2・3段階算数
23段階算数 教材紹介①「数字の歌」カード
用途
これまでも紹介してきましたが、「数の概念」はもっとも狭い意味ですと、「数量─数詞─数字の三者を相互に対応できる」ということになります。つまり、「さん」であれば、「〇〇〇(数量)」と「SAN(数詞)」と「3(数字)」を相互に対応できる、ということです。
そして数量、数詞、数字を学ぶ順番は、基本的に『数量(〇〇〇)→数詞(SAN)→数字(3)』0であり、数字を学ぶのは最後の最後ということになります。よく誤解されがちですが、「数字が読める」ことが「数がわかる」ことではなく、「数詞が言える」ことが「数がわかる」ことでもありません。お風呂で百まで数えられたら「百がわかる」ということではありません。あくまでも数の概念の中心は「〇〇〇」の数量であり、それを「SAN」という言葉に置き換えたものが数詞、さらにそれを「3」という文字に置き換えたものが数字となります。それらをすべて扱えてはじめて「数がわかる」ということです。
しかしながら肢体不自由のある子の場合、砂場遊びなど生活経験が不足しがちなことから、「数字は読める」「数詞も言える」けれど、それぞれの数字や数詞が持っている量の感覚をつかみきれない、ということが起こりがちです。例えばですが、「18%」ですとか「20%」といった言葉を知識として知っていても、「20%」「30%」「50%」とった違いが感覚的につかみにくいことがあります。
ですので「10の大きさはこのくらいだよ」じゃあ、「3はどのくらい?」「80はどのくらい?」と言われて描こうとしても、操作として描くこと自体も難しいのですが、そもそも量の感覚がつかめていない。そんなことも起こりがちです。
つまり「数字さえ読めていればよい」というものではないです。しかし数字もまた数の概念の一部ですので、数字もまた、学んでいく必要があります。
作成方法
数字(12345…の算用数字)は子どもにとって身近なもので、自然と身に付きやすいものです。しかし、「数字が読める = 数が分かっている」ではないのは、これまでも繰り返しお伝えしてきたところです。
とはいえ、なかなか数字(3)の読みが難しい、という子どももいます(なお、数量、数詞の扱いが難しければ、数字を扱うのはまだ早いということなのでしょう)。そこで数字を学ぶための教材として用意しているのが「数字/数字の歌カード」です。これは国語科23段階で紹介した「ひらがなカード」と同じ理屈で、カードの表面に数字を、裏面に「数字の歌」に対応する絵を貼っています。
こうすることで、子ども自身がカードをめくり、その数字が何なのかを確認することができます。具体的な作り方はひらがなカードなどと一緒です。スチレンボード、強力磁石を使用します。
なお、「数字のイチはなあに…」と歌が続き、最後は「ジュウ」となりますが、算用数字に「ジュウ」はありません。「10」というのはあくまでも「イチとゼロ」の組み合わせです。ですので、歌詞を変えて「数字のゼロはなあに、お空のお月さま おしまい」としています。
23段階算数 教材紹介②5までの数量の学習の教材
用途
〇〇〇までの数量の時にもお伝えしましたが、数量の「〇〇〇〇〇」までが把握できる、というのは算数科の学習において非常に大きな契機となります。「〇〇〇〇〇」までを把握できる(数え上げていくつかわかる、あるいは多くの数量の中から取り出せる)とすれば、以降は6~9、0、~20、~99、~999といったように、どんどんと学習を進めていくことができます。
なお、できることであれば、「イチ、ニ、サン、ヨン、ゴ」と数え上げながら数量を把握したり、数え上げながら取り出したりするのではなく、一目で見て/まとめて取り出してほしいところです。それができると、以降の学習に余裕をもって取り組むことができます。
ただ、国語算数1段階後半のところでも説明しましたが、基本的にヒトが把握できるのは〇〇〇や〇〇〇〇までであり、それ以上の数量となると「数詞」や「数字」を交えながら学習することで、理屈として、はじめて把握することができます。「〇〇〇〇〇〇〇〇〇」「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」の違いを見分けるためには、おそらくは大人でも数詞を使って数えあげないと難しいでしょう。一方で数詞を使って数えたり、「9」や「10」と書かれたりしていれば、即座にわかります。
