タグ:Ⅳ文字や数を身につける際の教材
87 位置の学習5×5
前回に続き、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
A「上から3番目、左から2番目はどこですか」といった絶対的な位置
B「ひよこの向かって右に2つ、後ろに1つはどこですか」といった相対的な位置
といったことを教員が質問していき、子供が指差しで選んでいきます。そのうえで合っているかどうかを「磁石がはりつくか/はりつかないか」で子供自身が確かめていきます。3×3のときとは違い、上の板を取り外せるようになっており、その場でどこの位置に磁石が貼りつくのかを変えていきます。
なお、この教材は上の板さえ変えてしまえば最大で7×5の表を表現できるので、マトリクスの枠として使ったり、20までの数量の取り出しに使ったりと、多用途に用いることができます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
86 位置の学習3×3
今回紹介するのは、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
「前後」や「上下」に比べると、「左右」の概念は比較的身に付きにくいものです。これは身体の動かし方につまずきのある子供にとっては特に顕著に見られる傾向です。自分の身体を動かす経験が少ない結果、自分の身体というもののイメージが育ちにくく、左右の概念も育ちにくいのだと言われています。また、位置関係だけでなく、「大きさ」「高さ」「速さ」「広さ」など、大人が子供の頃に公園や野山で遊ぶ中で身につけてきたような、「自分の身体を物差しとした概念」なども育ちにくいようです。
※人は自分の身体を物差しにして周囲の世界を捉えていくので、子供の頃に広く感じた校庭や公園が、大人になってから訪れると狭く感じる。身体という物差しそのものが変わってしまったため。
育ちにくいからこそ、その指導を工夫していきます。
この教材は3つセットになっていて、それぞれ「中央」「上下左右の端」「斜めの端」の1か所だけ磁石が貼りつくようになっています。他は、反発します。この3種類があれば、3×3の場所のすべてを指定することができます。
A「上はどこですか」「右はどこですか」など、絶対的な位置を聞く質問
B「あひるの右はどこですか」「あひるの前はどこですか」など、相対的な位置を聞く質問
を行い、子供に指差しで答えてもらった後、本当に合っているのかどうかを磁石を貼って確かめていきます。繰り返しになりますが、「合っている/合っていない」を教員に言われるのではなく、手ごたえによって自分自身で確かめられるようにする、というのが重要です。
なお、これらの直接的な学習も重要ですが、電動車いすや寝返りなども含めて「自分自身で移動する」経験が空間的な理解を育てていきます。積み木など、各種教材をたくさん操作していくことなども大切で、そこで日ごろの自立活動での姿勢を整える取り組みがいきていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
85 「いくつ」と「〇番目」
今回紹介するのは、「いくつ」と「〇番目」の違いを学ぶための教材です。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
英語などでは「one/first」「two/second」「three/third」といったように「いくつ(基数詞)」と「〇番目(序数詞)」が根本的に分かれていることが多いのですが、日本語の場合は「第〇」「〇番目」「〇回目」などと様々な言葉で表現していて、子供にとっては混乱しやすいようです。
「右から3番目」と「右から3個」の違いを学んでいくにあたり、やはり、子供自身が答えを確かめられるということが重要になってきます。そこで、ここでも磁石の反発を利用していきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
83 数量の取り出しの教材 その2
前回の続きになります。これまでも繰り返しお伝えしてきましたように、「できた」「できない」を子供自身が確認できるという状況を作っていくことが重要となります。教員が「合っている」「合っていない」を教えていくと、子どもは教材ではなく、教員の顔色を見て正誤を判断するようになってしまいます。
例えば、ということで手軽に用意できるのが、百円均一の店で売っている鶏卵のホルダーです。中身の、黄色い部分だけを使うことが多いです。このホルダーは10個入りであることが数の学習に向いていて、子供は取り出した具体物をホルダーに置いていき、数量を確かめます。
一定の数量を繰り返し取り出す、という学習も行います。毎回「いち、に、さん」と数えながら数量を取り出しているのでは十分に身についているとは言えず、数えるまでもなく数量を捉える力を、手の感覚として身につけていきます。
いずれにしろ、「3取って」と言われながら4つ掴んでしまった場合、全部置きなおして最初からやり直すのではなく、手の中にある具体物を1つだけよける、といった力が重要となります。
