タグ:Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材
197色と形、半立体のマトリクス
これまでも「色と形」という2つの属性を組み合わせる表(マトリクス)の教材を紹介してきました。3×3、4×3、4×4、5×5など様々なものがありましたが、それらは基本的に50ミリ四方の木に、ラミネイト加工したものを貼り付けたものでした。
今回紹介するのは、若干視点が異なり、〇△□、そしてハートと星の形について、半立体の具体物をペグとして用いるものです。色合いをそろえるため、塗装には同じ絵の具を使用しています。また、ハートと星の形は適当な木片が見つかりにくいため、市販されている2ミリ程度の薄さのものを数枚貼り合わせて厚みを出し、それを塗装することでペグにしています。
従来の、印刷した絵が貼り付けられているものと、今回の教材とではどちらがやりやすいでしょうか? 目が見えにくく、形が捉えにくい子どもにとっては、今回の教材の方が「触って形がわかる」ために取り組みやすいかもしれません。一方、手を持ち上げにくい子どもにとっては従来の教材の方が、「すべらせて操作できる」ためにやりやすいかもしれません。これも、ケースバイケースになります。多様な子どものニーズに応じるために、同じ内容であっても、様々な教材を用意しています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
166位置把握・口頭
13、16、96、106、162回で紹介してきた位置把握課題ですが、これらは基本的に「目で空間を捉えて」「記憶し」「手で操作して空間を再現する」活動でした。板書を見て同じように書く、といったことにつながっていきます。「見比べる」力を育てる活動です。
この活動に十分取り組むことで可能になってくるのが、今回紹介する、「口頭での位置把握」になります。使い教材としてはこれまでと同じなのですが、教員側の見本を隠したうえで、「真ん中はアンパンマン」「アンパンマンの右がドキンちゃん」など、口頭で伝えていき、耳で聞いた情報から自分で空間を組み立てていくという活動になります。
これは「目で見て」行うよりもかなり難易度が高い活動になります。なお、子どもが取り組んだものが合っているかどうかの答え合わせは、教員側が隠し持っていた見本を「見る」ことで行います。「見て分かる」が十分に身についてきたところで、見えないものを聞いただけでイメージする、「聞いて分かる」の学習に進んでいくわけです。
(本校特別支援教育コーディネーター)
162位置把握の提示法(3次元)
「161パズルボックス」では立体的に空間を捉えることについて紹介しました。今回は、13、16、96、106回で紹介してきた位置把握課題において、立体的に空間を捉える教材の提示の仕方を紹介します。
様々な位置把握課題がありますが、ここにあげているものは縦×横、もしくは高さ×横の、2次元的なものです。3次元的な位置把握課題となると、例えば縦×横×高さで立体的に積み上げた積み木を、同じように積み上げる、といったことが考えられます。ですが、これは手が使いにくい子どもにとっては非常に操作が行いにくい課題となります。また、見本の全体像が見渡しにくいということもあります。
そこで、右の写真のように、教材を提示するという方法があります。これは教材を作る段階で一定の長さのあるダボを利用しているため、穴が開いているペグをいくつか通して「高さ」を表現することができます。ペグを棒に差し込んでいるため、積み木のように倒れることもありません。
(本校特別支援教育コーディネーター)
155高さの系列化(10まで)
前回の続きになります。前回は5まででしたが、同じ枠を2つ並べることで、「10まで」の高さの系列化の教材となります。アクリル棒の高さは、5までに続けて100mm、110mm、120mm、130mm、140mmに調整してあります。
白と黒の2色を使い、「自分で並べる」「見本を見ながら並べる」というように難易度を調整できるようにしてあるのも、5までと同様です。大小を10個並べる、高低を10個並べる、そして次回紹介する「長さ」を10個並べるくらいの力が育つと、「数量」の学習に入ってもスムーズに学んでいけるのではないでしょうか。
(本校特別支援教育コーディネーター)
154高さの系列化(5まで)
㊾「大小を並べる教材」105「様々な並べる教材」で「大きさ」に沿って並べる際の教材を紹介しました。物事を順序付ける(系列化する)視点には、「大きさ」のほか、「高さ」「重さ」「長さ」「速さ」「熱さ」「暑さ」「厚さ」「新しさ」「丸さ」「音量」「面白さ」など様々なものがあります。それらのうち、「速さ」「暑さ」などは教材化するのが困難です。教材化しやすいのは「大きさ」「高さ」「長さ」のように「目で見て分かる」もの、あるいは「重さ」「なめらかさ」「硬さ」「熱さ」のように「触って分かるもの」になるでしょう。