また、〇〇〇までであればスムーズに把握できるけれど、〇〇〇〇あたりから難しくなるという子どもも多いことでしょう。ともあれ「〇〇〇〇〇」までの数量の把握というのは基本中の基本ですので、数詞、数字の学習とからめつつ、丁寧に取り扱っていきます。
なお、数の学習を円滑に進めていくためには言語理解や視空間認知も重要で、「マトリクス」「形態構成」「位置把握」の基礎学習を進めておいてほしいところです。
これは数量カードを使った弁別による学習のやり方です。「〇と〇〇〇〇〇」のように違いが大きいものから扱いはじめ、徐々に近しい数量を扱っていきます。ポイントとしては扱っている絵(ここではリンゴ)がすべて同じである、ということです。
こちらの場合、「リンゴ」等で絵が揃っておらず、絵がバラバラになっています。こうなりますと、一気に難易度が上がります。子どもは、「数量の違い」に目を向けるよりも、「絵の違い」に目を向けやすいからです。
数量の取り出しです。「五個取って」「五つ取って」等の指示を受け、多数の中から特定の数量を取り出します。扱う半具体物は、4個百円のストーンアイスキューブなどが手になじみやすいようです。実際に取り出した数量が合っているかどうかは、数カードの上に置くなどして、子どもが自分で確かめられるようにします。
同じ個数で反復して数量を取り出していきます。世の中には反復しすぎない方がよい学習と、反復した方がよい学習とがありますが、これは繰り返し取り組んだ方がよい学習かと思われます。とにかく子どもの感覚として、「1」「2はこのくらい」「3はこのくらい」「4はこのくらい」「5はこのくらい」というのを、理屈ではなく身体でおぼえられるようにしていきます。
また、手にした数量のまとまりを、(3だったとすれば)「2にして」と言われて、一から取り直すのではなく1つ置く。「5にして」と言われて、一から取り直すのではなく2つ加える、といったことにも取り組んでいきます。
「5を意識する」ということですと、だいぶ前に紹介したこの「ボールの筒入れ」も効果的かと思われます。「全部入れたら5」。「3入れたらあと2つで5」「5に1つ足りないから4」といったことを学ぶことができます。また、操作が容易なこと、数量の捉え方として「縦が見やすい」というのもポイントが高いところです。ボールの色を分け、合成と分解の学習をするのにもおすすめです。
「5までの数量」の学習として、さまざまなものを紹介しました。そのほか、同時に「5までの数字」「5までの数詞」も扱っていきます。数字は前回紹介しましたし、数詞というのは「イチ、ニ、サン、シ、ゴ」と唱えていくことになります。そして繰り返しになりますが、それら数量、数詞、数字を相互に対応できてはじめて「5までがわかる」ということになります。
他の教材
「石」「おはじき」「数ブロック」など、数を学習するための様々な半具体物があります。それらの「並べて扱う」系の半具体物もよいのですが、「棒」もまた、一定の数量をまとめやすい教材です。たくさんの棒を用意しておいて、「5本でまとめる」という学習も、子どもが「5」という感覚をみにつけるための学習になるでしょう。
多くの絵が印刷されていて、「3ずつ囲む」「4ずつ囲む」「5ずつ囲む」といった学習もあります。特に「5ずつ囲む」というスキルは、今後の学習に大きく役立っていきます。
23段階算数 教材紹介閑話 数詞の起こり、数字の起こり
そもそも、数詞とはなんでしょうか。数字とはなんでしょうか。だれがいつ、なんのために作り出したのでしょうか。当たり前のようでいて、不思議な話を紹介させていただきます。
ことの起こりには諸説ありますが、数詞も数字もない、はるか昔の話。それはチグリス川やユーフラテス川のほとりかもしれません。羊を飼っている人がいました。朝になると放牧し、日が暮れるころに柵の中に戻します。しかしそんなある日、その人は「帰ってきた羊が少ない気がする」と思いました。その人は、どうやって羊の増減を確認すればよいのでしょうか? 数詞も、数字もまだないころの話です。
「イチ、ニ、サン、ヨン…」と数えることができれば簡単です。しかし数詞はまだありません。
数字の記録があればもっと簡単です。しかし数字はまだありません。
すべての羊に名前をつける、というのが一つの方法です。しかし羊が多いと無理でしょう。