子どもの数量の感覚は比較的3までは身に付きやすいのですが、4以上となるとなかなか難しいことがあります。5以上の数量を感覚的に捉えるのは大人でも難しいので、6からは「5といくつ」という風に捉えるようにおぼえていきます。数量の5のまとまり、10のまとまりをつかむ力が、数の概念の中でも、特に重要な力となってきます。
そのため、さまざまな数量の中でも、特に「5を取り出す」力は大切です。石を取り出して5個ずつセロテープでまとめる、棒を取り出して5本ずつ輪ゴムでまとめるなど、「5」という数量の感覚を手でつかんでいきます。
76~78で紹介したように、磁石の反発を利用したやり方で、指定された数量しか入らない枠というものもあります。合っているのかどうかを磁石の反発という手ごたえ(固有感覚)が教えてくれるので、子どもが自分自身で答えを確かめることができます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
82 数量の取り出しの教材 その1
80でも紹介しましたが、身体の動かし方につまずきがあると、耳を使って覚える「数唱」や「九九」を唱えることはできても、その数がどのくらいの量なのかということを感覚的につかみにくい、ということが起きやすくなります。「百まで数えられる」「九九が言える」けれど、たくさんの具体物の中から「3取って」「4取って」等と言われると困ってしまう、といったことです。今回はそんな時に用いる教材を紹介します。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。
数を学ぶ前には、大きさ、長さ、高さ、重さ、冷たさなどを分け、比較し、順序付けるといったことを丁寧に行っていきます。そのうえで、「〇個取って」と指定された数量を取り出すような学習に進んでいきます。
また、そもそものところとして、カードを使って数量の「〇」と「〇〇〇」を見分けるといった学習もあります。数量も大小あたりと同じで、分け、比較し、並べます。
そしてその中に数字や数詞をまぜこんでいき、数の概念を整えていくということも行います。
そして数量の取り出しを行います。やはり、⑭で紹介したストーンアイスキューブが手になじみやすいでしょうか。百円均一のお店で、4個セットで販売されています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
81プリント教材とその活用(かずの学習のプリント その2)
前回の続きとなります。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。
足し算、引き算といったプリントも、数字を扱うだけでなく、数量を織り交ぜていきます。こうすることで、数字の背景には数量があるのだという数の感覚を高めていきます。
また、このように、ただ単に式の答えを出していくだけでなく、一工夫していきます。「先生の数」など「あれ?」と子どもが考え込む要素を入れていきます。答えは1つではありません。他にも、「7」と「いまのお腹のすき具合」や、「5」と「先生の怖さ」とかを比較したりしてみても面白いかもしれません。様々なものを数に置き換え、考えることを学んでいきます。
また、これらのプリントに取り組むに際しては、数字を書いた磁石を置いていく、該当する式の上に磁石を置いていくなどして、子どもの負担を減らしていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
80プリント教材とその活用(かずの学習のプリント その1)
今回は、様々な「かずの力を育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。
「かずの力」と言いますが、数の概念というのは
・12345…という「数字」
・イチ、ニ、サン、シ、ゴ…という「数詞(数詞を順番に言っていくのが数唱)」
・〇 〇〇 〇〇〇 〇〇〇〇…という「数量」
この3つから成り立っています。数字を数詞に、数詞を数量に、数量を数字に、といったようにこれらを相互に変換できてはじめて「数の概念が成立している」と言えるのですが、身体の動かし方につまずきがある子の場合、どうしても「物の見えにくさ」や「操作経験の不足」があることから、「数字が読めたり、数唱ができたり」していても、数量の理解が進みにくいということがあります。
そこで「4個取って」「3個取って」といった数量の取り出しの学習を行っていくのですが、例えば、ということで以下のように特定の数量を〇で囲んでいくといった方法もあります。
また、「多い/少ない」を学習していくことも重要です。この時「数量同士」「数字同士」を比較していくだけでなく、「数字と数量」「数字と数詞」「数詞と数量」を比較していく中で、それぞれが相互に変換できるということを学んでいきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
75 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その2)
