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<3.知的障害特別支援学校の教科1段階前半の教材>

 

 ここで整理しているのは、国語や算数のいわゆる1段階、その中でも「ことば」の前の学習で使うことの多い教材となります。まだ「見わける」「見比べる」といったことが難しい子どもたちにとって実感を持って学習できるよう、「触ってわかる」「倒してわかる」「はめてわかる」「入れてわかる」といったことから教材教具を整理しています。

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1段階国語算数前半

1段階前半 教材紹介①毛布ブランコ

 

 

 

 

 

用途

揺れを通して自分の身体に気づくことですとか、揺れる/止まることを通して物事の始まりと終わりに気づくといった学習になります。「揺れ」ですとか、「スピード」、触れられること、強く抱きしめられることなどは、子どもが実感しやすい活動になります。それらの活動を通して、「もっとやりたい」といった気持ちを持つこと、それを教員に伝えていくといったことを学んでいきます。

入手方法

市販品となります。ご家庭用の毛布等でも同じように扱えますが、手が滑らないように持ち方に工夫が必要となります。

その他の教材例

 

 

 

 

 


ぎゅっと抱きしめられることで自分の身体を実感するなど、大人の身体そのものが教材となります。また、小麦粉粘土、給水ポリマーなど、様々なものに「触って気づく」ことも大変重要な学習となります。振動するものも気づきやすいです。自分の身体に気づくこと、触って気づくことから、「聞いて気づく」「見て気づく」といった、国語・算数で中心的に扱われる内容に入っていきます。

1段階前半 教材紹介②ハンドベル

 

 

 

 

 

 

用途

もちろん旋律を奏でるといったこともできますが、ここでは「音に気づく」ための教材として紹介しています。「自分の身体に気づく」「触って気づく」といったことに取り組んできたことを受けて、「音に気づく」という学習に取り組みます。

「音」は「色や形」を見るのとは異なり、『向こうからやってくる』比較的気づきやすい情報となります。とはいえ学校生活は教員の声を中心として様々な音にあふれていることが多く、特定の音に注意を向けるということが難しくなっているということもあります。子どもがじっくりと音に耳を傾け、その始まりと終わりに気づけるよう、丁寧に音を扱っていきます。

入手方法

市販品となります。手作りの楽器を扱うこともあります。

その他の教材例

 

 

 

 

 


ギター、カホン、ハーモニカなど、音が鳴る楽器全般となります。「音」は子どもにとって比較的気づきやすい情報ですが、気づきやすいからこそ金属音が苦手だったり、大きな音が苦手だったりして、身構えていることがあります。子どもにとって「程よく気づきやすい」音を探っていきます。

1段階前半 教材紹介③CDコマ

 

 

 

 

 

 

 

 

用途

「自分の身体に気づく」「触って気づく」「聞いて気づく」に続きまして、「見て気づく」ことの教材となります。「見て気づく」とは言いましても、今回紹介するコマの場合は「動いているものに気づく」目の使い方となります。

人の目は、「動いているもの」「光っているもの」を捉えることと、「色」「形」「絵」「文字」などを見分けることとでは、目の中で使っているところがそもそも異なります(周辺視野と中心視野)。どちらかというと「動き」「光」の方が気づきやすいため、「見て気づく」ことの取り掛かりとして、このCDコマなどを扱っていきます。回っていることに気づき、手を伸ばしていきます。

入手方法

市販品となります。

その他の教材例

 

 

 

 

 


光るスイッチです。本校の教員が作成したものになります。押すスイッチ、レバースイッチなどがあります。そのほか、タブレットの様々なアプリ等があります。

1段階前半 教材紹介④積み木倒し

 

 

 

 

 

 

用途

子どもの手の操作は、この積み木倒しのような「瞬間的な」操作から、スイッチを押し続けるような、「持続した」操作へと育っていきます。

ここで紹介するのは、「ごく簡単な操作で」「大きな結果が起きる」活動を通し、子どもが物事の因果関係を学んでいくための教材となります。崩れる、音が鳴るなど、結果が明確であればこそ、子どもは教材に向けて手を伸ばそうとしていきます。