そして次にはおそらく、指を使ったでしょう。朝、羊が柵を出るたびに指と照らし合わせ、帰ってくるときに確認します。でも、これだと10をこえたら厳しいでしょう。数詞の知識のないまま、指の位置をおぼえておくのも大変でしょう。
そこで、人類は偉大な発明をします。羊が柵を出るたびに石(あるいは木片でもなんでも)を用意し、羊が帰ってくるときに羊と石を突き合わせることで、羊の増減を確認しました。これを『一対一対応』といい、数の概念のもっとも根幹的な部分となります。
羊には老若男女あり、それぞれ名前もあるかもしれません。一匹一匹は全部違います。しかし、それらの要素をすべて無視し、石と対応させることにより、「数量」という属性だけを取り出しました。これは本当にすごいことです。
この一対一対応の前提としては、動かしても数量は変わらないという「保存概念」や、個数としての「多い/少ない」の理解が必要です。「多い/少ない」の前に「大きい/小さい」。「大きい/小さい」の前に「形」や「色」。そしてそもそも「具体物がそこにあること」に「見て」気づくこと、「触って」気づくこと。算数の1段階から紹介してきた様々な学習が、ここで「数の理解」につながります。
さて、自分の羊の増減を知ることができた昔の人ですが、石を持ち歩けば「隣の家の羊と自分の家の羊を比較できる」ことに気づきます。山の木の数であればひもで確認できることにも気づきます。しかしどうにも不便です。
そこで、さらに偉大な発明がされました。それが「数詞をつくる」ということです。羊も、石も、りんごも、人も、〇は「イチ」、〇〇は「ニ」、〇〇〇は「サン」、〇〇〇〇は「ヨン」、〇〇〇〇〇は「ゴ」という言葉で表します。これは冷静に考えるととても不思議なことです。「りんごが◎◎◎あることと、おにぎりが△△△あること」はまったく別の事象であるはずですが、ともに「サン」という言葉で言い表してしまう。地球と米粒はまったく別のものですが、ともに「イチ」という言葉で言い表してしまう。ものすごく高度な思考です。
数詞はとても便利ですので、多くの場合、数詞と指を組み合わせるなどして、それで十分だとした地域も多いのですが、さらに一歩進み、「数詞に対応する文字を作ると、記録に残せる」ということに気づいた人たちもいます。それが数字の発明です。
楔形文字、ローマ数字、漢数字、ヒエログリフ…といったことになります。数字の発明から学問としての数学が発展していきます。世界にはほかにも様々な数字があります。現在、日本でもっともポピュラーな「3」の算用数字もそのひとつです。
ざっと紹介してきましたが、数の本体は「数量」であり、それを言葉にしたものが「数詞」、そして数詞を文字にしたものが「数字」ということになります。人類が数千年かけて編み出した知恵であり、これを学習していくのが2段階くらいまでの学習になります。つまり、学ぶ順序は「数量」→「数詞」→「数字」が基本ということになります。
3までは数量だけで学べるかもしれませんが、4以上になると数詞、数字もセットでないと学ぶことが難しいでしょう。1段階が3まで、2段階が3以上なのはそういうことなのかと思われます。そして3段階では10以上の数を学び、数字を駆使し、思考するという世界に入っていきます。
23段階算数 教材紹介③「5といくつ」で6~9を把握するための教材
用途
3までの数量、5までの数(数量/数詞/数字)を身につけたところで、「6から9」にいきます。6789とくると続けて「ジュウ」と行きたいところですが、「ジュウ」は数量、数詞はともかく、数字としての「10」を扱う際には慎重に取り入れていきましょう。
*「10」というのはひとつの数字ではなく、あくまでも「1」と「0」という2つの数字と、その位置関係で〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇という数量と「ジュウ」という数詞を表現しているものです。この「算用数字を使った十進位取り記数法」については、いずれ紹介します。
これまでも紹介してきました通り、数量の「5」をできるだけ素早くとらえる力が重要です。なぜならばいくら数詞、数字の知識があり、様々な工夫をこらすことができる大人であっても、瞬間的に6から9、そしてそれ以上の数量を捉えることは困難だからです。そのため、「5といくつ」で整理することにより、数量を捉えやすくします。〇〇〇〇〇〇〇〇を一瞬でとらえることは難しいですが、〇〇〇〇〇/〇〇〇とすることで「8」と即答できる力を育てます。これは自然に身につく力ではなく、算数科として学習しないと身につかない力です。
