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タグ:Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材

204 ボール入れ 平面 枠あり 方向づけあり(長い距離)

前回紹介したものの続きとなります。前回紹介した教材は、ボールを転がし始める位置(運動の始点)からボールを落とす位置(運動の終点)までの距離が、およそ20センチでした。今回紹介しているものはその倍、約40センチの距離になっています。「距離が倍になっている」ということは、ボールを転がすという運動を2倍、持続させる必要があります。距離が伸びたということは、時間的にも運動を持続させる必要があるということです。また、「ここまでボールを転がしていく」という見通しについても、20センチの時よりも40センチの方が難しくなります。

 

 

 

 

 

 

これは距離が伸びれば伸びるだけ難しくなりますし、方向転換などが伴えば、さらに難しくなります。なお、作成にあたっては2つの箱をそれぞれ切断し、連結しています。中に入っているのはA3の板(45センチ×30センチ)を横に長く切ったものを、5枚重ねたものです。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

203 ボール入れ 平面 枠あり 方向づけあり

186や、前回に紹介したボール入れと同じ要領で作成されている箱入りのボール入れの教材ですが、それぞれ目的がだいぶ異なります。

 

 

 

 

 

 

これまで紹介してきたものが「入れることを学ぶ」ための教材、「並べることを学ぶ」ための教材だとすれば、今回は「方向づけることを学ぶ」ための教材となります。

 

 

 

 

 

 

の大きな穴があります。ボールを落とすためには、大きな穴がある方向に向けて手を動かす必要がありますし、持続して動かし続ける必要があります。

これが例えばスイッチ教材などであれば、そのボタンをその場で、一瞬触ればよいかもしれません。しかしこの教材の場合は、特定の方向に向けて操作し続ける必要があります。運動の持続が求められるわけです。このあたり、「ボール入れ」の教材ではあるのですが、「輪抜き」などと目的が重なるものになります。そして輪抜きの場合は腕を持ち上げる必要がありますが、ボール入れにすることで、子どもの負担が少なくなります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

202 ボール入れ 平面 枠あり 2連/3連

186で紹介したボール入れの続きになります。百円均一で売っている箱を塗装し、その中に箱の内径のサイズに切ったMDF板を5枚重ねて入れています(深さは25ミリ)。使用するボールが45mmですので、このくらい深いと「穴に落ちた」ということを、子どもが実感しやすくなります。

 

 

 

 

 

 

何度か紹介してきましたが、筒へのボール入れのように「縦に連続して入れる」のと、「横に並べて入れる」のとでは、横に並べて入れる方が圧倒的に難しいです。

 

 

 

 

 

 

また「横に並べて入れる」となると、円柱状のペグ(前回201「アクリル棒さし(大)」で紹介したもの)を横に並べて入れる、金属製のリベットを並べて入れる、木工用のダボを並べて入れる、といった教材を見かけます。しかし、それら「長いもの」は子どもの手の中で扱いにくいことがあります。だからこそ練習のために取り組むことがあるのですが、ここでは手にスポリとおさまる、球を使っています。

しかし球だとゴロゴロと転がっていきかねません。そのため、箱の中に教材を固定することで、子どもが活動しやすいよう、子ども自身が工夫しながらやりきることができるようにしています。

(本校特別支援教育コーディネーター)

201 アクリル棒さし(大)

11で紹介した「アクリル棒さし」の別バージョンとなります。アクリルの棒を入れる面をあえて広く取り、目と手の学習が深まるようにしています。使っているアクリル棒は、白が直径25mm長さ50mm。黒が直径15mm長さ50mmです。こういった特定のサイズのものは市販されていないので、業者に発注しています。→詳しくはお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

なお、ここでは太い棒を白、細い棒を黒というようにサイズごとに色を分けています。色の違いに気づきかけている子は、それが太さを見分けるヒントになります。

一方、子どもに合わせて難易度を調整していこうとすると、「難しくするのであれば」すべての棒を同じ色にするということが考えられます。また「易しくするのであれば」太い方だけ先に渡す(細い棒の穴には入らないのでミスがなくなる)、一本ずつ手渡す、といったことが考えられます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

200 野菜の水切り

この「本校の教材教具」コーナーも、ついに200回目を迎えました。200回目ということで紹介するのは、「野菜の水切り(サラダスピナー)」です。機械の目的外の使用になるのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

野菜の水切りの中には、子どもの好きなフィギュアなどを入れます。そしてボタンを押し込むと、フィギュアがぐるぐると回っていきます。意外なくらい、子どもが興味を持って活動することの多い教材となります。

子どもの目の使い方は、「動きや光」などを受け止める『周辺視』から、「色や形(いずれは文字や数)」を見分けていく『中心視』へと発達していきます。この野菜の水切りの活動は、そのうちの周辺視に焦点をあてたものです。詳しくは、「62ハンドスピナー」の記事をご確認ください。また、目の使い方の学習であると同時に、「押す」「動く」という因果関係の学習ともなります。

 

 

 

 

 

 

なお、野菜の水切りにはハンドルを回すタイプもあります。この辺だと、肘を中心とした身体の動かし方の学習ともなってきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

198 横に長い輪抜き

これまで「4」「73」「159」「160」回で『輪抜き』の課題について取り扱ってきました。それらのほとんどが縦方向の輪抜きでしたが、子どもによっては横方向の方が手を使いやすい、という場合もあります。今回紹介するのは、横方向の輪抜きです。

