2020年12月の記事一覧
105 様々な「並べる」教材
世の中には「色」「形」などの様々な属性、概念が存在します。それらの特定の属性や概念に注目して分けたり、選択したり、比較したりすることによって、子供の抽象的な思考が育まれていきます。「大小」「長短」といった比較概念においては「分ける」「選ぶ」「比べる」だけでは十分ではなく、その先の、「並べる」「順序付ける」という学習もまた、子供の思考をめぐらせていくうえで、非常に重要な学習となってきます。『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として考えています。
大小を並べる教材は、市販されています。枠などを用意し、子供が扱いやすいようにします。
「並べる」学習には様々なものがあります。「数字」はもちろん、あいうえおの「ひらがな」、「曜日」、「重さ」「冷たさ」「地名を北から順に」「人名を時代順に」「キャラクターを強い順に」「場面を時系列に沿って」「山手線の駅名を一周」などなど。
曜日を並べることなども、「げつようび」以外の曜日から始めると、意外なくらい子供の戸惑う姿が見られることがあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
104 扱いやすい教材のサイズ その2
子供にとって、扱いやすい教材のサイズというものがあります。不随意運動などがある子供にとって、パズルなどをやっていても、「見分けられるかどうか」で課題が達成できないのではなく、操作しようとしても教材を思うように動かせないために達成できないことがあります。
同じ絵柄であったとしても、厚みがまったくなかったらどうでしょうか。また、5ミリの板に絵を貼りつけたらどうでしょうか。板を2枚重ねにしたら? 3枚重ねにしたら? もっと重ねて立方体にしたら? 立方体をこえてもっと厚くしたら? とやっていくと、厚みに関しても、子供にとって程よい厚さがある、ということに気づかされます。
薄くては、操作が困難です。また、厚すぎて棒のようになってしまっても、逆に扱いにくくなります。立方体になると、どの面が上で、どの面が下なのかがわかりにくくなります。そうしてみると、5ミリの板を3枚重ねたくらい、15ミリくらいの厚みの教材が扱いやすいということが多いようです。
教材には厚みをつけたうえで、磁石を内蔵するなどすると、子供のふとした動きで教材がバラバラにならず、扱いやすさが増すようです。
(本校特別支援教育コーディネーター)
103 扱いやすい教材のサイズ その1
子供にとって、扱いやすい教材のサイズというものがあります。例えば、大人にとっても巨大な物(大玉転がしの玉とか)や微細な物(アイロンビーズのビーズとか)を操作するのは大変です。大きすぎても、小さすぎても、操作がしにくいというのは想像しやすいことかと思います。ならば、「もっとも操作がしやすいサイズ」というのはどのくらいの大きさになるのでしょうか?
この辺は子供の手の大きさや、器用さ。教材の形(球であるか、棒であるか等)。教材の目的(筒に入れるのか、字を書くのか等)によっても変わってくるのですが、球体であれば、およそ『直径45ミリ』のサイズが最も操作しやすく、それより大きくても、小さくても扱いにくいようです。球で45ミリと言うと、ちょうど子供の口の中に入りにくい大きさでもあります。実際には、個人差があります。また、棒の場合は球よりも長いほうが扱いやすいようで、直径30ミリの棒であれば、長さは50ミリほどが扱いやすいでしょうか。基本的には細くなればなるだけ、ある程度の長さがあるほうが扱いやすくなっていきます。
箸、鉛筆、スプーンなど、子供たちに身近な様々な教材や生活道具があります。それらが小さすぎたり、長すぎたりしていないか? 子供の発達に合ったものになっているか? いまいちど、確認してみてはいかがでしょうか。
また、教材の重さ、温かさなども子供によって、時と場合によって適切なものが変わってきます。一般には常温のものを用いますが、教材への気づきを促すために温めたり、冷やしたりして子供に提示することがあります。どこまでも、その時、その場面の子供の様子に合わせていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
102 数字の種類はいくつある?
数字は身近なものですが、「実はそうだったの?」ということも多い不思議なものです。今回は、その数字の種類について紹介していきます。およそ算数科の内容、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』にかかってきます。
数字の数、と述べましたが、これは我々が普段よく目にする算用数字、アラビア数字のことです。子供の場合、数は無限にあるのだから、数字も無限にある…という感覚で数字を捉えていることがあるようです。しかし実際には、数字は0123456789の『10』種類しかありません。
「その『10』は数字じゃないのか?」という子供の声も聞こえてきそうなのですが、これはあくまで「1」と「0」の2つの数字を配列することによって、十の位が1つ、一の位が「ない」ということを表しているというものです(位取り記数法)。
この辺の理解が確実でないと、「0」を「じゅう」と読むようなことが起きてくるようです
ですので、数字をどのように表記するか?ということも大事になってきます。
中央に持ってくるのか? 右によせるのか? カレンダーの日付など2桁以上の数量をどう表すか? 一枚のカードにおさめるのか、あるいは個々の数字の組み合わせで表すのか?
ささやかなことですが、それらの積み重ねが、子供の数概念の形成に影響してくるようです。