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タグ:Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材

197色と形、半立体のマトリクス

これまでも「色と形」という2つの属性を組み合わせる表(マトリクス)の教材を紹介してきました。3×3、4×3、4×4、5×5など様々なものがありましたが、それらは基本的に50ミリ四方の木に、ラミネイト加工したものを貼り付けたものでした。

今回紹介するのは、若干視点が異なり、〇△□、そしてハートと星の形について、半立体の具体物をペグとして用いるものです。色合いをそろえるため、塗装には同じ絵の具を使用しています。また、ハートと星の形は適当な木片が見つかりにくいため、市販されている2ミリ程度の薄さのものを数枚貼り合わせて厚みを出し、それを塗装することでペグにしています。

 

 

 

 

 

 

従来の、印刷した絵が貼り付けられているものと、今回の教材とではどちらがやりやすいでしょうか? 目が見えにくく、形が捉えにくい子どもにとっては、今回の教材の方が「触って形がわかる」ために取り組みやすいかもしれません。一方、手を持ち上げにくい子どもにとっては従来の教材の方が、「すべらせて操作できる」ためにやりやすいかもしれません。これも、ケースバイケースになります。多様な子どものニーズに応じるために、同じ内容であっても、様々な教材を用意しています。

(本校特別支援教育コーディネーター)

166位置把握・口頭

13、16、96、106、162回で紹介してきた位置把握課題ですが、これらは基本的に「目で空間を捉えて」「記憶し」「手で操作して空間を再現する」活動でした。板書を見て同じように書く、といったことにつながっていきます。「見比べる」力を育てる活動です。

 

 

 

 

 

 

この活動に十分取り組むことで可能になってくるのが、今回紹介する、「口頭での位置把握」になります。使い教材としてはこれまでと同じなのですが、教員側の見本を隠したうえで、「真ん中はアンパンマン」「アンパンマンの右がドキンちゃん」など、口頭で伝えていき、耳で聞いた情報から自分で空間を組み立てていくという活動になります。

 

 

 

 

 

 

これは「目で見て」行うよりもかなり難易度が高い活動になります。なお、子どもが取り組んだものが合っているかどうかの答え合わせは、教員側が隠し持っていた見本を「見る」ことで行います。「見て分かる」が十分に身についてきたところで、見えないものを聞いただけでイメージする、「聞いて分かる」の学習に進んでいくわけです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

162位置把握の提示法(3次元)

「161パズルボックス」では立体的に空間を捉えることについて紹介しました。今回は、13、16、96、106回で紹介してきた位置把握課題において、立体的に空間を捉える教材の提示の仕方を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な位置把握課題がありますが、ここにあげているものは縦×横、もしくは高さ×横の、2次元的なものです。3次元的な位置把握課題となると、例えば縦×横×高さで立体的に積み上げた積み木を、同じように積み上げる、といったことが考えられます。ですが、これは手が使いにくい子どもにとっては非常に操作が行いにくい課題となります。また、見本の全体像が見渡しにくいということもあります。

 

 

 

 

 

 

そこで、右の写真のように、教材を提示するという方法があります。これは教材を作る段階で一定の長さのあるダボを利用しているため、穴が開いているペグをいくつか通して「高さ」を表現することができます。ペグを棒に差し込んでいるため、積み木のように倒れることもありません。

(本校特別支援教育コーディネーター)

155高さの系列化(10まで)

前回の続きになります。前回は5まででしたが、同じ枠を2つ並べることで、「10まで」の高さの系列化の教材となります。アクリル棒の高さは、5までに続けて100mm、110mm、120mm、130mm、140mmに調整してあります。

 

 

 

 

 

 

白と黒の2色を使い、「自分で並べる」「見本を見ながら並べる」というように難易度を調整できるようにしてあるのも、5までと同様です。大小を10個並べる、高低を10個並べる、そして次回紹介する「長さ」を10個並べるくらいの力が育つと、「数量」の学習に入ってもスムーズに学んでいけるのではないでしょうか。

(本校特別支援教育コーディネーター)

154高さの系列化(5まで)

㊾「大小を並べる教材」105「様々な並べる教材」で「大きさ」に沿って並べる際の教材を紹介しました。物事を順序付ける(系列化する)視点には、「大きさ」のほか、「高さ」「重さ」「長さ」「速さ」「熱さ」「暑さ」「厚さ」「新しさ」「丸さ」「音量」「面白さ」など様々なものがあります。それらのうち、「速さ」「暑さ」などは教材化するのが困難です。教材化しやすいのは「大きさ」「高さ」「長さ」のように「目で見て分かる」もの、あるいは「重さ」「なめらかさ」「硬さ」「熱さ」のように「触って分かるもの」になるでしょう。

 

 

 

 

「大きさ」については様々な物が市販されていることをお伝えしてきました。いわゆる「ピンクタワー」のほか、入れ子、マトリョーシカなどです。「高さ」についても市販されているものがあるのですが、手の操作が苦手な子どもにとっては扱いにくい(すぐに倒れてしまう)ということがほとんどです。

 

 

 

 

 

 

そこで、穴に差し込むようにすることで、倒れないようにしたものがこの教材です。アクリル棒は幅が20ミリのものを使い、高さを50㎜、60㎜、70㎜、80㎜、90㎜と10ミリ刻みで調整してあります(穴の深さがシナベニヤ3枚分なので、これでちょうど1~5の階段状になります)。なお、アクリルの棒を切るのは業者に発注しています。詳細は本校コーディネーターまでお訊ねください。

また、アクリルの棒を白と黒の2色使い、穴を5×2の2行で開けることで、「自分で並べる」ことと、「見本を見ながら並べる」ことの両方ができるようにしてあります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

108市販の教材の活用(虹の教材)

市販品にちょっとした工夫をすることで、使い方に広がりが出ることがあります。今回紹介する教材も、市販の「虹」に見立てた教材を2つ組み合わせたうえで枠を用意したもので、色、形、大きさ、大きさの順序といったことを学べるようにしています。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。

 

 

 

 

 

 

使い方としては「真ん中の部分だけを入れる」ことから始めて、「全部を自分で入れる」ことに進んでいくのですが、同じような教材を自分で作るのはとても大変です。一方で市販品そのままでは身体の動かし方につまずきがある子供の場合、操作しにくいということがあります。そこで㉘「市販の型はめの応用 その1」や㉙「市販の型はめの応用 その2」でも紹介しましたように、教材の中身に市販品を使い、枠だけを用意すると、一人一人の子供に合わせやすくなってきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

101 二語文の総合と分析の課題 その2(人物と動作)

同じ二語文であっても、「色と形」という組み合わせは、子供にとって比較的気づきやすい組み合わせになります。今回は、それよりももう少しだけ難しい、「人物と動作」の組み合わせの二語文の教材を紹介していきます。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。