「大きさ」については様々な物が市販されていることをお伝えしてきました。いわゆる「ピンクタワー」のほか、入れ子、マトリョーシカなどです。「高さ」についても市販されているものがあるのですが、手の操作が苦手な子どもにとっては扱いにくい(すぐに倒れてしまう)ということがほとんどです。
そこで、穴に差し込むようにすることで、倒れないようにしたものがこの教材です。アクリル棒は幅が20ミリのものを使い、高さを50㎜、60㎜、70㎜、80㎜、90㎜と10ミリ刻みで調整してあります(穴の深さがシナベニヤ3枚分なので、これでちょうど1~5の階段状になります)。なお、アクリルの棒を切るのは業者に発注しています。詳細は本校コーディネーターまでお訊ねください。
また、アクリルの棒を白と黒の2色使い、穴を5×2の2行で開けることで、「自分で並べる」ことと、「見本を見ながら並べる」ことの両方ができるようにしてあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
108市販の教材の活用(虹の教材)
市販品にちょっとした工夫をすることで、使い方に広がりが出ることがあります。今回紹介する教材も、市販の「虹」に見立てた教材を2つ組み合わせたうえで枠を用意したもので、色、形、大きさ、大きさの順序といったことを学べるようにしています。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。
使い方としては「真ん中の部分だけを入れる」ことから始めて、「全部を自分で入れる」ことに進んでいくのですが、同じような教材を自分で作るのはとても大変です。一方で市販品そのままでは身体の動かし方につまずきがある子供の場合、操作しにくいということがあります。そこで㉘「市販の型はめの応用 その1」や㉙「市販の型はめの応用 その2」でも紹介しましたように、教材の中身に市販品を使い、枠だけを用意すると、一人一人の子供に合わせやすくなってきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
101 二語文の総合と分析の課題 その2(人物と動作)
同じ二語文であっても、「色と形」という組み合わせは、子供にとって比較的気づきやすい組み合わせになります。今回は、それよりももう少しだけ難しい、「人物と動作」の組み合わせの二語文の教材を紹介していきます。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。
教材の作り方としては99と同様で、板目表紙を素材としています。上の方の絵は顔の部分が切り抜かれており、下の絵が見えるようになっています。上の絵、下の絵を交換することで「人物と動作」の組み合わせの絵を作っていきます。
使い方も前回同様です。「男の子が手を洗う」を作るといった「総合」の学習。「この絵はだれ?」「何をしているの?」といった「分析」の学習といったことを通し、頭の中を整理し、言葉の力を高めていきます。
二語文には、他にも様々なものがあります。「おおきい らいおん」「ゆっくり あるく」「かんせいな じゅうたくち」。それらのなかで前回、今回取り上げた「色と形」「人物と動作」のように、子供によってわかりやすいものから徐々に学習を進めていきます。二語文の学習は他にも様々なやり方があり、例えば②で紹介したマトリクスのように、色や形といった属性を組み合わせて表を作る、といったものもあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
99 二語文の総合と分析の課題 その1(色と形)
子供の理解や表出は、「単語の理解や表出」から「二語文の理解や表出」へと進んでいきます。子供の理解や表出が単語から二語文に移行するのは、およそ50の単語がわかるようになったくらいのタイミングであることが多いようです。今回は、二語文を直接的に教えていく際の教材を紹介します。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。
二語文といっても、色んな種類があります。「あかい りんご」のようなものもあれば、「おとこのこ が あるく」といったもの。「きのう は にちようび」「かんせいな じゅうたくち」といったもの。使っている言葉の内容によって、かなり難しさの違いがあります。その中でも特に子供にとってわかりやすいのが、「色」と「形(身近なもの)」の組み合わせになります。「あかい りんご」といったものです。
