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94 一対一対応(数の保存概念) その4

前回の続きになります。具体物の「多い/少ない/同じ」の学習を丁寧に進めていくこと、そしてそれを確かめる方法として一対一対応を身につけていくことが、その先の数詞や数字を駆使した学習につながっていくことをお伝えしてきました。

 

一対一対応をするということは、牛でもねずみでも、大きい羊も小さい羊も、好きなキャラクターも嫌いなキャラクターも、そんなことは関係なく、「一つのものは一つ」として「数の観点からすると等価値」であるという抽象的な思考ができることでもあります。

 

 

「〇〇マンは大好きだから、こっちのほうが強い!」「牛さんの方が大きいから、こっちがすごい!」といった感覚では、数量同士の比較、一対一対応はできないわけです。色も形も大きさも好きかどうかも関係なく、「数」ということだけに注目することですので、かなり難しい思考になります。ですので、基本的には小学校1年生の算数は具体物同士の一対一対応から始まります。それができてはじめて、ドット(・)に置き換えたり、数詞(イチニサン)に置き換えて比較したり、数字(123)に置き換えて比較したりということができるからです。

 

よく見るとどのフィギュアもみんな違うのですが、数の観点からすると「みんな等しい」。この思考を育てます。

 

 

 

「数『だけ』に注目する」というのはかなり難しい思考です。そこにたどり着くために、これまでに紹介してきたようなマトリクスや弁別といった学習を通して「色に注目する」「形に注目する」「大きさに注目する」といった練習をしていくわけです。

 

また、一対一対応を学ぶためには、そもそも「動かしても、数は変わらない」という数の保存概念が成立していないと困難です。具体物を動かして比較しますから。

 

 

 

これが成立していないとき、子供は「これいくつ?」と言われて「1、2、3、『3』」と答えたとしても、その位置を変えてもう一度聞かれたときに、また「1、2、3」と数えなおしてしまいます。身体のつまずきがある子供の場合、公園での砂場遊び、積み木遊びといった経験が不足しがちなことから、「動かしても量は変わらない」という感覚が身に付きにくくなります。それが算数の学びにくさといったことにつながっていくのですが、だからこそ、特別支援学校では教材を工夫し、内容を工夫し、一人一人の子供に合わせて授業を工夫していくことになります。

 (本校特別支援教育コーディネーター)