2・3段階国語
23段階国語 教材紹介①毎日目にする単語カード
用途
いよいよ文字を扱っていくことになりますが、文字を扱うにあたり、もっとも重要なのは「文字を読もうとしていること」「文字への興味・関心がみられる」ということになるのではないでしょうか。具体的には「毎日見慣れている単語カードについて、選択できるものがある/読み上げられるものがある」といったことです。
「毎日見慣れている」となると、およそ「自分の名前」「友達の名前」「はれ/あめ等」になるのではないでしょうか。ただ、この時点でこれらの単語を読み上げているとしても、それは「いつも朝の会などで見ているのでなんとなく」であったり、(その子が『まな』さんであったとすれば)「ま」を見て「まな」と読み上げたりといったことが起こりがちです。この時点では、一文字ずつの読みという点では、まだ十分ではありません。
作成方法
身近な単語を選べるか、読み上げられるかといったことを考えるとき、こういった単語カードだとどうでしょうか。割と学校で見かけがちなカードですが、これだと「絵や写真を見て言っているのか」「単語を見て言っているのか」が判断できません。そのため片面が絵や写真で、もう片面が単語になっているカードを用意しています。こうすることで、「『はれ』はどれ?」といった、カルタ取り形式での学習を行うこともできます。
しかしながら片面を絵や写真に、もう片面を単語にした場合、「磁石をどうするのか?」という問題も発生します。そこで、ここでは磁石をカードの中に埋め込む、ということをしています。1段階前半の⑳「切り抜き写真カード(好きな具体物とカードの交換)」でも紹介しているのですが、厚さ10mmのスチレンボードの中に強力磁石を2枚/4枚埋め込み、セロテープ等で十分に固定したうえで、周囲を梱包用テープ(重量用)で巻き上げています。こうすることで表裏の両面を活用できるほか、「適度な重みが生まれて扱いやすくなる」「厚みが出るので扱いやすくなる」「カードが互いに貼りあわさるのでばらけなくなる」といったメリットが生まれます。
デメリットとしては作成が大変…ということでしょうか。しかし一度作成すると、数年はもちます。
23段階国語 教材紹介②文字カードの弁別
用途
身近な単語であれば、「単語のまとまりとしてなんとなく選べる、読み上げられる」といったあたりで、一文字ずつの学習に進むことができるようになります。ただ、教材紹介③のところでも紹介しますが、「あ」「い」「う」「え」「お」のあたりは、音楽の授業とも関連付け、「ア・イ・ウ・エ・オ-ッ」の歌を活用するなどして、あらかじめ文字、イラスト、身振りになじんでおくというのもよいのではないでしょうか。
文字の弁別ですが、やはり、「『あ』のカードと『い』のカード」を分けることが難しい場合、それぞれの読み上げるということもまた、難しいのではないでしょうか。いろんな学習と重なるのですが、文字に関しても「分ける」→「選ぶ」→「読み上げる」という順序で学んでいくのが、丁寧なステップかと思われます。
そこで、各文字の弁別です。これまでに具体物での弁別、絵カードでの弁別などに取り組んできたかと思われますが、その延長線上で文字を弁別していきます。あるいは絵と文字の間のステップとして、「〇△□など、様々な幾何学図形の弁別」を入れておくとよいかもしれません。
各文字を分けたあと、「~はどれ」といった質問を受けて選ぶことや、「これは何?」という質問を受けて読み上げることなどに取り組んでいきます。
作成方法
これは板目表紙で作成してもよいのかもしれませんが、他のカード同様、木をベースにして作成すると持ちやすく、適度な重みが生まれます。今回紹介している教材は60mm×90mm×5mmの木片(A3から25枚切り出せる)の前後に文字を貼り、周囲を梱包用テープで巻き上げています。
他の教材