この教材の場合、たとえば「きいろい ふうせんを作って」と言われて、「きいろ」のカードと「ふうせん」のカードを選んでいきます(総合)。
また、逆に、「この絵は何?」「色は何?」「形は何?」と聞かれて、「あかいくるま」「色はあか」「形はふうせん」と答えていきます(分析)。「色は何?」で難しかったら色だけのカードを提示する。「形は何?」で難しかったら形だけのカードを提示する、といった支援を行っていきます。
こうやって物事を総合的に捉えること、分析的に捉えることが、いずれは「数」といったような難しい属性に注目する練習になっていきます。二語文の学習と言うと「国語」の勉強のようにも思えますが、「算数」の内容にも密接につながっていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
90 絵の不合理、文の不合理
今回紹介するのは、物事を説明する力を高めていくための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。昨今は「主体的・対話的で深い学び」が問われていますが、そこにおいて重要なのは、「どうしてそう思うの?」「つまりどういうこと?」「他にはどういうことがある?」といった発問になってくるのでしょう。教員が説明するだけ、動画を視聴するだけでは、なかなか理解は進んでいきません。教員とのやり取りの中で、子供自身が言葉で物事をまとめていきます。
とはいえ、子供は最初から上手に物事を説明できるわけではありません。そこで、このように「ここが違う!」など説明しやすい教材を用意し、スモールステップで学習を進めていきます。
これらの教材は「間違っているもの」「正しいもの」それぞれに文と絵がセットになっていて、『正しいものを選ぶ』『見るなり、聞くなりして正しいかどうかを答える』『間違っているのであれば、何が間違っているのかを説明する』といった学習を行っていきます。
学習のステップとしては、
A絵を見て、正誤を判断する
B教員が言ったのを耳で聞いて、正誤を判断する
C文を読んで意味を取り、正誤を判断する
という順で難しくなっていきます。文から意味を取るのが難しいようであれば言葉を添え、言葉で分かるのが難しいようであれば絵を見せていきます。どこまでも子供の力に合わせていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
88 絵の順序
今回紹介するのは、物事の順序、時系列を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
2枚以上の絵を、物事の順序や時系列に沿って並べていく教材です。ラミネイト加工し、板にセロテープで貼り付けることで操作しやすくします。
国語の内容、あるいは自立活動の内容になりますが、算数での「数字を並べる」「大小を並べる」「高低を並べる」「数量を並べる」といったこととも関連の深い内容になります。
『種をまいたら芽が出る』といったように、「~したら~になる」「~をして~をする」といった2つのことを関連付けるということは子どもにとって比較的なじみやすいのですが、それが3つ、あるいは4つに増えていくと、途端に難易度が上がっていきます。この教材は「並べて終わり」でなく、どういう話なのかを説明してもらいます。日ごろたくさんお話している子供であっても、こうやって改めて説明を求められると途端に困ってしまうことがあります。2つの絵を並べて説明するあたりから、物事を整理して話すという練習をしていきます。
また、子供の中にはおしゃべりをすることは難しいけれど…という子がいます。それでも、こういった「操作する」教材を渡すことで、会話に頼ることなく「どのように子供が考えているのか?」といったことを知るきっかけにもなっていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
86 位置の学習3×3
今回紹介するのは、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
「前後」や「上下」に比べると、「左右」の概念は比較的身に付きにくいものです。これは身体の動かし方につまずきのある子供にとっては特に顕著に見られる傾向です。自分の身体を動かす経験が少ない結果、自分の身体というもののイメージが育ちにくく、左右の概念も育ちにくいのだと言われています。また、位置関係だけでなく、「大きさ」「高さ」「速さ」「広さ」など、大人が子供の頃に公園や野山で遊ぶ中で身につけてきたような、「自分の身体を物差しとした概念」なども育ちにくいようです。
