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150単語、文指導のステップ 番外編 特殊音節

「本校の教材教具」コーナーも150回目を迎えました。ご愛読ありがとうございます。

子どもに単語や文字の学習を教えていると、「あれ?」と思うことがあります。大人がイメージする音と、子どもが実際に聞いている音との違いです。

 

 

 

 

 

 

 

例えば「らいおん」ですが、これを文字を覚えたての子どもに打ってもらうと、「らいよん」となりがちです。また、草加市は本校の学区ですが、子どもに打ってもらうと「そか」となることがあります。「そうか」ではありません。

文字を学習済みの大人にとっては「先生(せんせい)」「お父さん(おとうさん)」「氷(こおり)」「小売り(こうり)」「行李(こうり)」「郡(こおり)」といった表記に違和感はないはずです。そしておそらくは、文字表記のイメージ通りに聞こえていることでしょう、しかし文字を学んでいる段階の子どもからするとどうでしょうか。

身近な「せんせい」という言葉からして、子どもは「せんせえ」と書きますし、子どもの耳にはそのように聞こえています。実際には大人にもそう発音していることが多いのですが、我々の頭は自動的に文字表記に合わせて変換してしまいます。

例えば、「おとうさん」の「う」は何と発音しているでしょうか? 「お」のはずです。このように実際の発音と文字表記が異なるのが「特殊音節」であり、子どもがつまずいていきやすいところです。ひらがなは本質的に、音と文字が一致しているので学びやすい文字言語です。しかし例外もあり、指導に当たっては丁寧に行っていく必要があります。

助詞の「を」「へ」「は」もそうです。「八戸へ行く(はちのへへいく)」「母は(ははは)」の分かりにくさは言うまでもありません。「を」についても、子どもに教える時に「WO」と強調したくなりますが、実際には「お」と全く同じ発音になっています。

「こ『お』り」「おと『う』さん」あたりも同じ発音なのに、文字表記になると変わってしまう。非常に難しいところです。※旧仮名遣いなど歴史的な経緯があるため。

また、漢字になると「林(リン、はやし)」といったように一つの文字に複数の読み方が出てきて、子どもの混乱に拍車をかけていきます。単語、文の指導に当たっては、それらの日本語表記のわかりにくさを十分に踏まえたうえで行っていく必要があります。

それでも、英語と比べると、だいぶ日本語の表記はわかりやすいようです。英語の場合、そもそも「A(エイ)」を「エイ」とは発音しません。「C『A』T(キャット)」「『A』LW『A』YS(オールウェイズ)」。ここに出てくる「A」は全部発音が違います。「発音の例外」が日本語よりもはるかに多く、これが英語圏の読字障害(ディスレクシア)の多さの要因となっているようです。

(本校特別支援教育コーディネーター)