文字の弁別の直前くらいの学習になるでしょうか。様々な図形の弁別になります。図形の細かい差異を見分ける力(細部視知覚)を高めていきます。「あ、お、め、ぬ」「ろ、る」「き、さ、ち」「い、り、こ」「れ、ね、わ」など、見分けにくい文字同士を見わけていくことの基礎となります。
23段階国語 教材紹介③(越特オリジナル)かな文字カード
用途
本校独自の教材の中でも、際立ったオリジナリティを有するのがこの「かな文字カード」になります。この教材は、ひらがなの清音44個、「を」「ん」を加えて46個、使用頻度の高い濁音の「だ」「が」を含めて48個の音を表す文字をカード化しています。
カードは片面が文字、裏面が一音ずつに対応するイラストと添えられた文字からなります。このイラストは例えば「か」であれば「かに」ではなく「蚊」でです。「き」であれば「きりん」ではなく「木」です。「せ」であれば「せみ」ではなく「背」です。「て」であれば「てがみ」ではなく「手」です。つまり、一音ずつにそのまま対応するイラストを用意しています。
このようにして「蚊」「木」「毛」「背」「血」「手」「歯」「火」「実」「目」「矢」「湯」「輪」「蛾」が作られました。ですが、一音ずつに対応する適当な名詞がない音もあります。例えば「あ」ですが、これを「あいすの『あ』」「ありの『あ』」などと扱うと、一音一文字の原則がわかりにくくなってしまいます。また、「あ」を見て「あいす!」と読み上げるような状況も起こりえます。また、「い」は「胃」、「さ」は「差」などがありますが、子どもの学習には使いにくい名詞です。そこで、名詞でそろえるのをあきらめ、オノマトペなどありとあらゆる言葉から採用していきました。
つまり、「あ」はあくまでも「あ!」。「い」はあくまでも「い!」です。「ら」は「♪ら~」。「ん」は「ん!」です。
また、一音ずつに対応するイラストにつきましては、身振り化できることも前提にしています。従いまして、「た」は「田」でもよかったのですが、身振り化が難しいことから「タッ(馬が走る音)」になりました。また、「と」も「戸」ではなく「とー!」になりました。そのほか「る」「だ」など、世代によってはなぜこれが「る」なのかとわからないようなものもありますが、これらを学ぶのは50音の中でもかなり最後の方ですので、勢いで押し切ります。
「身振り化できる」というのも非常に重要なポイントです。例えば「お」の文字が読めないとき、子どもはどうすればいいでしょうか? 読めないのですから、どうやっても読めません。おそらくは大人が「『お』でしょう」というのを聞いて、そしてそれを復唱して「お」と言うのではないでしょうか。もちろん、これで読めるようになる子もいます。しかしありがちなのは、子どもがだんだんと文字を見なくなり、教員の顔を見ているといった姿。文字とは関係なく、教員が言うのを復唱するだけの活動になっている姿ではないでしょうか。しかし各文字に対応するイラストがあり、身振りがあればどうでしょうか。
文字の読み方が思い出せないとき、イラストをヒントに子ども自身が「『お』だ!」と音を思い出すことができます。また、身振りをヒントに思い出すこともできます。語呂合わせで年号を覚えるような感覚でしょうか。「お=『お』」だと一対一で機械的に暗記するのではなく、イメージ化し、動作化することで記憶を定着させやすくしているわけです。
また、イラストと身振りがヒントとなることで、「大人が黙っていても」子どもが読み方を思い出せる、というのが非常に、非常に大きなポイントとなります。大人が言うのを復唱するのは「聞く─話す」活動ですが、イラストや身振りを見て音を思い出すのは「見る─話す」活動です。文字の学習の中で、最初に「お」と言ったのは誰でしょうか? 子どもでしょうか? 実は大人が言っていて、子どもはそれを耳で聞いて言っているだけではないでしょうか?