入手方法

市販品の積み木セットが使えるほか、百円均一の店舗で立方体の木を入手し、「アクリル絵の具で塗装する→紙やすりで整える→アクリル絵の具で塗装する→(繰り返し)→ニスで仕上げる」といったことで作成することもできます。素材によっては百円均一の店舗で入手するよりも。ホームセンター等で入手した方が扱いやすい場合もあります。

その他の教材例

 

 

 

 

 


ツリーチャイム(子どもが扱いやすいよう土台を作成)、ビデオテープ倒し、市販の教材の入り口をセロテープなどで狭くしてボールが止まるようにしたものなどがあります。これらは瞬間的な手の使い方で、大きな結果(フィードバック)を得ることができます。

 

 

 

 

 


               

 

また、坂道上のボールを手で止めておいて、少しだけ手を動かすとボールが転がっていく…といった教材の扱い方もあります。

1段階前半 教材紹介⑤磁石内蔵2分割パズル

 

 

 

 

 

 

用途

これもまた、瞬間的な操作で大きな結果が得られる教材です。たくさんの磁石が内蔵されており、子どものわずかな動きを拾って大きな結果を生むことができます。

入手方法

教員による自作教材です。百円均一の店で購入できるスチレンボードを組み合わせ、立体的な形状を作ります。中には「強力マグネット」を片面12枚ずつ埋め込み、力強く張りつくようにしています。なお、周囲を巻き上げる用途としては「重量用」の梱包用テープを使っています。ブックカバーの方が丈夫ですが、丈夫すぎて、磁石の磁力を弱めることがあるためです。

 

 

 

 

 


その他の教材例

 

 

 

 

 


ボール盤で穴を開けたビー玉落とし、ボール落としなどです。ゴムひもでビー玉やボールを支えています。「1つ落として終わり」ではなく「全部落としきる」活動などにすると、難易度が上がります。なお、ビー玉については直径20mm、45mmのボールにつきましては50mmの面取りドリルで穴を開けています(ある程度の遊びが必要なため)。ベースとなる箱は、百円均一のもの、ホームセンターのもの、自作のものとさまざまです。

1段階前半 教材紹介⑥ライトムーブ

 

 

 

 

 

 

用途

教材紹介④や⑤の教材が「瞬間的な」引っ掻く、押すような操作で扱っていたのに対し、ここで紹介する教材は「押し続けないと」いけないものになります。若干、難易度が上がることになります。

この「ライトムーブ」は押している間、「振動」「光」「音楽」というフィードバックが得られる、子どもにとって非常に気付きやすい教材となります。

入手方法

市販品になります。輸入品ですので、専門のサイト等での購入になるかと思います。

その他の教材例

 

 

 

 

 


回し続けるスイッチ、キーボードなどがあります。

 

 

 

 

 

 

 


家電とコンセントをつなぐスイッチを使い、「ラジカセ」をスイッチ化するといったことも考えられます。使用するのはカセットテープです。電源のON/OFFだけで再生/停止が自動で行われること、一度電源が切れてもすぐにそこから再生されることなど、カセットテープならではのメリットがあります。

 

なお、ライトムーブやキーボードなどと比べた場合、ライトムーブやラジカセが「押したもの自体が応答する(音が鳴る)」のに対し、下記のスイッチ教材では「押すスイッチ」と「応答するもの(ラジカセ)」との間に一定の距離があります。わずかな距離ではありますが、子どもにとって「押したら/応答する」ということのつながりがわかりにくくなりますので、注意したいところです。これはその他の様々なスイッチ教材につながる原則となります。

1段階前半 教材紹介⑦光る太鼓

 

 

 

 

 

 

用途

これまで紹介してきた教材は、「瞬間的に」扱うにしろ、「持続的に」扱うにしろ、一点に触れたり、一点を押し続けたりすれば応答(フィードバック)が得られるものでした。一方、ここにおける「太鼓をたたく(直接手でたたき、バチ/マレットは用いない)」という場合には、相当に運動をコントロールする必要があります。また、運動を持続させる必要もあります。「たたく」と言うとシンプルな操作のようですが、かなり難易度の高い教材の扱い方となります。

