、子どもからすると、非常に大きな難易度の違いになることがあります。特に横になっていることが多く、身体を起こす機会の少ない子どもにとってはそれが顕著です。遠近感とか、高さといったものを捉える力は、やはり身体を起こし、教材教具をたくさん扱うことによって育っていきます。

 

 

 

 

 

 

それらの力は、算数科などの学習にも影響していきます。例えば左の図形は立体的な捉え方が育っていると、平面の図形でありながら立体的に見えます。しかしながら身体の動かし方が苦手な子どもの中には、どうしても立体に見えず、3つの四角系(正方形1つ、平行四辺形2つ)に見える、ということがあります。パズルボックスといった基礎的な学習を通して、目や手を育てることが、将来の学習を支えていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

159長い輪抜き

輪抜き/輪通しの教材は、4回や73回で紹介してきました。今回紹介するのはそのバリエーションで、90センチの高さがあるものになります。およそ「Ⅱ見分ける学習の教材」として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

輪抜きはシンプルですが奥の深い課題で、その高さ、あるいは2方向、3方向といった分岐の有無により、難易度が大きく変わってきます。高さだけを取り上げても、高ければ高くなるだけ、難易度が上がります。これは「高くなれば、運動のコントロールが難しくなる」というのが難易度が上がる理由の一つではあるのですが、それだけではありません。以下の2枚の写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

左の物は輪抜きの棒が低く、右の物は高くなっています。この場合、「抜く」という運動をすることにはどちらも変わりがないのですが、運動を始める位置(一番下)と輪が抜ける位置(棒の終端)の距離が違います。距離が違えば、時間もかかります。右側の輪抜きを実施するためには、そこまで自分の運動を持続し、方向づけるための「見通し/わかる力」「注意を持続する力」が要求されることになります。輪抜き課題は分岐の有無も重要な視点で、これは次回紹介します。

(本校特別支援教育コーディネーター)

158可変型はめ

難易度を調整できるようにした、型はめの教材です。ベースとなっている型はめパズルは市販のものですが、市販品そのものを使用すると「選択肢が多すぎる」「枠が浅すぎ、『はまった』という感覚がつかみにくい」「ペグを持ち上げなければならず、筋力が弱い子が扱えない」といった難点が上がってきます。

 

 

 

 

 

 

そこで、市販品のペグはそのまま使い、枠だけを新たに作成しました。土台となっているものは、前回と同様にA3大のMDF板を重ねて接着し、A4台にくり抜いたところに鉄板(ブラックボードパネルの中身)を挟み込んだものです。左側の枠は一体型、右側の枠はさらにひと手間を加えることで、〇△□といった選択肢の位置を自在に変えられるようになっています。およそ、「Ⅰ目や手を使う基礎を整える教材」から「Ⅱ見分ける学習の教材」として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

市販品をそのまま使うだけでなく、ちょっとした手間をかけることで、一人一人の子どもの「今の力」に合わせた難易度設定をすることができます。場合によっては、「〇だけの型はめ」にすることもできます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

141六面体の教材

子どもがカードを黒板やホワイトボードに貼る際、磁石がついていない面を黒板等に向けてしまって、なかなかうまくいかない…ということがあります。であれば、すべての面に磁石がついていればどうなるでしょうか? どの面にも同じ絵を貼ってあげれば、すごく扱いやすい教材になるのではないでしょうか? そのようなコンセプトから作られたのが、この教材になります。

 

 

 

 

 

 

磁石の反発を押さえてボンドで固定するために、かなり多くの木、本などで重みをつけて強引に押さえてつけています。

実際に作成してみると六方向に働く磁力が互いに打ち消し合い、貼りつく際の磁力が弱くなってしまいました。木のサイズがもう少し大きければ、磁力の干渉の具合が変わってくると思われます。しかし木が大きすぎると重くなりすぎ、また手に収まりにくくなるでしょう。それぞれの子どもの課題に合わせて、教材教具の工夫を行っていきます。

 

 

 

 

 

 

完成品です。同じ絵と絵が、どの面同士であってもくっつきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

140ひもで絵を描く教材

特別支援教育でよく活用される教材の中で、「輪ゴムで図形を作る」ものがあります。線、図形への意識を高めるために便利なものなのですが、肢体不自由校においてはそもそも手の使い方が苦手で、扱うことが難しいという子どもを多く見かけます。

 

 

 

 

 

 

そんな中、県立塙保己一学園の特別支援教育コーディネーターに紹介していただいたのが、右の写真の教材となります。「フィロ」という商品名になります。ペン先を差し込んでいくことで線を描くことができます。もちろん自由に絵を描くことにも使えるのですが、2つ用意して図形の見本合わせてとして活用することもできます。輪ゴムを使うよりも、子どもにとって手指の操作面での負担は少ないようです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

126線学習用の枠

前回の125では「縦に積む」ことから「横に並べる」ということで、点から線へという学習の流れを紹介しました。今回は「線の学習」という中でも、様々なバリエーションのものを紹介していきます。『Ⅱ見分ける学習の教材』として想定しています。

 

 

 

 

 

 

最もシンプルな「線の学習」の教材は、「51スライドブロック」となります。運動の始点から終点までがまっすぐで、線の始まりと終わりが明確です。

 

 

 

 

 

 

一方、さらに進んだ内容の教材として、これらのものがあります。「円」「三角形」といったような「終わりのない」線を学ぶためのもの、また、「交差した」線を学ぶためのものです。他にも様々な種類の「線」を学ぶ教材があります。これらの学習に丁寧に取り組んだうえで、例えば「あ」「め」「す」のような、線が複雑に交差したひらがなの学習にも進んでいくことができます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

120簡単につくれるマトリクス

前回119で紹介したマトリクスは、かなり手間がかかったものでした。とはいえ教材は手間暇をかけることが目的ではありません。子供が使いやすければ、子供が学べればそれでよいのであって、教員が出来栄えに満足するために作るのではありません。今回はマトリクスを簡単に作る方法を紹介します。『Ⅱ見分ける学習の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

百円均一の店を活用するとよいでしょう。色と形、3×3のものであれば、

・透明(あるいは白)磁石3個、赤・青・黄色の磁石4個ずつ

・動物や食べ物などのシール、3種類を4枚ずつ

・ホワイトボード

・油性マジックペン

・30センチ定規

があれば十分です。

 

 

 

 

 

 

(1)ホワイトボードに4×4の枠を書きます。

(2)磁石にシールを貼ります。

(3)並べます。

完成です。

子供によっては、これで十分に学習することができます。必要に応じて、「すべらせる動きで操作できるようにする」「手で握りこめるサイズにする」といった要素を加えていったのがこれまでに紹介してきたものです。

支援は多すぎても、少なすぎても「その子」には合いません。その子一人一人に合った教材教具を工夫していきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)