また、肢体不自由のある子どもの中には、どうしても発語が難しい子どもがいます。その場合、どうやって「その子が文字を読めているかどうか」を判断すればよいのでしょうか。発語が難しくても「文字を選べる」ことはできるかもしれませんが、それと「文字を読める」ことは違います。また、文字を読めないとしても、書いたり機器に打ち込めたりできればよいのですが、「読めること」と「書けること」の間には難易度の大きな違いがあります。
そんなときにも、各文字が身振り化されていると大きな力を発揮します。例えば「き」という文字を子どもが読めているかどうかの場合、「き」の身振りをしてくれれば、子どもがわかっているということがわかります。「さ」の身振りをしていれば、似通った字形で間違っているということがわかります。似た発音のものと混同していることもあります。そうしたことから「何につまずいているのか」「今の課題は何か」ということも見えてきます。
この教材の詳細につきましては、
・「発達臨床研究34巻」淑徳大学発達臨床研究センター
・「発達臨床研究38巻」淑徳大学発達臨床研究センター
・「発達臨床研究39巻」淑徳大学発達臨床研究センター
・「肢体不自由教育実践授業力向上シリーズNo.10」ジアース教育新社
などで報告されています。
作成方法
これらのカードの作り方、使い方につきましては、情報量が膨大なため、別途まとめてあります。
他の教材
素材をスチレンボードではなく木にしたものがあります。また、単語の学習用にブロック化したものや、文章を打ち込めるようにしたアプリも開発しています。これらはいずれ紹介します。
23段階国語 教材紹介④簡易な2文字単語のカード
用途
一文字ずつの読み上げにつきまして、前項の「教材紹介③(越特オリジナル)かな文字カード」で紹介しました。ただ、「一文字ずつを読み上げることができれば」自動的に単語を読めるようになる、文を読めるようになる、文章を読めるようになるのかといえば、違います。そもそも、「読める」ということ自体につきましても、「読み上げる」ということと、「読み上げて、その意味が分かる」ということでは大きく異なります。
例えばですが、大人の場合、英語の単語や文を「読み上げる」ということはできるかもしれません。「There are places I’ll remember」といった文を読み上げることはできるかもしれません。しかしそのことと、その意味がわかる、ということは大きく異なります。それは子どもにとってのひらがなの学習も一緒で、「読み上げている」からといって「その意味がわかっている」とは限りません。
例えば子どもが「りんご」という単語を、『り、ん、ご』と読み上げたとします。しかしその時、子どもの脳裏に、赤くて丸い、あの果物がイメージされているでしょうか? 実はその時点では子どもはイメージしておらず、大人が『そうだね、「りんご」だね』と復唱したからこそ理解してはいないでしょうか? つまり、目で見て、読んで理解しているのではなく、大人の言葉を耳で聞いて理解してはいないでしょうか?
こういった状況を避けるためには、子どもが「うし」「あか」など単語を読み上げた際、「それは何?」「どこにあるの?」といった言葉かけが効果的です。そのためには「うし」「ねこ」など身振り化できる単語、あるいは教室の中にあるものの単語(「みみ」「くち」などの身体部位、友だちの名前など)から学習していくとよいでしょう。
2文字単語のカードにつきましては、このように「読み上げて意味をとる」ことのほか、いくつかを並べておいて、『「うし」はどれ?』とカルタ取り形式で選択するといった使い方が考えられます。
なお、一文字ずつの学習から2文字単語に進んでいくわけですが、どのタイミングで単語の学習に移行するか、という問題があります。これはもちろん個人差があるのですが、少なくとも「ひらがな全部を読めるようになってから」単語の学習に進むというのは遅すぎます。およそ「あ行」「子どもの名前を構成する文字」「か行のうちいくつか」「し、り、ん」「た、と、な、ま、み等」といった15文字~18文字ほどを読み上げることができれば、かなりの数の単語を学習できます。最後に残るのは「れ、ね、わ、を」といったあたりになるかと思われますが、読み上げられるのが40文字を越えてくるようですと、一部の文字が読めなくても、それを推測しながら読み取るような姿も見られてくることでしょう。
他の教材
「身振り化できる2文字単語」「教室内にあるものの2文字単語」と言っても、やはり限界があります。そのため、このようなプリントを用意し、「読み上げる」→「読み取る」→「絵を選択する」といった学習を行うことがあります。一文字ずつの読み上げの学習とリンクさせ、「今現在、読み上げられる文字」で構成できる単語だけでプリントを作っていきます。また、逆に、絵を見て、その単語を選ぶということも行っていきます。
