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2021年7月の記事一覧

134 手首をひねる教材

前回の続きとなります。ついつい握りこみがちな子どもの手指ですが、ビンのふたやペットボトルのふたを開閉するような「ひねる」動きも大事な力となります。

 

 

 

 

 

 

ここでは、百円ショップの容器を板に固定し、不随意運動が入りやすい子どもであっても操作がしやすいように工夫してあります(容器の形に木を切り、接着)。ここでも教材の角度を工夫していて、机に平行になっているものだけでなく、いわゆる「レジスター」型の容器を使うことで、教材に角度がついています。子どもが多様な手の動きを経験できるようにしています。

また、ただ「ビンのふたをひねる」だけでは子どもにとって活動の見通しが持ちにくくなります。ここでは、「ふたを開けてアヒルを取り出す(助ける)」等の言葉かけをする中で、自然な流れの中で「ひねる」動きを行っています。なお、子どもにとって「開ける」方向か「しめる」方向か、どちらかだけが得意で、どちらかは苦手ということがあります。どちらの動きもできるように、取り組んでいきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

133チェインジングボード

鉛筆、はさみ、箸といった道具を使いこなしていくためには、「親指とそれ以外の指を分離して動かす」「小指と薬指を固め、人差し指と親指を自在に動かす(中指は操作側としても支える側としても使われる)」といった力が必要になります。具体的には、「ピストル」の形を自在に作れるといった力です。「教材紹介⑱ボルト外し」もご確認ください。

 

 

 

 

 

 

しかし子どもの手指をよくよく観察してみると、手指がいわゆる「噛みこんでいる」状態になっていて、それぞれの指を自在に動かすことが難しいことがあります。まずは手を開いていく、という学習が必要になります。

 

 

 

 

 

 

手を開いていくにあたり、ポイントとなるのは手首の角度です。実際に自分の手で試していただくとわかりやすいのですが、手首を手のひらの方向に曲げる(掌屈)と手は丸まっていき、手首を反り返らせる方向に曲げる(背屈)と手は開いていきます。

 

 

 

 

 

 

今回紹介する「チェインジングボード」は様々な使い方があるのですが、その使い方の一つとして、子どもの手首の背屈(反らせる)を促すというものがあります。マジックテープでついているもの、磁石などを取る中で、自然と手首が背屈し、それぞれの指が開いていくようになります。ポイントとしては盤面に角度がついていることです。これが、盤面を机に寝かせているようであれば手首は反り返りにくく、手指は丸まったままでしょう。書字の際なども、子どもによって書見台などを使うことがありますが、角度がついてさえいればよいというわけではなく、角度がなければよいというわけでもなく、子どもそれぞれに程よい角度があり、そこに合わせていきます。

(本校特別支援教育コーディネーター)

132時計の教材

基本的には「時刻」を示すのが時計です。時計にはアナログ時計とデジタル時計とがあり、時刻を知るためだけであれば、デジタル時計で十分です。数字さえ読めれば時刻を読むことができます。わざわざ難易度の高いアナログ時計を学ぶ必要はありません。しかしなぜアナログ時計の学習をしていくかというと、「あと〇分」「〇分経ったら〇時になる」といった「時間」を知るためには、デジタル時計よりもアナログ時計の方がわかりやすいからです。時計の針の動きで、「時間」の量を知ることができます。

 

 

 

 

 

 

時計の教材としては、様々な物が市販されています。いわゆる「算数セット」の中に入っていることも多いでしょう。それらの教材の構造も様々なのですが、身体の動かし方が苦手な子供の場合、「歯車を動かす」タイプよりも、「針(長針)を動かして操作する」タイプの方が扱いやすいことが多いようです。また、それでも操作が難しい場合、枠を作って教材を固定するといった支援が考えられます。主として、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

(本校特別支援教育コーディネーター)

131カラーバールーペ

身体の動かし方が苦手な子供の中には、目の使い方も苦手である、という子供がいます。すると算数科の内容が積み上がりにくいというのはこれまでも紹介してきた(「130棒と木枠での5と10の合成と分解」等)ところですが、国語科の内容についても習得が難しくなっていきます。具体的には、学習の流れに目の動きがついてきにくく、「文末を自分で作って読んでしまう(勝手読み)」「行や列を読み飛ばしてしまう」といったことが起こってきます。当然ながら、文や文章の意味を理解し、考えることが難しくなっていきます。

 

 

 

 

 

 

今回紹介するのは、そういった「行(列)飛ばし」を予防するための教材です。全体が透明であるために前後の行(列)とのつながりが見えやすく、また、適度な重みがあるために手が使いにくい子供にとっても扱いやすくなっています。ルーペとしての機能もあるため、中心部が大きく見える、というのも特長です。主として、『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』となります。

(本校特別支援教育コーディネーター)