※人は自分の身体を物差しにして周囲の世界を捉えていくので、子供の頃に広く感じた校庭や公園が、大人になってから訪れると狭く感じる。身体という物差しそのものが変わってしまったため。
育ちにくいからこそ、その指導を工夫していきます。
この教材は3つセットになっていて、それぞれ「中央」「上下左右の端」「斜めの端」の1か所だけ磁石が貼りつくようになっています。他は、反発します。この3種類があれば、3×3の場所のすべてを指定することができます。
A「上はどこですか」「右はどこですか」など、絶対的な位置を聞く質問
B「あひるの右はどこですか」「あひるの前はどこですか」など、相対的な位置を聞く質問
を行い、子供に指差しで答えてもらった後、本当に合っているのかどうかを磁石を貼って確かめていきます。繰り返しになりますが、「合っている/合っていない」を教員に言われるのではなく、手ごたえによって自分自身で確かめられるようにする、というのが重要です。
なお、これらの直接的な学習も重要ですが、電動車いすや寝返りなども含めて「自分自身で移動する」経験が空間的な理解を育てていきます。積み木など、各種教材をたくさん操作していくことなども大切で、そこで日ごろの自立活動での姿勢を整える取り組みがいきていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
80プリント教材とその活用(かずの学習のプリント その1)
今回は、様々な「かずの力を育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。
「かずの力」と言いますが、数の概念というのは
・12345…という「数字」
・イチ、ニ、サン、シ、ゴ…という「数詞(数詞を順番に言っていくのが数唱)」
・〇 〇〇 〇〇〇 〇〇〇〇…という「数量」
この3つから成り立っています。数字を数詞に、数詞を数量に、数量を数字に、といったようにこれらを相互に変換できてはじめて「数の概念が成立している」と言えるのですが、身体の動かし方につまずきがある子の場合、どうしても「物の見えにくさ」や「操作経験の不足」があることから、「数字が読めたり、数唱ができたり」していても、数量の理解が進みにくいということがあります。
そこで「4個取って」「3個取って」といった数量の取り出しの学習を行っていくのですが、例えば、ということで以下のように特定の数量を〇で囲んでいくといった方法もあります。
また、「多い/少ない」を学習していくことも重要です。この時「数量同士」「数字同士」を比較していくだけでなく、「数字と数量」「数字と数詞」「数詞と数量」を比較していく中で、それぞれが相互に変換できるということを学んでいきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
79 触知覚を育てる教材
今回は触知覚を育てる教材を紹介していきます。触「知」覚と言っているからには一般的な意味での触覚とは少し違って、点字のように「触ってわかる」「触り分ける」ことを目的としています。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として使うことを想定しています。
これまでに紹介してきた教材の活用ともいえるのですが、例えば⑰の球と輪の弁別、㉙の市販の型はめなどを、ペグを袋や箱に入れ、「視覚に頼らず」触り分けて取り出していきます。球と輪の違いを触り分けたり、〇△□の違いを触り分けたり、各キャラクターのフィギュアを触り分けたり…。触り分ける力を高めていく中で、散髪や爪切りが苦手、服のタグが嫌といった触覚の過敏が調整できるようになったり、見て分かる力が高まっていったりすることがあります。
同じく触知覚を高めるためのものとして、「お腹や背中、手に文字や数字を書いてもらい、それを当てる」といった学習もあります。また、数量を触覚に頼ってあてる、といった学習もあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
75 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その2)
前回の続きとなります。
これまで紹介してきた様々な学習の総決算的なプリントとなります。「物の名前」「色」「形」「大きさ」「季節」「絵の細部」「陸海空」など、様々な属性に焦点をあてて思考していきます。これも「適切な答えを選んでいるか」ということは特に問題としておらず、「どうしてそう考えたのか」ということを問いかけていきます。教員からすると「正しい」答えを選んでいても、理由を聞いてみると不思議な理由だったり、教員からすると「間違った」答えであっても、子どもなりによく考えた結果だったりすることがあります。