なお、横書きだけでなく、縦書きのカードも用意してあります。
23段階国語 教材紹介⑤文字ブロック
用途
文字の学習の一環となります。一文字ずつの読み上げ、単語の読み取り、そして単語の構成をセットで学んでいきます。なお、子どもは例えば「あお」と読み上げ、読み取れていたとしても、そこに含まれている「お」が、「おめでとう」の「お」や、「おに」の「お」と同じものだと認識しているとは限りません。そのため、文字ブロックを並び替えることで、「特定の単語に使った文字が、他の単語でも使える」ということを学んでいきます。
文字ブロックには磁石が内臓されています。また、単語構成用の枠にはブラックボードパネルが敷かれており、ブロックがばらけないようになっています。また、ブロックの表面は文字ですが、裏面には「かな文字カード」と同じイラストが貼られているため、子どもが「これがなんの文字であるのか」を判断しやすくなっています。
50音全部から単語を構成することは大変です。そのため、最初は「単語の並び替え」から行っていきます。「みかん」であれば、「み」「か」「ん」の3個だけを用い、それを並び替えます。そして各文字を単語の上に置いていくことから始め、やがて自力で単語を並べていきます。また、少しずつ、使わないダミーの文字も増やしていき、いずれは50音全部の中から必要な文字を選べるようにしていきます。
作成方法
これは、30mm×30mm×10mmの木片をベースにしています。このサイズの木片そのものも百円均一の店で売っていますが(令和8年1月現在)、90mm×30mm×10mmで8本入っているものを買って、3等分する方がコストパフォーマンスに優れるかと思われます。
ボール盤を使い、木片に直径20mm、深さ5mmの穴を開けます(貫通させず、強力磁石が1個埋まる程度)。危険なため、ここでは木片固定用のジグを用いています。なお、この直径20mmの面取りドリルは磁石の大きさにフィットするため、多くの場面で活躍することになります。
開けた穴に、ボンドを入れていきます。少量で十分です。そこに磁石を1個ずつ入れて固めるのですが、この際、磁石の方向がすべて揃うようにします。
文字面とイラスト面のデータは以下のものになります。
磁石入りの木片、印刷した紙がそろいましたら、いよいよ梱包用テープ(重量用)で巻き上げていきます。この巻き方には、かなりのコツが必要です。そもそもとしまして、かなり切れるはさみ(できればテープ切り専用)が必要です。ここで重要なのは、テープの断面が子どもの指先に引っかからないようにする、ということです。
紙面で説明するのは非常に難しいのですが、テープをカットする際、断片がおよそ9mm程度になるように統一します。これは木片の高さ10mmに対し、若干短い長さです。木片の高さよりも長いと半端にはみ出て指先に引っかかってしまいますし、短すぎると、断片同士が貼りつかなくなってしまいます。断片の長さは、あくまでも10mm弱です。
裏面も同様にテープを貼り、断片が9mm程度になるようにカットします。また、この際、断片がハの字になるようにカットします。断片が子どもの指先にかからないようにするためです。
カットがうまくいっていると、気持ちよく巻き上がるはずです。断片がすこし飛び出ている、指にかかるようでしたら、少しカットしたり、テープを足したりしていきましょう。コツは、できるだけ広い「面」でテープを貼ることです。細かくテープを足すと、すぐにはがれてしまいます。
ここまでで、木片の側面が指に引っかかっているはずですので、そこも保護します。細長くテープを切り、側面の隙間に貼っていきます。この際、できるだけテープは長く、7~8mm程度の太さで貼っていきます。これで完成です。
<黒板の作成>
これは市販されている小型のホワイトボードやブラックボードでも十分なのですが、せっかくなので自作してみます。文字ブロックを貼っておく用と、単語構成用の2つを作ります。
まず、A3のMDF版を4等分し、A5大の板を用意します。また、ブラックボードパネルを解体し、中身を金切りばさみでカットします(手を切らないように要注意)。
A5大のMDF版にドリルで穴をあけ、電動糸鋸でくりぬきます。ここでは110mm×155mmサイズでくり抜いています。くり抜いた板、ブラックボードパネル、もう一枚の板で接着して完成です。上に本を積み上げるなどして圧着します。
<参考までに>
