2023年2月の記事一覧
217 枠に完全に埋まりこむペグさし
肢体不自由の特別支援学校には身体の動かし方が苦手な子どもたちが在籍していますが、「見え方」についてもつまずきのある子どもたちがいます。さて、「ボールを落とす」「型はめをする」といった学習を行う場合、基本的には「見て」できたかどうかということを確認していきます。
しかし、見ることそのものが難しい子どもの場合、どうでしょうか。見ることが難しいわけですから、この場合は「触って」確認することになります。
ところが、多くの教材には凹凸があり、触っただけではなかなか「入っている/入っていない」「まだある/もうない」といったことが確認しにくいということがあります。
そこで、ペグさしなどでは、土台の穴の深さをペグと全く同じにしてしまいます。そうすると全部入れ切ったときに教材の表面の凹凸がなくなり、できたかどうか、こどもが自分で触って確かめやすくなります。
(本校支援部)
216 ステンレスのボウルを入れたダストボックス
例えば、プラスチック製のボール(『くるくるチャイム』で用いるもの)を入れるとして、「布袋に入れる」のと、「金属製の缶に入れる」のとでは、どちらの方が子どもは「入った」ということに気づきやすいでしょうか。これはほぼ間違いなく、「金属製の缶に入れる」方が気づきやすいはずです。入れる際に音、振動といった結果が伴うためです。気づきすぎて、びっくりしてしまうかもしれません。
子どもが物を「入れる」ということを学習するにあたっては、この「自分の行動」とその「結果」がわかりやすいということ、すなわち因果関係が明確であるということが重要になります。そのためには同じ「ボールを入れる」ということであっても布製のボールよりもプラスチック製、木製、金属製のボールの方がわかりやすいです。また、箱の側としても、できるだけ硬い素材、そしてできるだけ深いものの方がわかりやすい、ということになります。深ければ深いだけ、落ちる際に勢いがつきます。
そうすると、昔ながらの金属製のダストボックスが候補としてあがってきます。しかし最近ではなかなか見かけませんし、子どもの手が触れる部分が金属だと、冷たさから子どもが手を引っ込めてしまうかもしれません。
そこで工夫したのがこの教材になります。百円均一の店で購入したプラスチック製のダストボックスの底に、同じく百円均一の店で購入したボウルを敷いてあります。ちょっとした工夫なのですが、子どもが見通しを持って手を使っていくための支援のひとつです。
(本校支援部)
215 多種多様な型はめ
これまでに紹介しきれなかった様々な型はめパズルです。同じ形をいくつも入れていくような型はめパズルは市販品を探すのも難しく、自分で作ってしまった方が早いようです。
これらの型はめにも、いくつかの明確なステップがあります。
・1個だけの方はめと複数の型はめでは違います。
これはパズルの量的な問題です。
・正多角形→左右対称→左右非対称で表裏がある→左右非対称で表裏がない では違います。
左右対称であればぐるぐると回していればいつかは入りますが、非対称の場合、表裏を間違ってしまうといつまでたっても入りません。これはパズルの、質的な問題となります。
正多角形のパズル
左右対称のパズル
左右非対称のパズル(表裏あり)※市販されているパズル
左右非対称のパズル(表裏なし)
教材の質と量を見極め、いま、その子に合っている教材を提示していきます。
(本校支援部)
214 色の箱 各色
学習していくうえで、意外と手に入りにくいのが赤、青、白、黄色などの「原色」の教材です。白、黒のものは手に入っても、その他の色が手に入りにくいですとか、パステルカラーのものはあるのだけれど…といったことがあります。
今回紹介するのは、色の箱です。色の弁別のほか、様々な用途で用いることができる、基本的な教材となります。市販されているとよいのですが、なかなか手に入りにくいため、自作されています。
教材のベースとなっているのは、百円均一の店で売っていた木箱です。サンダーや紙やすりで木目を整えた後、原色のアクリル絵の具を塗り、毛羽だった部分を紙やすりで削り…といった工程を幾度も繰り替えし、最終的にニスを塗っています。手間はかかるのですが、使用頻度の高い教材となります。
(本校支援部)