 

 

 

 

 

 

教材の作り方としては99と同様で、板目表紙を素材としています。上の方の絵は顔の部分が切り抜かれており、下の絵が見えるようになっています。上の絵、下の絵を交換することで「人物と動作」の組み合わせの絵を作っていきます。

 

 

 

 

 

 

使い方も前回同様です。「男の子が手を洗う」を作るといった「総合」の学習。「この絵はだれ?」「何をしているの?」といった「分析」の学習といったことを通し、頭の中を整理し、言葉の力を高めていきます。

 

二語文には、他にも様々なものがあります。「おおきい らいおん」「ゆっくり あるく」「かんせいな じゅうたくち」。それらのなかで前回、今回取り上げた「色と形」「人物と動作」のように、子供によってわかりやすいものから徐々に学習を進めていきます。二語文の学習は他にも様々なやり方があり、例えば②で紹介したマトリクスのように、色や形といった属性を組み合わせて表を作る、といったものもあります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

99 二語文の総合と分析の課題 その1(色と形)

子供の理解や表出は、「単語の理解や表出」から「二語文の理解や表出」へと進んでいきます。子供の理解や表出が単語から二語文に移行するのは、およそ50の単語がわかるようになったくらいのタイミングであることが多いようです。今回は、二語文を直接的に教えていく際の教材を紹介します。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。

 

 

 

 

 

 

二語文といっても、色んな種類があります。「あかい りんご」のようなものもあれば、「おとこのこ が あるく」といったもの。「きのう は にちようび」「かんせいな じゅうたくち」といったもの。使っている言葉の内容によって、かなり難しさの違いがあります。その中でも特に子供にとってわかりやすいのが、「色」と「形(身近なもの)」の組み合わせになります。「あかい りんご」といったものです。

 

 

 

 

 

 

この教材の場合、たとえば「きいろい ふうせんを作って」と言われて、「きいろ」のカードと「ふうせん」のカードを選んでいきます(総合)。

 

 

 

 

 

 

また、逆に、「この絵は何?」「色は何?」「形は何?」と聞かれて、「あかいくるま」「色はあか」「形はふうせん」と答えていきます(分析)。「色は何?」で難しかったら色だけのカードを提示する。「形は何?」で難しかったら形だけのカードを提示する、といった支援を行っていきます。

 

こうやって物事を総合的に捉えること、分析的に捉えることが、いずれは「数」といったような難しい属性に注目する練習になっていきます。二語文の学習と言うと「国語」の勉強のようにも思えますが、「算数」の内容にも密接につながっていきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

90 絵の不合理、文の不合理

今回紹介するのは、物事を説明する力を高めていくための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。昨今は「主体的・対話的で深い学び」が問われていますが、そこにおいて重要なのは、「どうしてそう思うの?」「つまりどういうこと?」「他にはどういうことがある?」といった発問になってくるのでしょう。教員が説明するだけ、動画を視聴するだけでは、なかなか理解は進んでいきません。教員とのやり取りの中で、子供自身が言葉で物事をまとめていきます。

 

 

 

 

 

 

とはいえ、子供は最初から上手に物事を説明できるわけではありません。そこで、このように「ここが違う!」など説明しやすい教材を用意し、スモールステップで学習を進めていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの教材は「間違っているもの」「正しいもの」それぞれに文と絵がセットになっていて、『正しいものを選ぶ』『見るなり、聞くなりして正しいかどうかを答える』『間違っているのであれば、何が間違っているのかを説明する』といった学習を行っていきます。

 

学習のステップとしては、

A絵を見て、正誤を判断する

B教員が言ったのを耳で聞いて、正誤を判断する

C文を読んで意味を取り、正誤を判断する

という順で難しくなっていきます。文から意味を取るのが難しいようであれば言葉を添え、言葉で分かるのが難しいようであれば絵を見せていきます。どこまでも子供の力に合わせていきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

88 絵の順序

今回紹介するのは、物事の順序、時系列を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

2枚以上の絵を、物事の順序や時系列に沿って並べていく教材です。ラミネイト加工し、板にセロテープで貼り付けることで操作しやすくします。

国語の内容、あるいは自立活動の内容になりますが、算数での「数字を並べる」「大小を並べる」「高低を並べる」「数量を並べる」といったこととも関連の深い内容になります。

『種をまいたら芽が出る』といったように、「~したら~になる」「~をして~をする」といった2つのことを関連付けるということは子どもにとって比較的なじみやすいのですが、それが3つ、あるいは4つに増えていくと、途端に難易度が上がっていきます。この教材は「並べて終わり」でなく、どういう話なのかを説明してもらいます。日ごろたくさんお話している子供であっても、こうやって改めて説明を求められると途端に困ってしまうことがあります。2つの絵を並べて説明するあたりから、物事を整理して話すという練習をしていきます。

また、子供の中にはおしゃべりをすることは難しいけれど…という子がいます。それでも、こういった「操作する」教材を渡すことで、会話に頼ることなく「どのように子供が考えているのか?」といったことを知るきっかけにもなっていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

86 位置の学習3×3

今回紹介するのは、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

「前後」や「上下」に比べると、「左右」の概念は比較的身に付きにくいものです。これは身体の動かし方につまずきのある子供にとっては特に顕著に見られる傾向です。自分の身体を動かす経験が少ない結果、自分の身体というもののイメージが育ちにくく、左右の概念も育ちにくいのだと言われています。また、位置関係だけでなく、「大きさ」「高さ」「速さ」「広さ」など、大人が子供の頃に公園や野山で遊ぶ中で身につけてきたような、「自分の身体を物差しとした概念」なども育ちにくいようです。

※人は自分の身体を物差しにして周囲の世界を捉えていくので、子供の頃に広く感じた校庭や公園が、大人になってから訪れると狭く感じる。身体という物差しそのものが変わってしまったため。

 

育ちにくいからこそ、その指導を工夫していきます。

 

この教材は3つセットになっていて、それぞれ「中央」「上下左右の端」「斜めの端」の1か所だけ磁石が貼りつくようになっています。他は、反発します。この3種類があれば、3×3の場所のすべてを指定することができます。

 

 

 

A「上はどこですか」「右はどこですか」など、絶対的な位置を聞く質問

B「あひるの右はどこですか」「あひるの前はどこですか」など、相対的な位置を聞く質問

を行い、子供に指差しで答えてもらった後、本当に合っているのかどうかを磁石を貼って確かめていきます。繰り返しになりますが、「合っている/合っていない」を教員に言われるのではなく、手ごたえによって自分自身で確かめられるようにする、というのが重要です。

 

 

 

 

 

 

なお、これらの直接的な学習も重要ですが、電動車いすや寝返りなども含めて「自分自身で移動する」経験が空間的な理解を育てていきます。積み木など、各種教材をたくさん操作していくことなども大切で、そこで日ごろの自立活動での姿勢を整える取り組みがいきていきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

