2022年9月の記事一覧
195 ラジカセ(+ウゴキんぐ)
前回、ラジカセを紹介しました。機能がシンプルなこと、ボタンの数が限られていることも、子どもが学ぶ上ではメリットとなります。しかしながら、それでもボタンがいくつかあり、ラジオも聞くことができ、複雑といえば、複雑です。
そこで、ラジカセとコンセントとの間に、「ウゴキんぐ」をはさみます。「ウゴキんぐ」はコンセントにつないで使う、あらゆる電化製品をスイッチ化することができる機械です。
ここで肝心なのは、「ウゴキんぐ」で制御できるのは、「電流のON/OFF」だけである、ということです。したがって、「コンセントにつないだだけ」で動き始める機械でなければ意味がありません。例えば、最近のTVをスイッチ化しようとしてもうまくいきません。
スイッチ化しやすいのは、コンセントにつないだだけで動かせる機械。すなわち、掃除機ですとか、ミキサーですとか、そういったものになります。ラジカセもそのひとつで、「再生ボタンを押したまま」「早送りボタンを押したまま」で固定できますので、手ごろに、扱いやすいスイッチ教材となります。
これらは、CDやデータで行おうとしてもできません。ラジカセだからこそできることです。なお、その他の機械はというと、「掃除機」「ミキサー」のほか、「扇風機」「電動のマッサージ器」などが教材にしやすいでしょう。昔ながらのトースターも使えるかもしれません。すなわち、アナログの、コンセントにつないだだけで動く機械です。
(本校特別支援教育コーディネーター)
194ラジカセ
ラジカセを身近で見なくなって久しくなりました。カセットテープからCD、MD、データ、配信と、学校の授業で使われる音源も時代とともに変わってきました。今回はだいぶ昔に使われなくなった、「カセットテープ」そして「ラジカセ」を教材として扱うことを紹介します。ちなみにですが、ラジカセはいまでも新品が売っています。カセットテープも市販されています。
ラジカセ(カセットテープ)と、CDやデータとでは何が違うでしょうか? 大きな違いは2つあります。1つには、音を止めても、また続きから音楽が始まるということです。当たり前のことのようですが、CDやデータではこうはいきません。曲を飛ばしたり、止めたりしているうちに、何がどの曲だったのか、どこがどうつながっているのか、よくわからなくなってしまいがちです。もう一つは、ボタンがアナログであるということ。再生ボタンや停止ボタン、早送り、巻き戻しボタンを押したときに、力強い手ごたえ(固有感覚への入力)と音がする、ということです。液晶の画面を触れるのとは比較にならないくらいの、強いフィードバックが返ってきます。これらの理由から、子どもによっては、「ボタンを押したら音楽(や声)が流れる」「何をしたらどうなる」ということの因果関係を学ぶ、非常によい教材となります。
テープの爪は、折っておきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
193洗濯ばさみを練習するための土台
あらかじめ挟まれていた洗濯ばさみを取る、あるいは洗濯ばさみをはさむための土台となります。ブックスタンドの形にMDF板をくりぬき、挟み込む形で接着してあります。こうやって土台を安定させることで、子どもが片手だけで洗濯ばさみを扱うことがしやすくなります。土台が揺らいでしまうと、操作どころではかくなってしまいます。
なお、洗濯ばさみそのものも、子どもにとって開きやすいもの、開きにくいもの、さまざまです。どれが良い、悪いではなく、子どもによって適切なものが異なります。
また、子どもが洗濯ばさみを抜く/挟む際、力任せに引っ張ってしまって、実際には洗濯ばさみを開いていない、ということもありがちです。そんな時は、養生テープなどを用い、土台にふくらみを持たせると効果的です。子どもが洗濯ばさみを引っ張ろうとしたり、押し込もうとしたりしても、洗濯ばさみに力を入れない限り、うまくいかなくなります。ちょっとした工夫で、「今できることの、一歩先」の課題を設定できます。なお、今回は土台を駆使してブックスタンドを固定していますが、同様のやり方で、様々なものを固定することができます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
192長方形の型はめ 6連 ランダム
前回の続きになります。「長方形だけの型はめ」に続くものとしては〇△□同様に2連、3連にといったことが考えられますが、長方形ともなると、すでにかなり「図形を見分ける」「手を操作する」力が育っていることが想定されます。そこで、今回紹介するものは一気に6連。しかも図形の方向を、あえてランダムにしてあります。こうすることで、長方形だからこそ、多様な角度で手首を動かす必要性が生まれます。
型はめパズルというと、算数科の内容として、図形の学習に向けたものと思われがちではないでしょうか。しかし設定の仕方によっては、日々の生活動作の向上に向けた、手首の使い方を学ぶための教材ともなります。
(本校特別支援教育コーディネーター)