2020年6月の記事一覧
59 文字を読み上げるまでに その1
単語の意味を取る前に、まずは文字を読み上げます。今回紹介するのは、53から55にかけて紹介した文字カードを駆使した、文字の読み上げの教え方です。およそ『Ⅲ言葉やイメージを広げていく際の教材』『Ⅳ文字や数を身につける際の教材』として使うことを想定しています。
文字を読み上げるためには、どんな基礎・基本の力が必要になるでしょうか。まずは、「『あ』と『め』、『す』と『む』、『れ』と『ね』など似通った文字を見分ける力」が必須となります。㊸で紹介した細部視知覚のこととなります。①で紹介した形態構成で言えば、4~6分割くらいのパズルはできていてほしいところです。
次に、そもそもの「わかる力」「イメージする力」の育ちとなります。目途としては、相手の身振りをその場で模倣したり、大小を比較できたりするくらいの力です。
その他にも、しりとりや「うま→まう」「うし→しう」など単語を逆に言うときに使う、日本語の一音ずつを捉える力(音韻意識)。物事を記憶する力などが必要になってきます。また、日ごろ繰り返し使っている名前カードや日課カードなどを読み上げていることなども、「そろそろ一文字ずつを勉強していく時期」のタイミングとなってきます。逆に言うと、いくら字を勉強してもなかなか身に付きにくいという場合、ここにあげたどこかの力がつまずいているのかもしれません。そういう時は、いったん基礎・基本に戻って学習してみるとよいのではないでしょうか。
では、いよいよ文字カードを使っていきます。最初は、絵の面を並べていきます。
「『あ』はどれですか?」「『い』はどれですか?」と身振りを交えて発問します。これは文字を学ぶための基礎・基本ができていれば、選択できるはずです。逆に言うと、これができなければ文字を学ぶのはまだ早い、ということになるのではないでしょうか。
(特別支援教育コーディネーター)