入手方法

市販品になります。

その他の教材例

 

 

 

 

 

 

 


鈴、ハンドベル、シェイカーなどを「持ち続け」「動かし続ける」ということになります。ハンドベルは以前②でも紹介しましたが、以前はあくまで「教員が鳴らした音を聞く」用途でした。ここでは自分で鳴らす用途での扱いとなります。また、およそこれらの扱いができる頃、「差し出された手に、手を合わせる」といったこともできてくるのではないでしょうか。

1段階前半 教材紹介⑧スライドブロック

 

 

 

 

 

 

用途

「落とす」「はめる」という終点理解(終わりの理解/目的の理解)のもと、穴に向けて運動を方向づけていく教材となります。このスライドブロックから、「一方向への方向付け」⇒「二方向への方向付け」⇒「弁別の開始」といったように、さまざまな学習に広がっていきます。

その他の教材として紹介する「輪抜き」とでは、子どもの手の使い方等によって難易度は前後します。基本的に「輪抜き」の方が活動の目的がわかりやすいことが多いですが、「輪抜き」は腕を持ち上げて操作しないといけないため、困難である子どもがいるためです。

入手方法

教員による自作教材となります。

材料は ・百円均一の細長い木箱(内径240×80×30mm程度のもの)

・百円均一のMDF板(A3、厚さ5mm) です。

※MDF板は店舗の種類により、5mmのものと6mmのものに分かれます。ここでは5mm厚のものを扱っていきます。

<一方向/深さ30mm/幅240mm/の最もシンプルな構成の場合>

1.MDF板を80mm四方程度のサイズで6枚カットします

2.80mm四方のMDF板6枚を貼り合わせます。ボンドは薄く広く使います。意外と、量が少ない方が力強く貼りつきます。

3.直径62mmの正円をプリントアウトし、はさみで切り抜き、6枚重ねのMDF板の上に置いて鉛筆でなぞります。

4.電動糸鋸で可能な限り正確に切り抜きます。

5.アクリル絵の具で塗装→紙やすり(400番程度)で整える→塗装→整えるを繰り返す。

6.木が毛羽立たなくなったところでニス(ホームセンターのものがよい)で仕上げる。

 

 

 

 

 


これでペグが完成します。あくまで本校の環境での話となります(本校にある機械は電動糸鋸、卓上ボール盤、テーブルソーのみです)。もっと簡易に作成する方法もあるかと思います。塗装もスプレー等を使用する方が効率的かもしれません。

1.MDF板を240mm×80mmの長さで6枚カットします。

2.MDF板6枚を貼り合わせます。ボンドは薄く広く使用します。あせらず、2枚ずつ貼りあわせましょう。

3.240mm×80mm×30mmの木の塊ができたはずです。ここに、直径70mmの円を書きます。

4.円の中にドリルで穴を開け(ボール盤でも、ハンドドリルでもよい。直径8mm程度)、糸鋸の刃が通るようにします。

5.穴の中に電動糸鋸の刃を通しながら機械に取り付けます。

6.電動糸鋸で可能な限り正確に切り抜きます。

7.箱の底にラミネイトした紙(白、黒などおすすめ)を貼り、その上から「直径70mmの穴をくり抜いた240mm×80mm×30mmの木の塊」を貼ります。

 

 

 

 

 


これで土台が完成します。箱が枠として機能し、ペグが落ちにくくなります。なお、これも別の機械があれば、もっと簡単に作成できるかもしれません。ボール盤で穴を開けていたこともありますが、大きな刃が高価であることと、機械への負担が大きいことから現行の作成方法になっています。

また、土台やペグの中に磁石を仕込み、その上から別の板を貼ることで隠すこともできます。多様な工夫が可能です。

 

 

 

 

 

 

その他の教材例

 

 

 

 

 