「強さ」「大きさ」など比較概念の場合は、「選ぶプリント」「比較するプリント」と進んでいきます。これらも適切な答えであるかどうかは特に問題とはしていなくて、「どうしてそう考えたのか」「強いものには他にどんなものがあるか」「もっと強いのは何か」といったことをやりとりしていくきっかけにしています。
子どもが「あれ?」と考え込む題材を選ぶことがポイントで、「先生とお母さんはどっちが強い?」「先生とお母さんはどっちがかわいい?」とか、答えがあってないような質問をしていきます。もっともな理由を言う子だとか、「これは答えられない」と答える子どもだとか、様々な答えが返ってきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
74 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その1)
58において、「文字を読み上げていること」と「書いてあることの意味が分かること」の間には、大きな違いがあることを紹介しました。今回は、様々な「ことばを育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。
この2枚のプリントは似ていますが、子どもからするとかなり難易度が異なるものになっています。絵を見て単語を選ぶことと、単語を見て絵を選ぶこと。多くの子どもにとっては、前者の「絵を見て単語を選ぶ」ことの方が難しいでしょう。
これは特定の文字を選択するプリントです。「め」と読み上げるためには、「あ」「ぬ」といった形が似通った文字との見分けがついている必要があります。なお、〇を書くことが難しい子どもの場合、あらかじめプリントをホワイトボードにセロテープで貼り付けておいて、磁石を置いていくことで選択できるようにします。
季節に関する言葉なども、プリント化して学習することができます。書くことが難しければ磁石を使います。文字の獲得がまだである子どもは、絵で学習していきます。これらのプリントは「正しい答え」を答えてもらうためのものではありません。教員と子どもとで「これってどういうの?」「見たことある?」「他にはどんなのがある?」「先生はこう思う」といったやりとりを重ね、その子自身がどう考えているのか?ということを深めていきます。
また、プリントを用いるメリットには「その時、その場で子どもが言ったことを教員が書き込んでいける」といったこともあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
61 文字を読み上げるまでに その3
前回の続きとなります。文字面で「『これ』は何ですか」という問いに答えられて、「読み上げることができた」と言えるでしょう。
ただ、ここで注意したいのは、「読めなかったとき」です。ここまでの学習で「絵を見て『か』と言うこと」「身振りを見て『か』と言うこと」はできているはずです。ですので、読めなかったとしても、カードを裏返して絵を見たり、先生がやる身振りを見たりすれば、なんと読むのかを思い出せるはずです。
ところが、実際の場面ではどうでしょうか。子どもが思い出せていないとき、子どもが思い出す前に「『か』でしょう!」と大人が言ってしまい、それを聞いて子どもが「か」と言っていることはないでしょうか。それでは耳で聞いて同じように言っているだけであって、「文字を読み上げている」とは言えません。
ポイントとしては、「『か』と最初に言ったのが誰か」ということになります。実は大人が最初に言ってはいませんか? 子ども自身が「どう読むのか」を思い出すことが何よりも大切で、それを可能にするために身振りなり、絵なりといった、読み方を思い出すためのヒントをたくさん学習していくわけです。
文字を読みあげるためには、それぞれの子どもに応じた、色んな学習のやり方があります。59~61では、それらのやり方の一つを例として紹介してきました。
(本校特別支援教育コーディネーター)
60 文字を読み上げるまでに その2
前回の続きです。絵の面で確実に選択できるように学習していきます。「身振り+音声」での提示でできるようになったら、「音声だけ」「身振りだけ」の提示でも選択できるように学習していきます。
また、絵の面を見て「これは何ですか」と聞かれて読み上げるということも行っていきます。この時点では、文字を読み上げているのではなく、絵を見て読み上げるので十分です。発語が出にくい子どもの場合、絵を見て身振りを行っていきます。
絵の面で「身振り+音声」「音声だけ」「身振りだけ」のいずれでも確実に選択できるようになったら、カードを裏返して文字の面を使っていきます。ここでも「身振り+音声」「音声だけ」「身振りだけ」の順を追って学習していきます。
