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2020年8月の記事一覧

87 位置の学習5×5

前回に続き、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

A「上から3番目、左から2番目はどこですか」といった絶対的な位置

B「ひよこの向かって右に2つ、後ろに1つはどこですか」といった相対的な位置

といったことを教員が質問していき、子供が指差しで選んでいきます。そのうえで合っているかどうかを「磁石がはりつくか/はりつかないか」で子供自身が確かめていきます。3×3のときとは違い、上の板を取り外せるようになっており、その場でどこの位置に磁石が貼りつくのかを変えていきます。

 

なお、この教材は上の板さえ変えてしまえば最大で7×5の表を表現できるので、マトリクスの枠として使ったり、20までの数量の取り出しに使ったりと、多用途に用いることができます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

86 位置の学習3×3

今回紹介するのは、「前後左右」と「上下左右」といった位置関係を示す言葉を学ぶための教材です。『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

「前後」や「上下」に比べると、「左右」の概念は比較的身に付きにくいものです。これは身体の動かし方につまずきのある子供にとっては特に顕著に見られる傾向です。自分の身体を動かす経験が少ない結果、自分の身体というもののイメージが育ちにくく、左右の概念も育ちにくいのだと言われています。また、位置関係だけでなく、「大きさ」「高さ」「速さ」「広さ」など、大人が子供の頃に公園や野山で遊ぶ中で身につけてきたような、「自分の身体を物差しとした概念」なども育ちにくいようです。

※人は自分の身体を物差しにして周囲の世界を捉えていくので、子供の頃に広く感じた校庭や公園が、大人になってから訪れると狭く感じる。身体という物差しそのものが変わってしまったため。

 

育ちにくいからこそ、その指導を工夫していきます。

 

この教材は3つセットになっていて、それぞれ「中央」「上下左右の端」「斜めの端」の1か所だけ磁石が貼りつくようになっています。他は、反発します。この3種類があれば、3×3の場所のすべてを指定することができます。

 

 

 

A「上はどこですか」「右はどこですか」など、絶対的な位置を聞く質問

B「あひるの右はどこですか」「あひるの前はどこですか」など、相対的な位置を聞く質問

を行い、子供に指差しで答えてもらった後、本当に合っているのかどうかを磁石を貼って確かめていきます。繰り返しになりますが、「合っている/合っていない」を教員に言われるのではなく、手ごたえによって自分自身で確かめられるようにする、というのが重要です。

 

 

 

 

 

 

なお、これらの直接的な学習も重要ですが、電動車いすや寝返りなども含めて「自分自身で移動する」経験が空間的な理解を育てていきます。積み木など、各種教材をたくさん操作していくことなども大切で、そこで日ごろの自立活動での姿勢を整える取り組みがいきていきます。

 (本校特別支援教育コーディネーター)

85 「いくつ」と「〇番目」

今回紹介するのは、「いくつ」と「〇番目」の違いを学ぶための教材です。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

 

 

 

 

 

 

英語などでは「one/first」「two/second」「three/third」といったように「いくつ(基数詞)」と「〇番目(序数詞)」が根本的に分かれていることが多いのですが、日本語の場合は「第〇」「〇番目」「〇回目」などと様々な言葉で表現していて、子供にとっては混乱しやすいようです。

 

「右から3番目」と「右から3個」の違いを学んでいくにあたり、やはり、子供自身が答えを確かめられるということが重要になってきます。そこで、ここでも磁石の反発を利用していきます。

 

 

 

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)

84 箱椅子の活用

今回紹介するのは、収納としても使える椅子です。様々な種類のものが市販されていますが、取っ手がついているものの使い勝手がよいようです。今回は、この箱椅子の活用例を紹介していきます。なお、箱椅子の中には大量の本が入っており、子どもの力では動かせないようになっています。

 

筋疾患のあるお子さんは、どうしても背中を反り返らせることで姿勢を保持しがちです。そのため、長時間座る際には、教員そのものが椅子となり、背中に身体を預ける、ということを学んでいく機会にすることがあります。

 

 

 

胸郭の動きを引き出すこと、反射の抑制、脊柱をニュートラルな位置に保つといった観点から、うつ伏せでの休憩姿勢を作るということが重要な子どもがいます。箱椅子を駆使し、膝の高さを調整することで、気軽にうつ伏せになれることがあります。

 

 

 

 

箱椅子が安定していることを利用し、膝立ちの支えにしています。毎朝行うカバンからの荷物出しの中にも、身体の動かし方の練習、自立活動の視点を取り入れています。

 

 

 

 

 

車いすの移乗動作へのステップとして、箱椅子に這い上がるという練習も行います。また、この流れで66~67で紹介した鉄球入れの活動なども行っていきます。

 

 

 

 

教室の一角に子どもが安心して座れる場所を作る、バランスボールを固定するといったこともできます。

 

 

 

(本校特別支援教育コーディネーター)