一方向の輪抜き棒です。直径15mm、長さはさまざまな棒について、「100mm四方/厚さ6mm/3枚重ね」のものにボール盤で穴を開け(棒と同じ15mmのドリル使用)、棒を押し込み、もう一枚の板で底をふさいでいます。

輪抜き用のペグについてですが、輪であれば百円均一の輪投げ用の輪でも何でも使えますし、一つ当たり数百円しますが、穴の開いた木球も市販されています。

1段階前半 教材紹介⑨スライドブロック(抜けないタイプ)

 

 

 

 

 

 

用途

基本的に⑧で紹介したのと同じです。ただ、⑧で紹介した「スライドブロック」はペグを子どもが握りこんだり、口元に持っていったりするようなことがあります。そのため、枠に溝をつけて「抜けない」ようにしたのがこの教材となります。

入手方法

教員による自作教材です。およそのところは⑧と同じなのですが、

 

 

 

 

 


このような形で、立体的に作っていきます。全6枚のMDF板のうち、4枚は固定。残る2枚について、ペグがうまくすべり、なおかつ抜けないようにサイズを調整しつつ、溝をくり抜いています。

※これは長さを出すために箱を連結させていますが、その方法は下で紹介します。

 

 

 

 

 


ペグは5mm厚のMDF板による、7層構造になっています。大(55mm)4枚重ね→小2枚→大1枚を貼り合わせています。この辺は具体的な規格があるわけではなく、程よくペグがすべるように、サイズを調整しながら作っています。

その他の教材例

 

 

 

 

 


横に長いスライドブロックです。操作は距離が長ければ長いだけ難易度が上がります。これは箱1つを使った標準的なものの、約2倍の長さがあります。理論上、いくらでも長くすることはできますが、実用性を考えるとこのくらいが限界かと思われます。

 

 

 

 

 

 


どう作成しているかというと、中身のMDF板は450mm(400mm)×80mm×6枚をカット。箱につきましては、内径225mm(200mm)のところでカットし、連結させます。この「箱を切る」というのはなかなか難しいです。あとは通常のスライドブロックと同様です。

1段階前半 教材紹介⑩二方向スライドブロック/長さのあるスライドブロック

 

 

 

 

 

 

用途

横1方向のスライドブロックの発展版で、方向の切り替えを伴うスライドブロックです。「運動を起こす」「曲がり角でいったん運動を終わらせる」「再度運動を起こす」「穴に入れて終わらせる」という、「運動をつなげる」教材となり、かなり難易度が上がります。一方、学んでいる途中の子どもであれば、ペグを持ち上げてそのまま穴に入れてしまおうとすることでしょう。

この「運動をつなげていく」ということが、「~をして~をする」といったことにつながっていきます。「保健室に出欠簿を届けて/教室に戻る」といったことです。

入手方法

前回紹介した、「横に長いスライドブロック」と同様の作り方をします。

 

 

 

 

 


MDF板6枚を、同じ形でカットします。やろうと思えば三方向ですとか、さらに多方向に加工できるはずです。箱については、MDF板に合わせてカットします。それなりに難しい加工となります。あとは通常のスライドブロックと同様に作っていきます。

その他の教材例

 

 

 

 

 


二方向輪抜きです。二方向のスライドブロックとどちらが難しいかは子どもによりそれぞれです。「抜く」という方が目的がわかりやすい子も多いのですが、操作性を考えるとスライドブロックの方が扱いやすいという子もいます。

なお、二方向(多方向)輪抜きの作り方は色んなやり方があると思いますが、ここでは塩ビパイプを使用しています。太いパイプの間を細いパイプでつないでいます。細いパイプをギリギリの長さに調整し、木づちで打ち込んで固めています。

 

 

 

 

 


「横に長い輪抜き」「多方向輪抜き」もあります。「横に長い輪抜き」は角柱にボール盤で穴を開けて棒を通し、ゴムひもで棒を固定しています。「多方向輪抜き」はマグカップホルダーを使用しています。

 

 

 

 

 

また、抜いた輪を筒に入れる、といったことにも取り組んでいきます。運動をつなげます。