拗音(しゃ、しゅ、しょ等)をどのように扱うか、促音(っ)をどのように扱うか、という問題もあります。小書きの「ゃゅょ」を作って「し」「ょ」などと組み合わせるという方法もあるのですが、日本語のモーラ(拍)に沿うことを考えると、拗音については「きゃ、きゅ、きょ、ぎゃ、ぎゅ、ぎょ、しゃ、しゅ、しょ、じゃ、じゅ、じょ、ちゃ、ちゅ、ちょ、ぢゃ、ぢゅ、ぢょ、にゃ、にゅ、にょ、ひゃ、ひゅ、ひょ、びゃ、びゅ、びょ、ぴゃ、ぴゅ、ぴょ、みゃ、みゅ、みょ、りゃ、りゅ、りょ」をすべて作成するのが適切でしょうか。促音「っ」は独立させます。
23段階国語 教材紹介⑥簡易な3文字単語のカード
用途
④で紹介したのが2文字単語でしたが、こちらは3文字単語になります。「いるか」「きりん」など、使える語彙のバリエーションが一気に広がります。なお、「2文字単語」と「3文字単語」と言いますと、「単に2が3になっただけ」という感覚があるかもしれませんが、これらの間には、大きな断絶があります。
※これが数量であれば、2と3の理解はそんなに差はありません。
どういうことかと言いますと、たとえば2文字単語の「いか」の場合、最初の「い」と最後の「か」から構成されています。つまり、最初と最後しかありません。これは子どもにとって捉えやすい音です。
一方、3文字単語の「いるか」になるとどうでしょうか。最初の「い」と最後の「か」に加え、間に「る」という音が存在します。この中間の音を捉えることが苦手だという子どもがいます。2文字単語まではスムーズに読み取れても、3文字になったとたんに難しくなる、というケースです。
ここにアプローチしていくには、やはり文字ブロックの並び替えですとか、しりとり、単語を逆に言うといった、単語の中に含まれている一音ずつを捉えていく学習が重要なのではないでしょうか。
他の教材
3文字単語につきましても、縦書き仕様のものを用意しています。
23段階国語 教材紹介⑦単語での種類の弁別のカード
用途
これまでも「種類の弁別」は紹介してきました。具体物で、あるいは絵で。文字の読みを学習したあと、なぜここでまた「種類の弁別」かと言いますと、この学習が文字の読みを深める手段となるからです。
「りんご」という文字列を『りんご』と読み上げ、それが赤い果物であるとわかる。それは素晴らしいことですが、もう一段、「読んで考える」という世界に踏み込んでいきたいところです。そうすることで考える力が深まり、物事を柔軟にとらえる力が育っていくからです。
そのためには、「りんご」の文字列を読みあげて赤い果物だとわかる、というだけでは足りません。意味を読み取り、そしてそれを頭の中で操作する必要があります。その操作の一つが、ここで紹介している「単語での種類の弁別」となるわけです。
これはかなり難易度が高く、子どもにとって負荷のかかりやすい学習となります。絵で弁別するのと異なり、映像を思い浮かべ、さらにそれを弁別するという、2ステップの思考が必要になるからです。ここでは「単語での種類の弁別」を紹介していますが、「単語での色の弁別」「単語での形の弁別」「単語での大小の弁別」などもよいでしょうし、「単語での大小の順序付け」ともなると、かなり自由自在に単語を読み取り、頭の中で操作する力が要求されます。このあたりまでくると、文や文章の読み取りの際、各単語や各文を関連付け、「深く読み取る」といったことにもつながっていくことでしょう。
なお、単語での弁別が難しい場合、裏面にはイラストがありますので、それを確認しながら取り組んでいきます。
他の教材
このように、プリント化するということも考えられます。この場合、最初は見出しの「どうぶつ」だけを読み取って絵で選択していくことから始めます。そして、単語から選択するということに進んでいきます。
プリントの扱い方としましては、選択肢に〇をつけていくというのもありますし、枠に固定して磁石を貼っていく、というのもあります。磁石を貼る場合、間違っていたとしても磁石を移動させるだけで済みますので、かならず正解の「〇」がつくというのもポイントです。失敗するということが苦手で、何度も消しゴムで答えを消す子などもいますが、磁石を貼っていくことにより、必ず正解することができます。
このプリントの形式は様々な属性の学習に応用できます。「かわいい」の学習も、絵で選択することから始めて、単語での選択に進みます。そのほか、「おしょうがつ」「こわい」「おおきい」など、様々なものを単語で探していくと、かなりの学習になります。
23段階国語 教材紹介⑧(越特オリジナル)こしとくひらがなアプリ
用途
同じイラストを使ったひらがなの学習用教材のシリーズの中で、スマートフォンやタブレット端末で扱えるアプリ化してあるのがこちらの教材になります(→インストール方法)。これまでに紹介してきたあらゆる教材の集大成、と言っても過言ではありません。