80プリント教材とその活用(かずの学習のプリント その1)

今回は、様々な「かずの力を育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。

 

「かずの力」と言いますが、数の概念というのは

・12345…という「数字」

・イチ、ニ、サン、シ、ゴ…という「数詞(数詞を順番に言っていくのが数唱)」

・〇 〇〇 〇〇〇 〇〇〇〇…という「数量」

この3つから成り立っています。数字を数詞に、数詞を数量に、数量を数字に、といったようにこれらを相互に変換できてはじめて「数の概念が成立している」と言えるのですが、身体の動かし方につまずきがある子の場合、どうしても「物の見えにくさ」や「操作経験の不足」があることから、「数字が読めたり、数唱ができたり」していても、数量の理解が進みにくいということがあります。

 

そこで「4個取って」「3個取って」といった数量の取り出しの学習を行っていくのですが、例えば、ということで以下のように特定の数量を〇で囲んでいくといった方法もあります。

 

 

 

 

 

 

また、「多い/少ない」を学習していくことも重要です。この時「数量同士」「数字同士」を比較していくだけでなく、「数字と数量」「数字と数詞」「数詞と数量」を比較していく中で、それぞれが相互に変換できるということを学んでいきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

79 触知覚を育てる教材

今回は触知覚を育てる教材を紹介していきます。触「知」覚と言っているからには一般的な意味での触覚とは少し違って、点字のように「触ってわかる」「触り分ける」ことを目的としています。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

これまでに紹介してきた教材の活用ともいえるのですが、例えば⑰の球と輪の弁別、㉙の市販の型はめなどを、ペグを袋や箱に入れ、「視覚に頼らず」触り分けて取り出していきます。球と輪の違いを触り分けたり、〇△□の違いを触り分けたり、各キャラクターのフィギュアを触り分けたり…。触り分ける力を高めていく中で、散髪や爪切りが苦手、服のタグが嫌といった触覚の過敏が調整できるようになったり、見て分かる力が高まっていったりすることがあります。

 

同じく触知覚を高めるためのものとして、「お腹や背中、手に文字や数字を書いてもらい、それを当てる」といった学習もあります。また、数量を触覚に頼ってあてる、といった学習もあります。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

75 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その2)

前回の続きとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまで紹介してきた様々な学習の総決算的なプリントとなります。「物の名前」「色」「形」「大きさ」「季節」「絵の細部」「陸海空」など、様々な属性に焦点をあてて思考していきます。これも「適切な答えを選んでいるか」ということは特に問題としておらず、「どうしてそう考えたのか」ということを問いかけていきます。教員からすると「正しい」答えを選んでいても、理由を聞いてみると不思議な理由だったり、教員からすると「間違った」答えであっても、子どもなりによく考えた結果だったりすることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

「強さ」「大きさ」など比較概念の場合は、「選ぶプリント」「比較するプリント」と進んでいきます。これらも適切な答えであるかどうかは特に問題とはしていなくて、「どうしてそう考えたのか」「強いものには他にどんなものがあるか」「もっと強いのは何か」といったことをやりとりしていくきっかけにしています。

 

子どもが「あれ?」と考え込む題材を選ぶことがポイントで、「先生とお母さんはどっちが強い?」「先生とお母さんはどっちがかわいい?」とか、答えがあってないような質問をしていきます。もっともな理由を言う子だとか、「これは答えられない」と答える子どもだとか、様々な答えが返ってきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

74 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その1)

58において、「文字を読み上げていること」と「書いてあることの意味が分かること」の間には、大きな違いがあることを紹介しました。今回は、様々な「ことばを育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。

 

 

 

 

 

 

この2枚のプリントは似ていますが、子どもからするとかなり難易度が異なるものになっています。絵を見て単語を選ぶことと、単語を見て絵を選ぶこと。多くの子どもにとっては、前者の「絵を見て単語を選ぶ」ことの方が難しいでしょう。

 

これは特定の文字を選択するプリントです。「め」と読み上げるためには、「あ」「ぬ」といった形が似通った文字との見分けがついている必要があります。なお、〇を書くことが難しい子どもの場合、あらかじめプリントをホワイトボードにセロテープで貼り付けておいて、磁石を置いていくことで選択できるようにします。

 

 

 

 

 

 

 

季節に関する言葉なども、プリント化して学習することができます。書くことが難しければ磁石を使います。文字の獲得がまだである子どもは、絵で学習していきます。これらのプリントは「正しい答え」を答えてもらうためのものではありません。教員と子どもとで「これってどういうの?」「見たことある?」「他にはどんなのがある?」「先生はこう思う」といったやりとりを重ね、その子自身がどう考えているのか?ということを深めていきます。

 

また、プリントを用いるメリットには「その時、その場で子どもが言ったことを教員が書き込んでいける」といったこともあります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

61 文字を読み上げるまでに その3

前回の続きとなります。文字面で「『これ』は何ですか」という問いに答えられて、「読み上げることができた」と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

ただ、ここで注意したいのは、「読めなかったとき」です。ここまでの学習で「絵を見て『か』と言うこと」「身振りを見て『か』と言うこと」はできているはずです。ですので、読めなかったとしても、カードを裏返して絵を見たり、先生がやる身振りを見たりすれば、なんと読むのかを思い出せるはずです。

 

 

 

 

 

 

ところが、実際の場面ではどうでしょうか。子どもが思い出せていないとき、子どもが思い出す前に「『か』でしょう!」と大人が言ってしまい、それを聞いて子どもが「か」と言っていることはないでしょうか。それでは耳で聞いて同じように言っているだけであって、「文字を読み上げている」とは言えません。

 

ポイントとしては、「『か』と最初に言ったのが誰か」ということになります。実は大人が最初に言ってはいませんか? 子ども自身が「どう読むのか」を思い出すことが何よりも大切で、それを可能にするために身振りなり、絵なりといった、読み方を思い出すためのヒントをたくさん学習していくわけです。

 

文字を読みあげるためには、それぞれの子どもに応じた、色んな学習のやり方があります。59~61では、それらのやり方の一つを例として紹介してきました。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

 

60 文字を読み上げるまでに その2

前回の続きです。絵の面で確実に選択できるように学習していきます。「身振り+音声」での提示でできるようになったら、「音声だけ」「身振りだけ」の提示でも選択できるように学習していきます。

 

 

 

 

 

 

また、絵の面を見て「これは何ですか」と聞かれて読み上げるということも行っていきます。この時点では、文字を読み上げているのではなく、絵を見て読み上げるので十分です。発語が出にくい子どもの場合、絵を見て身振りを行っていきます。

 

 

 

 

 

 

