189ウェイトブランケット
人には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など様々な感覚があり、それぞれが重要な役割を果たしています。その中でも姿勢・運動ということになると、「視覚」「前庭感覚」そして「固有感覚」がポイントとなってきます。「固有感覚」というと聞きなれないかと思いますが、自分の手足がどう曲がっているか、動いているか、どのくらい力が入っているかということ。すなわち筋肉や関節の状態をモニターする感覚となります。
この感覚が整っていないと、そもそも自分の身体がどうなっているのか、どのように動いているのかがわかりにくいということですので、寝返りをする、座る、立つといった様々な場面に影響していきます。また、固有感覚を感じにくいということは、自分の身体がふわふわとしてしまうということ、極端に言うと「自分の身体がそこにある」ということに気づきにくいということでもあるようです。結果、気持ちもふわふわと落ち着かないものになっていきがちです。
今回紹介するのは、ずっしりと重いブランケット、すなわち「ウェイトブランケット」です。人は、誰かにぎゅっと抱きしめられると落ち着いたり、自分で自分の身体を抱きしめることで落ち着いたりすることがあります。固有感覚と、子どもの情動とが密接に結びついているからです。
子どもとの関わりの第一歩はぎゅっと抱きしめてあげること…なのですが、いつも抱っこというわけにもいきませんし、触覚や前庭感覚が過敏で、抱っこが苦手という子もいます。ほんのささいなことなのですが、座っているときにウェイトブランケットなどで膝の上に重みがかかることで、気持ちを落ち着けて活動できるという子どもがいます。うつ伏せ時に、腰のあたりに重みが加わることで落ち着く子どももいるようです。なお、似たような目的のものとして、「重量のあるベスト」なども市販されています。
(本校特別支援教育コーディネーター)