2021年5月の記事一覧
126線学習用の枠
前回の125では「縦に積む」ことから「横に並べる」ということで、点から線へという学習の流れを紹介しました。今回は「線の学習」という中でも、様々なバリエーションのものを紹介していきます。『Ⅱ見分ける学習の教材』として想定しています。
最もシンプルな「線の学習」の教材は、「51スライドブロック」となります。運動の始点から終点までがまっすぐで、線の始まりと終わりが明確です。
一方、さらに進んだ内容の教材として、これらのものがあります。「円」「三角形」といったような「終わりのない」線を学ぶためのもの、また、「交差した」線を学ぶためのものです。他にも様々な種類の「線」を学ぶ教材があります。これらの学習に丁寧に取り組んだうえで、例えば「あ」「め」「す」のような、線が複雑に交差したひらがなの学習にも進んでいくことができます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
125縦に積むことと、横に並べることの違い
たとえば「③鉄球入れ」で紹介した教材ですが、鉄球を枠に入れていくにしても、「縦に入れていく」場合と、「横に並べていく」場合とがあります。大人にしてみるとどちらも変わらないような気がするのですが、子供にしてみると難易度に大きな違いがあり、「横に並べる方が難しい」ということが多いようです。
縦方向の学習からはじめ、横方向に進んでいきます。それは、筒という「点」に入れていくということから、横に並んだ穴という「線」に入れていく学習に進んでいくということでもあります。さらに学習が進んでいくと、「⑪アクリル棒さし」で紹介したような、「面」を捉える学習にも取り組めるようになっていきます。これらの点から線、面へといった学習は「点結び」「迷路」といったプリント学習、タブレットのアプリでも行うことができるのですが、やはり、実際の教材を操作していくことで学びやすいことがあるようです。
(本校特別支援教育コーディネーター)
124 食事をしやすくする教材
121では書字、122では切ることをしやすくする教材を紹介してきました。今回は食事をしやすくするための様々な道具を紹介します。
子供の手の角度に合わせて曲がっているスプーンやフォーク、持ち手をつけてあるコップ、ふちに角度がついていてスプーンですくいやすくなっている皿など、子供の手の使い方、食べ方に合わせての調整、工夫があります。特に、お皿に重みがついていると、ふとした手の操作でお皿が動かなくなり、食べやすくなる子供が多いようです。
121の「書字をしやすくする教材」でもそうでしたが、これらの道具の工夫に加え、お盆やお皿の下にすべり止めを敷くなどすると、格段に食べやすくなることがあります。
123ボタンの練習の教材
衣服の着脱におけるボタンの使い方、ジッパーの使い方なども、身体の動かしにくい子供にとってはつまずきやすいところです。ボタンを大きくする、ジッパーにひもをつけるなど「それらを使いやすくする」という支援の方向もあるのですが、「117ジッパーの教材」に続き、今回はボタンの使い方そのものを練習するための教材を紹介します。
百円均一の店で売っているフェルト生地、ボタンを材料に、その子が好きな絵本のキャラクターをモチーフにしてみました。今回はフェルト生地をそのまま使っていますが、子供によっては素材が軽すぎて、扱いにくい子もいることでしょう。フェルトを袋状に縫い込んで、中に重りを入れ、子供が操作しやすくする、といった工夫もできるでしょう。いずれにしろ、一人一人の子供の興味関心、身体の使い方といったことに合わせて教材を工夫していきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
122さまざまなはさみ
前回は様々な「書く」ための道具を紹介しました。今回紹介するのは、さまざまな「切る」ための道具、はさみです。「切る」こともまた、身体の動かしにくい子供にとって、難しい課題となります。難しいあまり、教員が子供の手を取り、実際には子供ではなくて教員が切っている、という状況も起こりがちではないでしょうか。
子供自身の力で切れるように、というのがこれらの教材です。持ち手が丸くなっているカスタネットばさみなど、さまざまなものがあります。はさみを机に固定でき、体重をかけるだけで切れるようになっているものもあります。デジタル教材なども増えている昨今ですが、自分自身の力で書く、切り落とすといった経験もまた、非常に重要なことではないでしょうか。
(本校特別支援教育コーディネーター)