絵の面で「身振り+音声」「音声だけ」「身振りだけ」のいずれでも確実に選択できるようになったら、カードを裏返して文字の面を使っていきます。ここでも「身振り+音声」「音声だけ」「身振りだけ」の順を追って学習していきます。

 

 

 

 

 

 

ここで何よりも大事なのは、「子どもが自分で正誤を確認できる」ということです。「『う』はどれですか」と聞かれて、間違ったカードを選んだとしても、カードをめくって絵の面を見れば合っているかどうかがわかります。ここで、いよいよ文字の面を一枚ずつ見て「『これ』は何ですか」と聞かれて読み上げるということを行っていきます。これができてはじめて「文字を読み上げることができた」と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

59 文字を読み上げるまでに その1

単語の意味を取る前に、まずは文字を読み上げます。今回紹介するのは、53から55にかけて紹介した文字カードを駆使した、文字の読み上げの教え方です。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

文字を読み上げるためには、どんな基礎・基本の力が必要になるでしょうか。まずは、「『あ』と『め』、『す』と『む』、『れ』と『ね』など似通った文字を見分ける力」が必須となります。㊸で紹介した細部視知覚のこととなります。①で紹介した形態構成で言えば、4~6分割くらいのパズルはできていてほしいところです。

 

 

 

 

 

 

次に、そもそもの「わかる力」「イメージする力」の育ちとなります。目途としては、相手の身振りをその場で模倣したり、大小を比較できたりするくらいの力です。

 

その他にも、しりとりや「うま→まう」「うし→しう」など単語を逆に言うときに使う、日本語の一音ずつを捉える力(音韻意識)。物事を記憶する力などが必要になってきます。また、日ごろ繰り返し使っている名前カードや日課カードなどを読み上げていることなども、「そろそろ一文字ずつを勉強していく時期」のタイミングとなってきます。逆に言うと、いくら字を勉強してもなかなか身に付きにくいという場合、ここにあげたどこかの力がつまずいているのかもしれません。そういう時は、いったん基礎・基本に戻って学習してみるとよいのではないでしょうか。

 

では、いよいよ文字カードを使っていきます。最初は、絵の面を並べていきます。

 

 

 

 

 

 

「『あ』はどれですか?」「『い』はどれですか?」と身振りを交えて発問します。これは文字を学ぶための基礎・基本ができていれば、選択できるはずです。逆に言うと、これができなければ文字を学ぶのはまだ早い、ということになるのではないでしょうか。

 (特別支援教育コーディネーター)

57 0から5までのサイコロ

今回紹介するのは、「0から5までのサイコロ」です。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

サイコロというのはすごろくに使うなど数の学習の時に活躍することの多い教材なのですが、一般的な1から6のサイコロというのは扱いにくいことがあります。数量の理解の基本は「5のまとまり」「10のまとまり」の理解になるところ、どうしても「6」の扱いに困るのです。本来であれば、「6」という数量は「5と1」として教えたいところです。

 

そこで、サイコロの6面のうち、「6」にあたるところを「0」にし、「0から5までのサイコロ」にしてしまいます。そうすると出てくる数字が5までとなり、子どもが「5のまとまり」を意識しやすくなってきます。「0」の概念の導入ともなります。

 

市販品としての「0から5までのサイコロ」はなかなか手に入りにくいようです。一部の算数セットに含まれているほか、立方体の木に自分で書く、無地のサイコロ(市販されています)に書き込む、といった入手法があります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

56 吹きゴマ

今回紹介するのは、呼気を調整する力を学ぶための吹きゴマとなります。一定時間、口をすぼめてそっと息を吹き続ける呼気のコントロールというのは運動面からみてもかなり難しい力で、およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

この吹きゴマは市販品になります。色とりどりなので、色の弁別に用いたり、教員が吹いたのを注視するために用いたりすることもあります。

 

 

 

「息を吐く」「息を吹く」というのは呼吸器系を整えたり、円滑に口周りの筋肉を使ったりするうえで、重要な学習になります。他にも「ピンポン玉を吹いて動かす」「ラッパ」「シャボン玉」「風船を膨らませる」「お祭りでよく見る『吹き戻し』」などいろいろなものがあるのですが、この吹きゴマは少ない呼気でもコマがくるくると回るので、子どもにとっても意欲的に取り組みやすい教材となります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

55 文字を読み上げるためのカード その3

前回まで紹介してきましたように、『あ』を「あり」と読んでしまうのは適当ではありません。一方で「よくある50音表」のように絵と一緒にイメージで文字をおぼえていく、ということの効果も重要です。そのため、ここでは『き』は「き(木)」の絵、『め』は「め(目)」の絵、『て』は「て(手)」の絵といったように、一音ずつで成立する言葉の絵を選んでいきます。

 

 

 

 

 

 

また、絵を選ぶ際には、「身振り化できる絵である」ということも重要です。子どもたちの中には、文字を読むことができても、発音することが難しい子どもがいます。そんなとき、読めているかどうかを身振り化してもらうことで判断することができます。また、絵と同様に、身振りをおぼえることで、発音を思い出すヒントにもなります。

 

こうした条件を踏まえて絵を選んでいくと、「木」「目」「手」「歯」「蚊」「毛」「背」「血」「火」「矢」「湯」「輪」あたりが出てきます。しかし、足りません。「絵」「田」「津」「戸」「藻」「炉」などは言葉として存在しますが、身振り化しにくかったり、そもそも子どもが言葉を知らなかったりします。

 

そこで、「あ(驚く)」「い(口を横に引く)」「う(お腹を押さえる)」「え(小首をかしげる)」「お(納得する)」といったように、擬音なども含め、ジェスチャーありきで絵を選んでいきます。こうやって完成したのが今回の文字カードです。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

54 文字を読み上げるためのカード その2

前回の続きとなります。片面が文字、片面が絵というカードはよく市販されていますし、50音表もさまざまなものが存在します。その中であえてカードを手作りしているのは、「操作をしやすくする」というためだけではありません。

 

左の写真が、「よくある」50音表です。これで学んでいくとどういうことが起こるかというと、『あ』を見て「あひる」と読んだり、『い』を見て「いえ」と読んだりする子どもが育ちがちです。「自分の名前の頭文字=自分の名前」と思っている子どももいることでしょう。すなわち、「あ」という一つの音に『あ』という一つの文字が対応するという、ひらがなの最大のメリットがわかりにくくなってしまうということになります。

 

「一つの音に一つの文字」というと当たり前のように聞こえるかもしれませんが、漢字などは「犬(いぬ)」のように「複数の音に一つの文字」ですし、ローマ字などは「TA(た)」のように「一つの音に複数の文字」となります。意外かもしれませんが、ひらがなというのは世界的に見ても学びやすい文字だと言われています。

 

