2020年2月の記事一覧
教材紹介⑦「電池入れ(直線、円)」
今回紹介するのは、本校の教員が作った「電池入れ」です。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』、あるいは『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。
「見分ける」要素を入れるために、単3電池、単2電池を使い分けています(単2電池だけを入れるものもあります)。横の直線の電池入れは、ホームセンターで市販されている2×材を使用しています。ドリルで厚い板を貫通させ、薄い板を貼り合わせて底をふさぐ、という要領です。木の幅はおよそ30センチ。ドリルの刃は単2電池用で26~27ミリの木工用ボアビット。単3電池用で15~18ミリのものを使用しています。
円形のものは、⑥「丸の型はめ」と同じ、ホームセンターで売っていた直径18センチ弱の端材を、4枚重ねて使っています。3枚を貫通させ、1枚で底をふさぎます。
(ボール盤を使うため)作成するのには敷居が高そうな教材ですが、実際にはさして手もかからず、あっという間にできてしまう教材です。一方で教材としての効果は高く、「全部入れて終わり」という理解や、大小を見分けること、手指の操作といったことを促すことができます。最終的には、「円」という図形を意識していくこともねらっています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介⑥「丸の型はめ」
今回紹介するのは、本校の教員が作った型はめパズルです。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
土台はA4サイズ(百円均一の店舗でA3サイズで売っているMDF材を半分に切って使用)。ペグはホームセンターで扱っていた、直径18センチ弱の端材を使用しています。作り方としては⑤で紹介した型はめと同じですが、サイズが大きめとなります。意外と円形の、大きい型はめというのは市販されているものを見かけず、教員が絵を描き、色を塗ってニスを塗り、紙やすりで仕上げています。
円形は最もはまりやすい形であるため、⑤の型はめでは細かい見分けや操作することが難しい子どもが扱っています。なお、ペグと土台は別の木を使っています。土台から形をくり抜けばそれをそのまま使えそうなのですが、実際には正確に「円」や「四角」「三角」といった図形をくり抜くのは困難です。ペグとなるものは市販品を買い、土台だけをくり抜くのが作りやすいようです。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介⑤「型はめパズル」
今回紹介するのは、本校の教員が作った型はめパズルです。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』のほか、『Ⅱ見分ける学習の教材』、あるいは『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』といった多用途で使うことを想定しています。
同じ絵を2枚ずつ用意し、ペグ用と、土台用として用います。ペグ用は絵の周囲を切り抜いたうえでラミネイト加工し、土台用は約10センチ四方の大きさで切り抜いてラミネイト加工します。
ペグ用の絵はラミネイト加工したうえでさらに周囲を切り抜き、それを1センチ厚のヒノキ材(百円均一の店舗で売っているもの)に木工用ボンドで貼り付けます。乾いたらその周囲を電動のこぎりで切り、ペグが完成します。
土台については、百円均一の店舗で売っている、6枚セットのMDF材を2枚用いています。土台用の絵(ラミネイト加工したもの)を、1枚の板に木工用ボンドで貼り付けます。また、先に作ったペグをもう一枚の板にあて、鉛筆で少しだけ大きめに周囲をなぞっていきます。ドリルで穴をあけ、鉛筆の線にそって電動のこぎりの刃を中に通してくりぬいていきます。2枚の板を木工用ボンドで接着したら、出来上がりです。ペグ用の板が1センチ、土台用の板が5ミリなので、ペグが少しだけ浮き上がるようになっています。
多少、手間がかかっているのですが、市販のパズルは複雑すぎて扱いにくいことが多く、子どもに扱いやすい、シンプルなものを用意しています。また、これらの型はめパズルは単に絵と絵のマッチングやはめ込む学習として用いるだけでなく、言葉の学習、身振りの学習を行うためにも用いることができます。「ぶた」と言われてぶたの絵を選ぶ、教員がぶたの仕草をしたのを見て、ぶたの絵を選ぶなどです。そのため、作成しているパズルの絵は、「ぶた」「さかな」「めがね」「ぺん」「ぞう」「非常口」など、『子どもに親しみやすい』だけでなく、『身振り化しやすい』ものを選んでいます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介④「一方向/多方向輪抜き」
今回紹介するのは、市販の「キッチンペーパーホルダー」と「マグカップホルダー」を利用した、「輪抜き」の教材です。市販品を組み合わせているだけで、特に加工している部分はありません。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
棒に通してある円筒状のペグは穴が開いていれば何でもよいのですが、ここでは木製のものを使っています。やはり、ある程度の重さがあったほうが子どもは扱いやすいですし、「持っている」ことの実感がつかみやすく、ペグを棒から抜いて箱に入れた際の音も大きくなります。
子どもの手の使い方を引き出すにあたり、子どもはどうしても自分の使いたいように手を使う傾向があります。そこで、一方向/多方向の棒で手を使う方向を指定し、さまざまな方向に手を使う、といったことが学べるようにしていきます。
なお、輪を引き抜いて学習が終わりなのではなく、それを箱に入れて、「入れて終わりにする」ということ(活動の終点の理解)を促していきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
教材紹介③「鉄球入れ(鉄球とアクリルパイプ)」
今回紹介するのは、市販の鉄球(正確にはステンレス球)です。本校の教員が作った筒(パイプは市販、土台は自作)に入れていきます。『Ⅰ手や目を使う基礎を整える教材』として使うことを想定しています。
球の直径、及びパイプの内径は45ミリです。市販の玩具である「くるくるチャイム」のボールや、ゴルフボールなどとの互換性があります。ステンレス球にはかなりの重みがありますが、その重みがあることで、子どもが球を持った時に「持っている」という実感を持ちやすくなります。また、球を操作するに際しても、ある程度の重みがあった方が操作がしやすいようです。
鉄球入れですが、主な目的としては「入れる」ということの学習となります。「入れる」の先に、「入れ分ける」すなわち弁別の学習へとつながっていくからです。また、入れる、「入れて終わりにする」ということそのもの(活動の終点の理解)が、見通しを持って活動することの第一歩になっていきます。
(越谷特別支援学校コーディネーター)