2022年8月の記事一覧
191長方形の型はめ
178「〇だけの型はめ(小)」179「△だけの型はめ」「□だけの型はめ(小)」では、円、正三角形、正方形の型はめを紹介しました。これらは、〇△□の違いはあれど、いずれも重心が図形の中心にあるという特徴があります。
「三日月の形」のような図形と異なり、入れやすいのです。
「〇△□」と「三日月」のような図形との間には大きな難易度の差があります。その間に位置するのが、星の形や、今回紹介する長方形、すなわち直方体の型はめになります。
長方形の場合、正方形と違って、入る方向が限定されます。正方形は「ぐるぐる回して」いると、なんとなく入ってしまうということがありましたが、長方形の場合はかなりじっくりと方向や角を見分けないと、型に入りません。
〇△□、正六角形、長方形、正ではない六角形、星の形、三日月の形など、世の中には様々な図形があります。大人からすると、どれも似たもののように感じてしまうかもしれません。しかし子どもからするとそれら一つ一つの間に、大きな難易度の差があるのかもしれません。子ども一人一人の今の力、次の課題を見据えながら、丁寧な支援を行っていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
190重みのあるぬいぐるみ
前回「ウェイトブランケット」で紹介しましたように、固有感覚への入力、圧迫、重みといったものは、子どもの気持ちの安定や、運動発達に大きく影響していきます。一方、ウェイトブランケットも便利なのですが、金額的なことや、重すぎて取り扱いが難しいといったことが気になります。
そこで、今回紹介するのは、古くなったぬいぐるみをリメイクするという方法です。様々なやり方があると思いますが、ここでは一度お腹を切って綿を取り出し、大型のビー玉を入れたゴム手袋をいくつも入れたうえで、再度綿を詰めています。
ちょっとした工夫で、子どもが膝に抱えやすいぬいぐるみになります。子どもが側臥位になる際に、背中にあてるといった目的でも使われます。
※重みのあるぬいぐるみは、市販もされています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
189ウェイトブランケット
人には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など様々な感覚があり、それぞれが重要な役割を果たしています。その中でも姿勢・運動ということになると、「視覚」「前庭感覚」そして「固有感覚」がポイントとなってきます。「固有感覚」というと聞きなれないかと思いますが、自分の手足がどう曲がっているか、動いているか、どのくらい力が入っているかということ。すなわち筋肉や関節の状態をモニターする感覚となります。
この感覚が整っていないと、そもそも自分の身体がどうなっているのか、どのように動いているのかがわかりにくいということですので、寝返りをする、座る、立つといった様々な場面に影響していきます。また、固有感覚を感じにくいということは、自分の身体がふわふわとしてしまうということ、極端に言うと「自分の身体がそこにある」ということに気づきにくいということでもあるようです。結果、気持ちもふわふわと落ち着かないものになっていきがちです。
今回紹介するのは、ずっしりと重いブランケット、すなわち「ウェイトブランケット」です。人は、誰かにぎゅっと抱きしめられると落ち着いたり、自分で自分の身体を抱きしめることで落ち着いたりすることがあります。固有感覚と、子どもの情動とが密接に結びついているからです。
子どもとの関わりの第一歩はぎゅっと抱きしめてあげること…なのですが、いつも抱っこというわけにもいきませんし、触覚や前庭感覚が過敏で、抱っこが苦手という子もいます。ほんのささいなことなのですが、座っているときにウェイトブランケットなどで膝の上に重みがかかることで、気持ちを落ち着けて活動できるという子どもがいます。うつ伏せ時に、腰のあたりに重みが加わることで落ち着く子どももいるようです。なお、似たような目的のものとして、「重量のあるベスト」なども市販されています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
188〇だけの型はめ 4連 5連 ランダム
前回紹介したのは、〇だけの型はめの3連まででした。今回はさらに穴の数を増やしたものを紹介します。なお、〇だけの型はめ/〇だけの型はめ(2連)/〇だけの型はめ(3連)はそれぞれ難易度に大きな違いがありました。〇だけの型はめならできるけれど、2連になったら難しくなる。2連までならできるけれど、3連になると、急に難しくなる。そんなことがありました。
しかし3までをクリアすると、その先の4連、5連といった課題は一気にクリアしていくケースが多いようです。むしろ、このあたりからは「全部入れればそれで終わり」ではなく、「左端から順に入れていく」といった、数の学習の基礎としての要素が加わってきます。
穴の位置をランダムに配置した教材もあります。〇だけの型はめが「点」。前回と今回消化した2連、3連、4連、5連の教材が「線」的に空間を捉えるものだとすれば、ここでは「面」としてとらえていくことになります。シンプルな「〇だけの型はめ」ですが、一人一人の子どもの課題に合わせた、様々なねらいがあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)