読字障害(ディスレクシア)というものがあります。これは使用する文字によって大きく違っていて、イタリア語や日本語では起こりにくく、英語では頻発する、と言われています。これには明確な理由があります。アルファベット全般がそうですが、『A』という文字は、実際には「ア」と発音することが多いにも関わらず、「エー」と読んでいます。ひらがなの場合、『あ』は「あ」でしかありません。ここで混乱が生じるのが1つ目の理由。英語が『TEA』のように複数の文字で1つの音を表しているのが2つ目の理由。そして、英語ならではの理由としてあるのが、『A』という文字を、非常にたくさんの発音で読む、ということがあります。「C『A』T」「POT『A』TO」「『A』LWAYS」。同じ『A』なのに、読み方が全く違います。それに対し、『あ』は「あ」でしかありません。これがひらがなの学びやすさとなります。

 

話は戻りますが、せっかくのそういったひらがなの特徴があるので、一音一文字の原則を十分に身につけ、『あ』を「あり」と読むことがないようにしていきたいところです。

 

※特殊音節、漢字といったものは例外となります。『きゃ』などは1つの音を複数の文字で表しますし、「おと『う』さん」「せんせ『い』」などは発音と表記が一致していません。「O(お)」という音も、時と場合によって『お』や『を』と書き分けたりします。ひらがなの表記も、この辺りがつまずきやすいところです。漢字も、音読み、訓読みというように時と場合によって読み方が異なるため、つまずく子が出てきます。丁寧に教えていく必要があります。

※なお、イタリア語は英語よりも文字と発音の規則性が明確なため、ディスレクシアが起きにくくなります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

53 文字を読み上げるためのカード その1

今回紹介するのは、文字を読み上げるようになるためのカードです。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

繰り返しカードを読み上げれば、文字を読み上げられるようになるわけではありません。そもそも、「文字が読める」ことと「文字の意味が分かる」ことは大きく違います。例えば、英語で「I can’t get no satisfaction」という文があったとして、これを「読み上げる」ことと、「意味が分かる」ことには大きな違いがあるはずです。ひらがなも同じで、子どもが「り」「ん」「ご」と一文字ずつ読み上げることができたとしても、そのとき子どもの頭の中に『りんご』のイメージが浮かんでいるとは限りません。

 

ただ、教員がそのときに「そうだね、りんごだね」などと言ってしまっていて、子ども自身が「読んでわかっている」のではなく、実際には「聞いて分かっている」というときもあります。今回は「読んでわかる」のはひとまず置いておいて、「読み上げる」までのステップとなります。

 カードそのものは㉖の「立体トランプ」と同じ作り方です。厚みをつけ、磁石を埋め込んでいます。操作がしやすくなる、重みがつく、カードがばらけないなど、様々なメリットがあります。

 

 

 

 

 

 

この文字カードは「あ」から「を」までの46音、そして濁音の中でも使用頻度の高い「が」「だ」の全48枚で構成されています。片面が文字、そして裏面が絵になっています。右の写真は一覧になっている50音表です。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

52 具体物からカード、ことば、文字へ

今回紹介するのは、具体物からカード、ことば、文字へと至るステップです。すべての発達のステージにかかってきます。例えば「くだもの」「どうぶつ」「のりもの」の種類の弁別を行う際、ミニチュアなどの具体物を用いて弁別する場合と、単語カードを用いて弁別する場合とでは、難易度は大きく異なります。具体物が簡単で、単語は難しいです。

 

 

 

 

 

 

これは普段の日常生活でも言えて、例えば「トイレに行く」ということを子どもに分かってほしい場合、どうすればいいでしょうか? 一番わかりやすく伝えるのであれば、紙オムツを手渡したり、いつも使っているトイレ用のバッグを手渡したりすることでしょう。次に、そのトイレバックや、便器を写真に撮って作ったカードを手渡すことが効果的でしょう。その次くらいに、『トイレ』のマカトンサインや、トイレを示すシンボルのカードを見せることになるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

「トイレに行くよ」といった言葉かけですとか、『トイレ』という単語カードを見せるとかは、さらにそのあとの、かなり難しい働きかけとなります。大切なのは、これらの伝え方のどの段階で子どもが理解しているのかを把握しておくことになります。1つの段階でわかるようになったら、その次の段階を目指していきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊾大小を並べる教材

これまで、再認(選ぶこと)と再生(言うこと)の違いですとか、弁別のステップですとかを紹介してきました。今回紹介するのは、「大小」「長短」「軽重」といった、比較概念を子どもに教えていく際のステップとなります。このあたりはおよそ、『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』にかかってきます。

 

 

 

 

比較概念とは何でしょうか? 例えば、子どもは「象は大きい」「ありは小さい」と絶対的に理解しています。しかし、象は地球よりも「小さい」ですし、ありは細菌よりも「大きい」です。あくまで2つのものを比較して成立するのが比較概念です。この辺、「色」「形」「陸海空」「季節」といった絶対的な概念とは異なるところになります。ここでは「大小」を取り上げますが、「長短」「高低」「軽重」「多少」「暑さ」「強さ」「可愛さ」なども同じような比較概念です。

 

 

 

 

 

 

最初は、大小を分けることを学びます。まずは、大きいことと小さいことの区別がつかなければ始まりません。そして、「どっちが大きい(小さい)」という学習に進みます。右側の画像の真ん中の〇は、一番小さい〇からすると「大きい」ですが、一番大きい〇からすると「小さい」です。このように、物事を比較して捉えることを学んでいきます。

ここで、「もっと大きい(小さい)ものを知っている?」「他に大きい(小さい)ものは?」といった対話を重ねていくことも、非常に重要となります。深い学びへとつなげていきます。

 

いくつもの物を比較できて、はじめて可能になるのが最初の写真の、「ピンクタワー」を横に並べる(順序付ける)学習になります。こうやって大小や長短といったものを順序付けることを「大小の系列化」「長短の系列化」等といい、様々な教材があります。枠を用意してあげたり、ミニチュアを用意して「のぼれるように階段をつくるよ」といった言葉かけをしてあげたりすると、順序付けるということにイメージを持ちやすくなるようです。

 

大小の学習は、「分ける」「比較する」「順序付ける」と進みます。大小から高低、長短等を経て、「多少」を順序付ける力があって、数の学習に進むことができるようになります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

㊻弁別のステップ(その2)

前回、弁別のステップとして「パターン弁別」「対応弁別」をお伝えしました。さらにその後のステップがあります。このあたりもおよそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。淑徳大学の発達臨床研究センターで開発されたもので、以下、難易度順に紹介します。

 

3番目のステップが、「指差し対応弁別」です。教員が枠を指差しし、それを見たうえで該当するものを選択していきます。これができるためには、相手の指差しの意図を理解する必要があります。

 

 

 

 