前回の続きとなります。
これまで紹介してきた様々な学習の総決算的なプリントとなります。「物の名前」「色」「形」「大きさ」「季節」「絵の細部」「陸海空」など、様々な属性に焦点をあてて思考していきます。これも「適切な答えを選んでいるか」ということは特に問題としておらず、「どうしてそう考えたのか」ということを問いかけていきます。教員からすると「正しい」答えを選んでいても、理由を聞いてみると不思議な理由だったり、教員からすると「間違った」答えであっても、子どもなりによく考えた結果だったりすることがあります。
「強さ」「大きさ」など比較概念の場合は、「選ぶプリント」「比較するプリント」と進んでいきます。これらも適切な答えであるかどうかは特に問題とはしていなくて、「どうしてそう考えたのか」「強いものには他にどんなものがあるか」「もっと強いのは何か」といったことをやりとりしていくきっかけにしています。
子どもが「あれ?」と考え込む題材を選ぶことがポイントで、「先生とお母さんはどっちが強い?」「先生とお母さんはどっちがかわいい?」とか、答えがあってないような質問をしていきます。もっともな理由を言う子だとか、「これは答えられない」と答える子どもだとか、様々な答えが返ってきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
74 プリント教材とその活用(ことばの学習のプリント その1)
58において、「文字を読み上げていること」と「書いてあることの意味が分かること」の間には、大きな違いがあることを紹介しました。今回は、様々な「ことばを育てる」プリント教材を紹介します。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として用いることを想定しています。
この2枚のプリントは似ていますが、子どもからするとかなり難易度が異なるものになっています。絵を見て単語を選ぶことと、単語を見て絵を選ぶこと。多くの子どもにとっては、前者の「絵を見て単語を選ぶ」ことの方が難しいでしょう。
これは特定の文字を選択するプリントです。「め」と読み上げるためには、「あ」「ぬ」といった形が似通った文字との見分けがついている必要があります。なお、〇を書くことが難しい子どもの場合、あらかじめプリントをホワイトボードにセロテープで貼り付けておいて、磁石を置いていくことで選択できるようにします。
季節に関する言葉なども、プリント化して学習することができます。書くことが難しければ磁石を使います。文字の獲得がまだである子どもは、絵で学習していきます。これらのプリントは「正しい答え」を答えてもらうためのものではありません。教員と子どもとで「これってどういうの?」「見たことある?」「他にはどんなのがある?」「先生はこう思う」といったやりとりを重ね、その子自身がどう考えているのか?ということを深めていきます。
また、プリントを用いるメリットには「その時、その場で子どもが言ったことを教員が書き込んでいける」といったこともあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
65 繰り上がりの支援 その2
前回の続きとなります。
C 4(加数)を分解して10を作るやり方
もっとも一般的なやり方で、「7はあと3で10」「4を3と1に分解」「10と、あと1だから11」というように、「7+4」を「7+(3+1)」「(7+3)+1」「10+1」と操作していきます。ただし、この場合は『10までの合成と分解』が理解できている必要があるため、前回紹介したようなやり方よりもハードルが上がります。
D 5のまとまりをつくるやり方
その他に、「5のまとまり」を重視して、「7を5と2に分ける」「4はあと1で5」「2を1と1に分解」「5が2つと、あと1だから11」という考え方もあります。これだと、『5までの合成と分解』が理解できていれば計算することができます。「7+4」を「(5+2)+4」「5+(1+4)+1)」「5+5+1」と操作していきます。手続きとしては、煩雑になるでしょうか。順を追った処理が得意な子であれば、やりやすいかもしれません。
前回紹介したような、「指を使う」「ドットを書く」といったやり方は、算数科の内容を積み重ねていくということを考えると、推奨しにくいところがあります。しかしながら計算をすることの目的が『自分で答えを出すことで、自信をつける』ということだったり、『「計算だけ」がどうしても苦手』だったりすればどうでしょうか。子どもによって、時と場合によって、適切な繰り上がりのやり方は変わってきます。無理に自分で計算せず、計算機を使うことが適切である子もいるでしょう。
大人になってしまうと20までの加減算や九九は暗記してしまい、自分自身が「どうやっているのか」を意識しにくくなります。しかしながら繰り上がり一つを取り上げても様々なやり方があり、子どものそれまでの学習の積み重ねや得意不得意を踏まえて選択していくことになります。
(本校特別支援教育コーディネーター)