2022年10月の記事一覧
200 野菜の水切り
この「本校の教材教具」コーナーも、ついに200回目を迎えました。200回目ということで紹介するのは、「野菜の水切り(サラダスピナー)」です。機械の目的外の使用になるのでご注意ください。
野菜の水切りの中には、子どもの好きなフィギュアなどを入れます。そしてボタンを押し込むと、フィギュアがぐるぐると回っていきます。意外なくらい、子どもが興味を持って活動することの多い教材となります。
子どもの目の使い方は、「動きや光」などを受け止める『周辺視』から、「色や形(いずれは文字や数)」を見分けていく『中心視』へと発達していきます。この野菜の水切りの活動は、そのうちの周辺視に焦点をあてたものです。詳しくは、「62ハンドスピナー」の記事をご確認ください。また、目の使い方の学習であると同時に、「押す」「動く」という因果関係の学習ともなります。
なお、野菜の水切りにはハンドルを回すタイプもあります。この辺だと、肘を中心とした身体の動かし方の学習ともなってきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)
199高さによる数量の教材(積み重ねる)
今回紹介するのは、数量を並べる教材になります。185「高さによる数量の教材(棒に通す)」とほぼ同じコンセプトの教材となりますが、185が棒に教材を通していたのに対し、こちらは積み上げています。どちらの方がやりやすいかは、子どもによるでしょう。なお、使用している木材は正方形です。「棒に通す」のであれば円形でも大丈夫なのですが、こうやって積み重ね、並べていくとなると、正方形の方が並べやすいです。
185と同様に、5は5として固め、5のまとまりが意識できるようにしています。1、2、3といったところもそれぞれ接着していて、「5と1で6を作る」「5と3で8を作る」といった「5といくつ」で数を捉えるということが意識しやすくなっています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
198 横に長い輪抜き
これまで「4」「73」「159」「160」回で『輪抜き』の課題について取り扱ってきました。それらのほとんどが縦方向の輪抜きでしたが、子どもによっては横方向の方が手を使いやすい、という場合もあります。今回紹介するのは、横方向の輪抜きです。
この写真のように、縦方向の輪抜きは、使う棒を高くすれば高くするだけ高くなります。ある程度土台を作ってしまえば、安定感もでます。しかし、横に長くしていくと、そうはいきません。棒を伸ばすと、重心がずれて、簡単に倒れてしまいます。倒れないように大人が支えていれば大丈夫かもしれませんが、できれば子どもが自分の力でやりきってほしいところです。そこで、ここでは土台となる木に棒を貫通させ、横の長さを調整できるようにするとともに、伸ばした方と反対側に重りをつけることで、倒れないようにバランスをとれるようにしてあります。
(本校特別支援教育コーディネーター)
197色と形、半立体のマトリクス
これまでも「色と形」という2つの属性を組み合わせる表(マトリクス)の教材を紹介してきました。3×3、4×3、4×4、5×5など様々なものがありましたが、それらは基本的に50ミリ四方の木に、ラミネイト加工したものを貼り付けたものでした。
今回紹介するのは、若干視点が異なり、〇△□、そしてハートと星の形について、半立体の具体物をペグとして用いるものです。色合いをそろえるため、塗装には同じ絵の具を使用しています。また、ハートと星の形は適当な木片が見つかりにくいため、市販されている2ミリ程度の薄さのものを数枚貼り合わせて厚みを出し、それを塗装することでペグにしています。
従来の、印刷した絵が貼り付けられているものと、今回の教材とではどちらがやりやすいでしょうか? 目が見えにくく、形が捉えにくい子どもにとっては、今回の教材の方が「触って形がわかる」ために取り組みやすいかもしれません。一方、手を持ち上げにくい子どもにとっては従来の教材の方が、「すべらせて操作できる」ためにやりやすいかもしれません。これも、ケースバイケースになります。多様な子どものニーズに応じるために、同じ内容であっても、様々な教材を用意しています。
(本校特別支援教育コーディネーター)
196〇だけの型はめ(大)
178で「〇だけの型はめ(小)」を紹介しました。今回紹介するのは、「〇だけの型はめ(大)」になります。「小」「大」と言っていますが、「小」が直径40ミリ、「大」が直径80ミリです。こういった極端にシンプルな教材はまず市販されておらず、自作する必要があります。
ペグの直径が倍になると、体積や重さは大きく変わります。子どもにとっては小さい方がやりやすいかもしれませんし、逆の子もいるでしょう。
さらに、ペグの厚みの違いによっても、子どもの達成度は変わってきます。ここでは10ミリ、20ミリ、30ミリを用意しています(厚さ10ミリの板を1~3枚重ねて塗装)。大きくて薄い、小さくて厚いなど、どれが子どもの手になじむかはケースバイケースです。どの教材にも言えることですが、一人一人の子どもに合わせていきます。
(本校特別支援教育コーディネーター)