4番目のステップが、「対応弁別ポインティング」です。3番目までと違って、今度は型はめの枠の方が子どもの手元に来ます。教員が示したペグを見て、それがどの枠に入るのかを指さしで答えます。先ほどのは指差しの理解でしたが、今度は自分で指差しを行うことになります(応答の指差しの表出)。

 

 

 

 

5番目のステップが、「指差しー指差し対応弁別」です。これは教員が指差しで指定したペグを見て、そしてそれがどこに入るのかを自分でも指差しで示します。指差しの理解と、指差しで応じること、その両方を同時に行う必要があります。最初の「パターン弁別(分ける)」と同じ教材を使ってはいますが、難易度が全く違っているのがわかります。

 

 

さらなる応用としては、指差しだけでなく、教員がじっと見ているペグを選ぶといった「相手の視線を読む」学習なども行っていきます。

 

以上のように、よくある型はめの教材なども、指差しの理解と表出といったところまでねらって使っていくことができます。この辺りが十分に達成できれば、「相手を見る力」や「相手に合わせる力」などが高まり、身体模倣、身振りサインの学習なども円滑に進みやすくなることでしょう。

 

また、今回の弁別のステップは型はめを使って紹介しましたが、これらは色の弁別、単語カードの弁別など、あらゆる学習で応用していくことができます。

 

参考文献:宇佐川浩「感覚と運動の高次化からみた子ども理解」学苑社

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊺弁別のステップ(その1)

同じ内容の同じ教材教具を使っていたとしても、弁別のやり方によって学習の難易度は大きく変わってきます。このあたりはおよそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。

 

最初のやり方は、『分ける』ことです。これは「パターン弁別」ですとか、言語療法の世界では「ふるい分け」だとか呼ばれることがあります。子どもの手元に型はめなどのペグがあり、向こうに枠の選択肢があります。もっとも一般的な学習の形となるでしょう。いわば、形を『見分けて』います。

 

 

 

次のやり方は、『選択する』ことです。これは「対応弁別」ですとか、言語療法の世界では「選択」だとか呼ばれることがあります。手元に〇△□といった複数のペグがあり、向こうに1つだけ枠の選択肢が提示されます。この場合、いわば形を『見比べて』います。

 

 

 

この両者は実際に体験してみるとわかるのですが、圧倒的に後者の『選択する』ことの方が難しいです。理由としては、『選択する』ためには教員が「これを選んで」と選択肢を見せるまで待つ必要があること(見て待つ姿勢)。その選択肢を一時的に記憶したうえで選ぶ必要があること(視覚性の短期記憶)。教員が提示したものを選ぶ必要があること(相手に応じる力)。視線の動きが『分ける』際よりも複雑になること、等があります。 

 

教材をどうやって置くか? というただそれだけのことなのですが、子どもにとっては学習の難易度が大きく変わります。教員は、その都度学習を難しくも簡単にもし、子どもにとって程よい難易度を保っていきます。 

 

参考文献:矢口養護学校小学部「“S‐S法”によることばの遅れとコミュニケーション支援」明治図書出版

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊹重さと色の分類

物事には、「色」「形」「種類」「大きさ」「速さ」「濃さ」「重さ」「硬さ」「滑らかさ」など、様々な属性があります。その中で最も気づきやすいのが「色」と「形」である、ということをお伝えしてきました。しかし実際の気づきやすい属性というのは、子どもによって異なります。例えば脳性麻痺のあるお子さんの場合、色には気づきやすくても、形には気づきにくいということがあります。色は一点を見れば判断できますが、形は輪郭を目で追っていく必要があるからです。また、形の理解に際しては積木などをたくさん触って確かめることから学んでいくことが多いのですが、手指を動かしにくいために、それらの経験が不足しやすいという側面もあります。このあたりはおよそ、『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。

 

 

 

 

 

 

具体的には、「色」と「形」よりも、「色」と「重さ」「大きさ」「滑らかさ」「冷たさ」といったことに気づきやすい子どもたちがいます。基本的には、見て確かめるのではなく、触って確かめることができる属性になります。その中でも、特に「重さ」と「冷たさ」は少ない手の動きで確かめることができるので、わかりやすいようです。

 

 

 

 

 

 

この教材は、イースターエッグに紙粘土をつめたものと、つめていないものです。重いものと軽いものの弁別を行い、色の弁別を行い、やがて「赤くて重いもの」「軽くて黄色いもの」といったような二語文の内容の学習に進んでいきます。なお、缶コーヒーなどの大きい缶と小さい缶を駆使し、お湯/水/凍らせるということ、重さを分けるということで、「大きくて重くて冷たい」といった三語文の内容に深めていくこともできます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊸細部視知覚と全体視知覚

たくさん手を使って教材を操作していくことが、目を育てることにつながっていくということを繰り返しお伝えしてきました。周囲を見る力が高まる中で、子どもは興味関心をさらに高め、自ら動こうとする気持ちも育ちやすくなっていきます。その「見る」力ですが、大きく2つの視点で分けることができます。細部視知覚と、全体視知覚です。このあたりはおよそ、『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』にかかってきます。

 

細部視知覚というのは、細かく見分けていく力のことです。「バナナとミカンの違い」「武蔵野線と伊勢崎線の違い」「漢字の『薔薇』と『嗇徴』の違い」といったことです。人の表情を見分けること、「『あ』と『め』の違い」を見分けること、数字・数量を見分けることなど、さまざまな学習の基盤となる重要な力となります。本校では、①パズルだとか、㊳様々なものの弁別だとかを通して学習していっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、全体視知覚というのは全体を捉える力、物事の関係性を捉える力となります。左の写真で「お母さんが笑っている」とわかるのが細部視知覚だとしたら、右の写真で同じ表情であるとしても、それが「笑顔のようで、実は心底怒っている」とわかるのが全体視知覚となります。この辺りが育ってくると、周囲の状況を捉える力も高まり、人と関わっていくことがより上手になっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体視知覚を高めるために、ということでいくつかの教材があります。水滴の位置によって「汗」ともなれば「雨」とも「涙」ともなる教材。状況を読み取って、必要なものを選ぶといったプリントなどです。細かいステップを刻みながら、子どもたちは学んでいきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

参考文献:宇佐川浩「感覚と運動の高次化からみた子ども理解」学苑社

㊵再生と再認の違い(「これはなに?」と「~はどれ?」の違い)

カードだけでなく、すべての学習に通じることになりますが、例えば「これは誰?」と聞かれてその人の名前を言うことと、「~はどれ?」と聞かれて何人かの中から選ぶこととでは、難易度が大きく変わります。圧倒的に、「これは誰?」に答える方が難しいのではないでしょうか。このあたりはおよそ、『Ⅱ見分ける学習の教材』にかかってきます。

肖像画があり、

 

 

 


