2021年1月の記事一覧
109身近なものを使いやすくする方法
百円均一の店などに行くと、様々なものが売っています。押すと光るライト、鏡など、それぞれ教材として活用できそうなものも多いのですが、子供にとって「操作がしにくい」ということから活用できないものがあります。今回は、そういった様々なもの、こまごまとしたものを教材として活用していくための工夫を紹介していきます。
ここでは押すと光るライト、コンパクトミラー、リールキーホルダーを、それぞれの形に合わせた木に埋め込むことで固定しています。
実際の作成方法としては百円均一の店で6枚セットで売っている、10センチ四方のMDF板を使います。教材の高さまで板を貼り合わせ、厚みのある板にします。そのうえで教材の形に板をくり抜きます(電動糸鋸使用)。くり抜いたら、もう一枚の板を底に貼り合わせることで、その教材を固定するケースとなります。
それでも使いにくい場合は、㊱「木枠の活用」で紹介した木枠に固定します。この枠は10センチ四方の穴が開いているため、今回作成したケースもピタリとはまることになります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
108市販の教材の活用(虹の教材)
市販品にちょっとした工夫をすることで、使い方に広がりが出ることがあります。今回紹介する教材も、市販の「虹」に見立てた教材を2つ組み合わせたうえで枠を用意したもので、色、形、大きさ、大きさの順序といったことを学べるようにしています。『Ⅱ見分ける学習の教材』『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』として想定しています。
使い方としては「真ん中の部分だけを入れる」ことから始めて、「全部を自分で入れる」ことに進んでいくのですが、同じような教材を自分で作るのはとても大変です。一方で市販品そのままでは身体の動かし方につまずきがある子供の場合、操作しにくいということがあります。そこで㉘「市販の型はめの応用 その1」や㉙「市販の型はめの応用 その2」でも紹介しましたように、教材の中身に市販品を使い、枠だけを用意すると、一人一人の子供に合わせやすくなってきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
107縦方向の形態構成
パズル、形態構成は基礎中の基礎、といった教材となります。今回改訂された学習指導要領における、知的障害の特別支援学校の算数科の内容としても、「分割した絵カードを組み合わせること」として示されるようになりました。一方、身体の動かし方につまずきがある子供に関しては厚みのないパズルを操作することは難しく、「①形態構成」「104扱いやすい教材のサイズ その2」において、木に絵を貼り付けて厚みをつけたパズルを紹介しています。
今回紹介するのは、そのバリエーションとなります。「106縦に重ねる見本合わせ」と同様の方法で作られたもので、『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。
平面に絵を構成していくのではなく縦に積んでいくため、下から順に絵を並べていく必要があります。そのため、基本的にはどこからでも枠にはめていける平面の形態構成よりも、子供にとって難しいことが多いようです。
なお、似たようなキューブ状の市販の教材もあるのですが、6面ともに絵が貼られていて、子供にとっては難易度が高すぎることがあります。そのため、この教材では全6面中、2面しか絵を貼っていません。また、磁石を内蔵しているため、上下逆に絵を合わせようとすると、反発して決して重ならないようにもなっています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
106縦に重ねる見本合わせ
見本と見比べて、同じように手元のものを操作するという課題は、学習の基本です。最終的には、黒板の板書を見て同じようにノートに書く、といった力につながっていきます。以前も「⑬位置把握課題」「⑯意味のある位置把握課題」「96位置把握の課題(ステップ可変)」など、様々なものを紹介してきました。今回紹介するのも、その一環となります。『Ⅱ見分ける学習の教材』として使うことを想定しています。
これまでに紹介してきたものは、左の写真のように、基本的には平面上の位置を見比べる教材となります。一方、右の写真のような「積み木を同じように積み上げる」形での見比べを行う際には、縦方向という要素が加わります。縦方向の見比べでは下から順に置いていく必要があり、同じ3×2の空間を把握するとしても、平面を把握するよりも難しいことが多いようです。順序性の理解の学習にもなってきます。
ところが身体の動かし方につまずきがある子供たちの場合、「見比べることが難しいから」「下から上へという順序がわからないから」ではなく、操作の段階で活動が困難になってしまうことがあります。積み木を積むこと自体が難しければ、見本と見比べるということに意識は向けにくくなります。
そこで用意したのがこの教材です。10センチ四方のMDF板を6枚貼り合わせた周囲を色画用紙で巻き、さらにその周囲を梱包用のテープで包んでいます。かなりの重みがあり、また、磁石を内蔵しているため、子供のちょっとした動きでずれることがないようになっています。
(本校特別支援教育コーディネーター)