168袋から出して入れる
前回、ボウリングを通して「手段をつなげていく」ということの視点について紹介しました。同じように、「目的がわかりやすい活動」の中で手段をつなげる、見通しを持って活動するための学習として、「袋から出して入れる」というものもあります。
「ボールを取って」→「入れる」だけならば、活動のつながりは1つです。活動に必要な見通しはシンプルなものになります。「ボタンを押して」→「電気を消す」、「蛇口をひねって」→「水を出す」そして前回紹介した「ボールを転がして」→「ピンを倒す」なども、「見通し」という観点からすると、ほぼ同様の難易度の活動になります。これらはいずれも「ボタンを押すこと」「蛇口をひねること」「ボールを転がすこと」そのものが活動の目的なのではなく、「電気を消す」「水を出す」「ピンを倒す」といった『目的のための手段』になっています。
では、「袋から出して」「ボールを取って」→「入れる」となると、どうでしょうか。これは活動が2つつながり、連鎖しています。「ボールを取って」→「入れる」よりも活動のつながりが多いわけで、より見通しをもつことが難しい活動となります。さらに活動の難易度を上げていくと、袋を紐でしばったうえで「紐をほどいて」「袋から出して」「ボールを取って」→「入れる」というように3つ活動をつなげるといったことが考えられます。
今回、子どもの見通しということ、活動をつなげていくという視点を紹介しました。実際の生活では、様々な複雑な見通しが求められます。自動販売機を見つけたとき、「のどの渇きを潤すために」「財布を探す」といった場面があるかと思います。しかし、「のどの渇きを潤す」という目的と、「財布を見つける」という手段の間とには、どれだけの活動のつながりがあるでしょうか? 大人からすると当然のつながりなのですが、子どもの成長を考えたとき、ごくシンプルな見通しから、丁寧に活動をつなげ、手段と目的の距離を離していく学習が必要になってきます。
(本校特別支援教育コーデイネーター)