「この人は誰?」と聞かれて答える(再生)のは難しいと思いますが

 

 

 

 
「ルイ13世はどれですか?」に答える(再認)だったらどうでしょうか。だいぶ難易度が下がったはずです。

 

子どもの学習も同じようなステップをたどっていきます。りんごとばななであれば、

・りんごとばななを分けることができる <弁別>

・「りんごはどれ?」と聞かれて選ぶことができる <再認>

・「これはなに?」と聞かれて「りんご」と言うことができる <再生>

といった具合です。色の学習などでも同様で、

・赤と青を分ける <弁別>

・「赤はどれ?」で選ぶ <再認>

・これは何色?で「赤」と答える <再生>

 

 

 

 

 

 

と進んでいきます。色などでは、さらに「赤い色にはどんなものがある?」「他にはどんな色がある?」などとも発展していきます。なお、身体の動かし方が苦手な場合、発語が苦手なこともあります。その場合、どうしても物の名前を言うことが困難になるのですが、そんな時には、例えば文字を入力して答える、身振りで答えるといったように、様々な表現手段を工夫していくことになります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㊴積み重ねボックスの活用

「いちごとばななの具体物を分ける」といった同じ内容の弁別であったとしても、どうやって分けるのか、といったことで学習の難易度は変わってきます。㊱の木枠の活用のところでも紹介したように「操作のしやすさ」というのも影響してくるのですが、操作のしやすさを抜いて考えたとしても、だいぶ違いがあります。このあたりはあらゆる発達のステージで共通してきます。

 

 

 

 

 

 
 例えば、左の写真の弁別と右の写真の弁別とでは、分けているものは同じです。同じなのですが、どちらの方が「入れる」「分ける」ということがわかりやすいでしょうか? おそらくは、多くの子どもが右側の方がわかりやすいはずです。左側のボックスは浅く、右側のボックスは深いです。浅い入れ物よりも、深い入れ物の方が、「入れた」「分けた」ということの実感が持ちやすくなります。

 

 

 

 

 

 
 他にも、いろんなサイズのボックスが市販されています。「手の上がりにくさ」とか色んな条件がからむので一概には言えないのですが、深い入れ物、そして面積的に狭い入れ物の方が、わかりやすいことが多くなります。逆に言うと、大きい紙の上に置き分けていく、といった形の学習は非常に難しくなります。次の写真だと、かなり難易度が上がります。

 

 

 

 

 

 
 皿に「置く」枠に「はめる」箱に「入れる」。子どもがやっている動きは同じだとしても、容器によって日本語そのものが変わっていきます。置くよりも、入れる方がわかりやすいはずです。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

㊱木枠の活用

今回紹介するのは、教材を活用するための木枠です。あらゆる発達のステージで使っていきます。手指に力が入りにくい子どもの場合、教材を箱に分け入れていくことが困難になります。ミリ単位の、ほんのちょっとした段差であっても腕を持ち上げるのに苦労し、弁別すること、考えることに集中できなくなることがあります。そのため、できるだけ教材を持ち上げることなく、「すべらせ」「はめる」ことで学習できるように教材を整えています。

 

 

 

 

 

 
 また、不随意運動が入りやすい子どもにも効果的です。百円均一の店で売っている半透明の積み重ねボックス(㊴で紹介)なども様々な大きさ、深さがあって一人一人の子どもに合わせやすいのですが、すべり止めを敷いたとしても、どうしてもガチャガチャと動いてしまいます。

 

 

 

 

 

 
 そこで、上の写真の木枠となります。百円均一の店のA3サイズのMDF板を何枚か貼り合わせ、10センチ四方の大きさで穴をくり抜いています。また、底をもう一枚の板でふさいでいます。10センチ四方の大きさで穴を開けることで、弁別用の枠としてだけでなく、同一規格で作った様々な教材を固定することもできます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

㉟立体トランプ

今回紹介するのは、立体のトランプです。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。

 

 

 

 

 

 

トランプやウノといったカードゲームは楽しいものですが、なにぶん、肢体不自由の特別支援学校に通っている子どもたちは手が使いにくいことが多く、なかなか平面のカードは扱いにくいという現状があります。そのため、百円均一のお店で売っているトランプを1センチ厚のボード(これも百円均一のもの)に貼り付け、子どもが持ちやすいように改造しています。また、そのままではカードがばらけてしまうし、軽すぎて扱いにくいので、磁石を内蔵しています(百円均一の強力磁石を2枚入れる)。

なお、図版は市販のままだと子どもに親しみにくいことがあり、オリジナルのものにしています。スペード、クローバー、ハート、ダイヤをキャラクターに変更したほか、数字をひらがなに変更したものも作っています。

 

磁石を内蔵する方法については、磁石のサイズにカッターでボードをくり抜き、そこに磁石を押しこんでいます。そのうえでセロテープで磁石が動かないように固定し、トランプの両面でボードをはさみこみ、その周囲を梱包用テープで巻きます。なお、梱包用テープですが、百円均一のものよりも、ホームセンターで売っている一巻き300円くらいするものの方が取り扱いやすいようです。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

㉜絵カードの規格とその作り方 その3

用意した絵を印刷します。印刷した絵を切ります。また、同時に板目表紙(厚紙)を絵と同じ大きさ(ここでは50ミリ×83ミリ)で切って用意していきます。

 

 

 

 

 

 

板目表紙の表裏に、絵の面と字の面を仮止めします。そしてその周囲を梱包用の透明なテープで巻いていきます。裏面まで包み込むように巻きます。このとき、セロテープを使用しないことと、梱包用のテープは1巻き300円くらいのものを使うのが重要となります。セロテープはあっという間に劣化してしまうため、安価すぎる梱包用テープは静電気の影響で巻きにくいためです。なお、本を保護するフィルムでもよいのですが、値段が高すぎるでしょうか。

なお、「りんご」のカードなどは、同じものを「色の弁別」「形の弁別」「種類の弁別」「大きさの弁別」「おいしさの弁別」「重さの弁別」など、用途ごとに作ることになります。50音や種類でカードを整理すれば1枚で済むのですが、用途ごとに作っておく方が毎回の用意が簡単でしょう。そのため、「この『りんご』は形用? 色用? 大きさ用?」とわからなくなりがちです。

そんなときのために、用途ごとに小さいシール等で目印をつけ、整理しやすくしておくという工夫があります。例えば季節の弁別用のカードは青シール、可愛さの弁別用のカードは青の上に黄色のシールを重ねる、といったことです。

 

 

 

 

 

 

ここまで準備してあると、子どものわかる力、その時の状況によって即座に子どもに合った課題を提供しやすくなるのではないでしょうか。

(本校特別支援教育コーディネーター)

 