 

 

 

 

 

 

この写真のように、縦方向の輪抜きは、使う棒を高くすれば高くするだけ高くなります。ある程度土台を作ってしまえば、安定感もでます。しかし、横に長くしていくと、そうはいきません。棒を伸ばすと、重心がずれて、簡単に倒れてしまいます。倒れないように大人が支えていれば大丈夫かもしれませんが、できれば子どもが自分の力でやりきってほしいところです。そこで、ここでは土台となる木に棒を貫通させ、横の長さを調整できるようにするとともに、伸ばした方と反対側に重りをつけることで、倒れないようにバランスをとれるようにしてあります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

196〇だけの型はめ(大)

178で「〇だけの型はめ(小)」を紹介しました。今回紹介するのは、「〇だけの型はめ(大)」になります。「小」「大」と言っていますが、「小」が直径40ミリ、「大」が直径80ミリです。こういった極端にシンプルな教材はまず市販されておらず、自作する必要があります。

ペグの直径が倍になると、体積や重さは大きく変わります。子どもにとっては小さい方がやりやすいかもしれませんし、逆の子もいるでしょう。

 

 

 

 

 

 

さらに、ペグの厚みの違いによっても、子どもの達成度は変わってきます。ここでは10ミリ、20ミリ、30ミリを用意しています(厚さ10ミリの板を1~3枚重ねて塗装)。大きくて薄い、小さくて厚いなど、どれが子どもの手になじむかはケースバイケースです。どの教材にも言えることですが、一人一人の子どもに合わせていきます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

195 ラジカセ(+ウゴキんぐ)

前回、ラジカセを紹介しました。機能がシンプルなこと、ボタンの数が限られていることも、子どもが学ぶ上ではメリットとなります。しかしながら、それでもボタンがいくつかあり、ラジオも聞くことができ、複雑といえば、複雑です。

そこで、ラジカセとコンセントとの間に、「ウゴキんぐ」をはさみます。「ウゴキんぐ」はコンセントにつないで使う、あらゆる電化製品をスイッチ化することができる機械です。

 

 

 

 

 

 

ここで肝心なのは、「ウゴキんぐ」で制御できるのは、「電流のON/OFF」だけである、ということです。したがって、「コンセントにつないだだけ」で動き始める機械でなければ意味がありません。例えば、最近のTVをスイッチ化しようとしてもうまくいきません。

スイッチ化しやすいのは、コンセントにつないだだけで動かせる機械。すなわち、掃除機ですとか、ミキサーですとか、そういったものになります。ラジカセもそのひとつで、「再生ボタンを押したまま」「早送りボタンを押したまま」で固定できますので、手ごろに、扱いやすいスイッチ教材となります。

これらは、CDやデータで行おうとしてもできません。ラジカセだからこそできることです。なお、その他の機械はというと、「掃除機」「ミキサー」のほか、「扇風機」「電動のマッサージ器」などが教材にしやすいでしょう。昔ながらのトースターも使えるかもしれません。すなわち、アナログの、コンセントにつないだだけで動く機械です。

(本校特別支援教育コーディネーター)

194ラジカセ

ラジカセを身近で見なくなって久しくなりました。カセットテープからCD、MD、データ、配信と、学校の授業で使われる音源も時代とともに変わってきました。今回はだいぶ昔に使われなくなった、「カセットテープ」そして「ラジカセ」を教材として扱うことを紹介します。ちなみにですが、ラジカセはいまでも新品が売っています。カセットテープも市販されています。

 

 

 

 

 

 

ラジカセ(カセットテープ)と、CDやデータとでは何が違うでしょうか? 大きな違いは2つあります。1つには、音を止めても、また続きから音楽が始まるということです。当たり前のことのようですが、CDやデータではこうはいきません。曲を飛ばしたり、止めたりしているうちに、何がどの曲だったのか、どこがどうつながっているのか、よくわからなくなってしまいがちです。もう一つは、ボタンがアナログであるということ。再生ボタンや停止ボタン、早送り、巻き戻しボタンを押したときに、力強い手ごたえ(固有感覚への入力)と音がする、ということです。液晶の画面を触れるのとは比較にならないくらいの、強いフィードバックが返ってきます。これらの理由から、子どもによっては、「ボタンを押したら音楽(や声)が流れる」「何をしたらどうなる」ということの因果関係を学ぶ、非常によい教材となります。

テープの爪は、折っておきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

192長方形の型はめ 6連 ランダム

前回の続きになります。「長方形だけの型はめ」に続くものとしては〇△□同様に2連、3連にといったことが考えられますが、長方形ともなると、すでにかなり「図形を見分ける」「手を操作する」力が育っていることが想定されます。そこで、今回紹介するものは一気に6連。しかも図形の方向を、あえてランダムにしてあります。こうすることで、長方形だからこそ、多様な角度で手首を動かす必要性が生まれます。

 

 

 

 

 

 

型はめパズルというと、算数科の内容として、図形の学習に向けたものと思われがちではないでしょうか。しかし設定の仕方によっては、日々の生活動作の向上に向けた、手首の使い方を学ぶための教材ともなります。

(本校特別支援教育コーディネーター)