文字カード、文字ブロックでの学習を経て、単語や文、簡単な文章を「書く」ために使う教材です。
・筋疾患のある子が、最小限の力で操作できる
・一音一文字に対応したイラストが添えられているため、文字の読みが曖昧でも使用できる
・入力した際に、一音ずつ読み上げのフィードバックが入る。
・必要がなくなればイラストを消すことができる。
・作った文を読み上げる機能がある。
・単語の入力モードがある。
といったメリットがあります。
ひらがなの入力のためには様々なアプリがありますが、いずれも学習として使うには機能として足りなかったり、高価であったりするために本校の児童、保護者、教員とで協力して作り上げたものです。
開発に関わった子どもたちのためにも、ぜひ、ご活用ください。たくさんの学校やご家庭で活用されていくことを願っています。
※当アプリの改変、再配布はご遠慮ください。
ある日の学習例
実際の個別学習の例を紹介します。正味30分くらいの学習になります。
〇9分割形態構成
〇3×2位置把握
〇2×2マトリクス(色と形)
〇文字カードの選択(絵の面8~9択)
細かい話ですが、ここでは口頭で「ひ」などと提示し、子どもがカードを選択したら身振りを添えます。
〇文字カードの選択(字の面8~9択)
ここでは身振りのみで提示し、子どもがカードを選択したら「『ひ』だね」などと口頭で添えます。
〇文字ブロックの並び替え、単語の構成
マッチングでの学習→空欄に自分で置いていく学習。
〇プリントでの単語の読み上げ→絵の選択
「読みあげて終わり」ではなく、絵を選択することで、着実に意味を取っていきます。教員の復唱する声を聞いて判断することのないよう、注意します。
〇単語カードの選択
「~はどれ」で選んでいきます。めくって、絵で確認します。
この後の課題としては「うま」などの単語をひらがなアプリに打ち込むこと。「せいかつ」などの日課をアプリに打ち込むこと。そしてそこから日記につなげていくことを想定しています。このあたりの一文字ずつの読み、音韻意識の育ち、文字を発語と同様に駆使していくこと、といったことは子どもの頭の中でそれぞれが相互に作用しあって緻密になり、かつ広がっていくのですが、その逐一は記述しきれません。どれが1つの学習で身につくというものでもありません。机上の学習だけで身につくものでもありません。繊細に、繊細に、子どもが文字と共に「音を操っていく」力を紡いでいきます。
他の教材
子どもが読み上げられる字でできている単語を冊子化し、アプリと同じ絵でルビを振ったものです。
23段階国語 教材紹介⑨数字結び
用途
前項の「こしとくひらがなアプリ」は広い意味での「書き」に関する教材でした。今回紹介する「数字結び」は狭い意味での書き、つまり筆記用具を使った「書き」になります。
同様の学習としては、2点結びや簡単な迷路などを紹介してきました。ここでは数字を順に結んでいく中で、より自由自在に線を書く、ということに取り組んでいきます。
※数字の読み、およびその順序については算数科で学びます。およそひらがなが全部読める頃であれば、それらの学習もできるでしょう。
他の教材
「点図形模写」も非常に重要な学習です。文字は、なぞることを繰り返してもなかなか「書ける」ようにはなりにくいです。「見本を見て、同じように書く」「見本を思い出して書く」ことが重要なわけですが、その第一歩になります。また、より複雑な迷路(インターネット上にたくさんあります)に取り組むのも、運筆の力を育てることになります。なお、書初めの際には、天井から筆をぶら下げて書く…といった方法もあります。縄跳びの縄などが程よい張力になりやすいです。
23段階国語 教材紹介⑩同じ/違うのカード
用途
ここからは簡単な単語の読み上げ、読み取りができるくらいまで学習が進んだことを想定し、より深く言葉や概念を捉えていくための教材を紹介していきます。
この教材は、2つの絵が並んでいるものです。そしてそれらの絵が「同じ」であるか(つまり〇であるか)、「違う」か(つまり×であるか)を答えるものです。上記写真で言えば、左は「うま かば」なので×です。右は見た目は違いますが、どちらも「りんご」なので〇です。
これは、〇×ということそのものを学ぶためのものでもあります。ここで問われているのは一般名詞レベルでの「同じ」「違う」ですが、この先の「㉗共通点/非共通点」あたりまでいきますと、例えば「りんごとバナナの同じところ/違うところ」「橋と箸の同じところ/違うところ」といったように、様々な属性に自由自在に視点を向ける、切り替えるといったことを学んでいきます。