㉛絵カードの規格とその作り方 その2

何のために作るのか、という目的によりカードの仕様も変わってきます。動物、乗り物、食べ物の弁別といったことであれば、カード化するまでもなく、百円均一の店で売っている磁石に、同じく百円均一の店で売っているシールを貼り付ける方がはやいでしょう。また、市販されている様々な「のりもの」「たべもの」などのカードを買ってくる方がはやいでしょう。

 

しかし「カードで色の弁別を行う(赤=ポスト、トマト、いちご等)」「家族や担任の顔で弁別を行う」といった目的の場合、市販品では絵が揃いにくいことがあります。操作のしにくさもあるでしょう。そのため、カードを自作していくことになります。

 

 

 

 

まずは、絵を用意します。これも用途によりますが、将来的に「単語で弁別する」ということに発展させたいということを踏まえ、表に絵、裏に単語のカードを作っていきます。カードのサイズは縦50ミリ×横83ミリくらいですが、このあたりは子どもの手の大きさなどにより変わってくるでしょう。

 

 

ここで、例えばカードで「形の弁別」を行うのであれば

・まる ・さんかく ・しかく ・みかん ・てれび ・やま ・ぼーる ・せんえん ・やね ・とまと ・とうふ ・あんぱんまん ・ぽすと ・たいや ・おさら ・じゅうえん ・しょーとけーき ・おにぎり

 

「熱さの弁別」を行うのであれば

・あつい ・つめたい ・あめ ・れいぞうこ ・おゆ ・おふろ ・らーめん ・なべ ・おちゃ ・すとーぶ ・ざるそば ・しげる ・かきごおり ・すいどう ・こおり ・ひ ・こんろ ・みず

 

といったカードを作っていきます。他に、「色」「長さ」「高さ」「重さ」「可愛さ」「強さ」「多さ」「季節」「おいしさ」「陸海空」など、様々な属性の観点でカードを作ることが考えられます。次回は実際に作っていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

㉚絵カードの規格とその作り方 その1

「絵カード」と言っても、用途ごとに適切な大きさがあり、重さがあり、硬さがあります。例えば十分に『見る』力が育った子どもであれば、紙に印刷されていたり、タブレット等の電子機器に表示されていたりする絵に気づくことができるかもしれません。一方で、見てわかる力がまだ育ち切っていない場合、ずしりと重いカードを持ち、まずはそこに具体物があるということに気づく、というところから学習を進めていく必要があります。

もっと気づきやすくしてある絵カードは、1センチ厚の木にボール盤で直径20ミリの穴を何か所かあけ、そこにいくつもの強力磁石を入れてあるものです。写真のもので、80グラム(磁石6個)になります。磁石10個くらいまでは内蔵することができ、その場合は110グラムとなります。これでトマト半個ぶんくらいの重さとなりますが、ここまで重くなると、子どもも「カードを手にしている」ことにかなり気づきやすいでしょう。なお、これ以上重くすると重すぎて操作がしにくくなることが考えられます。

 

 

 

 

 

 
その次に、百円均一の店舗のカラーボード(1センチ厚)に磁石を埋め込んでいるものがあります。2枚の磁石を埋め込んで20グラム。木製ほどではありませんが、ある程度の重みがあり、磁力もあるため、ただの紙でできているカードやタブレット等の電子機器に表示された絵などよりもだいぶ気づきやすくなります。

 

 

 

 

 

 
 最後に、板目表紙(厚紙)に絵を貼り付け、梱包用のテープで巻いたものです。1枚あたり4グラムとかなり軽くなりますが、それでもある程度の厚みがあるために持ちやすく、ただの紙や、紙をラミネイト加工したものなどよりは扱いやすくなります。現実問題としてすべてのカードに磁石を内蔵して立体化することは難しいということもあり、次回はこのカードの作り方を紹介していきます。

たとえ同じ絵であったとしても、カードの質感(重み等)により、子どもにとっての気づきやすさはだいぶ変わってきます。実際には電子機器などでは絵が光ったり動いたりするために気づきやすくなることがあり、気づきやすさには様々な要因がからんできます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

教材紹介⑯「意味のある位置把握課題」

今回紹介するのは、⑬で紹介した位置把握課題の中でも、ストーリー性のあるものです。子どもの親しみやすい絵本をモチーフにしています。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として使っていきます。

 

枠は百円均一の店舗のMDF材を1/4にカットし、2枚を重ね合わせて使っています。窓のところだけ、ドリルで穴をあけて電動のこぎりの刃を通し、くり抜いています。窓のサイズは、およそ5センチ四方です。

 

 

 

食べ物たちのペグは、百円均一の店舗で6枚セットのものを使用しています。10センチ四方のものをカットし、5センチ四方にしています。これは、②のマトリクスのペグとして使っているものと同じ規格になります。ラミネイト加工した絵を、木工用ボンドで貼り付けています。

 

このように絵本を活用し、ストーリー仕立てにすることで学びやすくなる子どもがいます。一方でストーリー仕立てにすることで学習が複雑になり、逆にわかりにくくなってしまう子どももいます。左の写真の、ごくシンプルな教材の方がやりやすいという子どもたちです。学びやすさは子どもたち一人ひとり異なりますので、そこに合わせていくということになります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

 

教材紹介②「二次元属性分類(色と形のマトリクス)」

教材紹介②「二次元属性分類(色と形のマトリクス)」

 

今回紹介するのは、本校の教員が作った「二次元属性分類(色と形のマトリクス)」です。『Ⅱ見分ける学習の教材』として、あるいは『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として使うことを想定しています。

 

子どもが教材を操作しやすいように、約5ミリの厚みのある板に、ラミネイト加工した絵を貼りつけています。絵をラミネイト加工してあるため、その上を板がすべりやすくなります。木製の枠については、百均のMDF板を土台にし、5ミリの太さのヒノキの棒を木工用ボンドで固定しています。

もちろん、子どもによって持ちやすさは違いますので、3×3センチの板に、磁石を埋め込んだものなど、さまざまなバリエーションがあり、自立活動室に置いてあります。

 

色と形のマトリクスですが、主な目的としては見分ける力を育てていくということになります。また、表の見方であったり、「あかいりんご」「きいろいくるま」といったように、二語文、すなわち言葉の学習としても扱っていきます。

 

物事には、いろんな属性があります。りんごであれば、「赤(色)」「丸(形)」「手のひらサイズ(大きさ)」「りんご(物の名前)」「食べ物(種類)」「常温(温かさ)」「おいしい(味)」など、さまざまな属性があります。それらの中で、一番わかりやすいのが、やはり目に見える『色』であり、『形』であることになりますので、まずは色、形に注目する学習を行っていきます。将来的には、色、形、大きさ、高さ、重さ、長さ、多さなど様々な属性に気付く力をつけたうえで、『数』に気付くという学習に進んでいきます。

 (越谷特別支援学校コーディネーター)