ここで何よりも大事なのは、「子どもが自分で正誤を確認できる」ということです。「『う』はどれですか」と聞かれて、間違ったカードを選んだとしても、カードをめくって絵の面を見れば合っているかどうかがわかります。ここで、いよいよ文字の面を一枚ずつ見て「『これ』は何ですか」と聞かれて読み上げるということを行っていきます。これができてはじめて「文字を読み上げることができた」と言えるでしょう。
(本校特別支援教育コーディネーター)
59 文字を読み上げるまでに その1
単語の意味を取る前に、まずは文字を読み上げます。今回紹介するのは、53から55にかけて紹介した文字カードを駆使した、文字の読み上げの教え方です。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。
文字を読み上げるためには、どんな基礎・基本の力が必要になるでしょうか。まずは、「『あ』と『め』、『す』と『む』、『れ』と『ね』など似通った文字を見分ける力」が必須となります。㊸で紹介した細部視知覚のこととなります。①で紹介した形態構成で言えば、4~6分割くらいのパズルはできていてほしいところです。
次に、そもそもの「わかる力」「イメージする力」の育ちとなります。目途としては、相手の身振りをその場で模倣したり、大小を比較できたりするくらいの力です。
その他にも、しりとりや「うま→まう」「うし→しう」など単語を逆に言うときに使う、日本語の一音ずつを捉える力(音韻意識)。物事を記憶する力などが必要になってきます。また、日ごろ繰り返し使っている名前カードや日課カードなどを読み上げていることなども、「そろそろ一文字ずつを勉強していく時期」のタイミングとなってきます。逆に言うと、いくら字を勉強してもなかなか身に付きにくいという場合、ここにあげたどこかの力がつまずいているのかもしれません。そういう時は、いったん基礎・基本に戻って学習してみるとよいのではないでしょうか。
では、いよいよ文字カードを使っていきます。最初は、絵の面を並べていきます。
「『あ』はどれですか?」「『い』はどれですか?」と身振りを交えて発問します。これは文字を学ぶための基礎・基本ができていれば、選択できるはずです。逆に言うと、これができなければ文字を学ぶのはまだ早い、ということになるのではないでしょうか。
(特別支援教育コーディネーター)
57 0から5までのサイコロ
今回紹介するのは、「0から5までのサイコロ」です。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。
サイコロというのはすごろくに使うなど数の学習の時に活躍することの多い教材なのですが、一般的な1から6のサイコロというのは扱いにくいことがあります。数量の理解の基本は「5のまとまり」「10のまとまり」の理解になるところ、どうしても「6」の扱いに困るのです。本来であれば、「6」という数量は「5と1」として教えたいところです。
そこで、サイコロの6面のうち、「6」にあたるところを「0」にし、「0から5までのサイコロ」にしてしまいます。そうすると出てくる数字が5までとなり、子どもが「5のまとまり」を意識しやすくなってきます。「0」の概念の導入ともなります。
市販品としての「0から5までのサイコロ」はなかなか手に入りにくいようです。一部の算数セットに含まれているほか、立方体の木に自分で書く、無地のサイコロ(市販されています)に書き込む、といった入手法があります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
56 吹きゴマ
今回紹介するのは、呼気を調整する力を学ぶための吹きゴマとなります。一定時間、口をすぼめてそっと息を吹き続ける呼気のコントロールというのは運動面からみてもかなり難しい力で、およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。
この吹きゴマは市販品になります。色とりどりなので、色の弁別に用いたり、教員が吹いたのを注視するために用いたりすることもあります。
「息を吐く」「息を吹く」というのは呼吸器系を整えたり、円滑に口周りの筋肉を使ったりするうえで、重要な学習になります。他にも「ピンポン玉を吹いて動かす」「ラッパ」「シャボン玉」「風船を膨らませる」「お祭りでよく見る『吹き戻し』」などいろいろなものがあるのですが、この吹きゴマは少ない呼気でもコマがくるくると回るので、子どもにとっても意欲的に取り組みやすい教材となります。
(本校特別支援教育コーディネーター)