なお、なぜ「5といくつ」であって「3といくつ」「4といくつ」「6」といくつでないかといえば、我が国の数が十進法を基本としているためです。十進法であるために、その半分の5も切りの良い数となり、「5といくつ」で数を整理するのが便利となります。
さらになぜ十進法かといえば人の両手の指が基本的に10本だからです。しかし世の中、すべてが十進法というわけでもありません。2進法、4進法、12進法、20進法、30進法、60進法、360進法など様々なものがあります。江戸時代のお金も「1両=4分=16朱」というように4進法でしたし、12進法も便利です。10個のものは2人、5人、10人でしか等分できないのに対し、12個のものは2人、3人、4人、6人、12人で分けられます。
作成方法
こちらは、板を1枚、2枚、3枚、4枚、5枚で接着したものです。5については黒く塗り、「まとまり」であることを意識しやすいようにしてあります。基本的に、1から10までの数量を並べる教材として想定しています。なお、この板ですが、40mm×40mm×10mmのものです。数年前までは8枚120円ほどで売られていたのですが、R8年現在では取り扱いがなく、自分でカットする必要があるかもしれません。
こちらは同じコンセプトながら、より手間のかかっている教材です。基本的には「5×2」の「マトリクス」の教材と同じ作り方です。ただ、土台の厚みを3枚重ねにしてあります。最初に2枚重ねの板の状態で枠を作り、そこにボール盤で直径8mmの穴を開け、貫通させます。そこに長さ120mm、太さ8mmのアクリルの棒を固定します。このアクリルの棒は、長さ、太さを指定して特に業者に発注したものです。
木片は5枚重ねのものは上記の教材と同じく、接着したうえで黒く塗っています。あとの木はバラの状態になっています。なお、バラの木には直径10mm、5のまとまりの木には直径15mmの穴を開けています(穴を太くしないと引っかかりやすくなる)。
他の教材
「5といくつ」ということを意識するとき、非常に扱いやすいのがこの「卵入れ」です。百円均一の店で買えますが、非常に利便性の高いものです。様々な具体物を「5といくつ」で整理しやすくなります。数字を入れているものもあります。
ここで、教材紹介②のところで紹介した、大量生産した5本の束が活用されます。「7本取って」といった教員からの要求に、「木の棒を1本ずつ、7本取って出す」のではなく、「5の束と2本」を取って出す、といった学習を行っていきます。
いずれ紹介しますが、このタイルカードも基本的な教材となります。また、次回、そしてその次に紹介する「お金」「アナログ時計」もまた、おのずと「5のまとまり」を意識しやすい教材となります。
23段階算数 教材紹介④お金の桁を揃える教材
用途
算数科はそれそのものとして非常に系統だった教科ですが、それを実地で生かす、生活で生かすことによって学びが深まります。また、買い物といった生活科の学びとの親和性も高いです。
ここでは「お金の桁を揃える教材」を紹介します。紹介する順序としてあれ?と思われる方もいるかもしれませんが、こではお金の学習そのものというよりも、ここで「〇百 〇十 〇」といった言い方になじむこと、また、「500」「50」「5」といったものが十進法の中で「区切りの良い数」であると学ぶことを目的としています。お金という身近な、必然性のあるものを通してそれらになじむことで、今後「数と計算」としても2桁、3桁の数を学びやすくなっていきます。
そもそも、子どもは「5」というものが「切りのよい数」であることを知りません。ですが、お金や次に紹介する「アナログ時計」などは、必然的に「5といくつ」で扱っていくものです。そのため、「5」というものの価値を学びやすくなります。
余談ですがここでは「五百円玉」「百円玉」「五十円玉」「十円玉」「五円玉」「一円玉」の使用を想定していますが、「五円玉」だけは漢数字しか書かれていません。外国の方も、五円玉に戸惑うそうです。ここでは「5」と算用数字で書いたシールを貼っています。
また、金銭を学ぶことで「5」がわかりやすくなる、というのは硬貨で学習する場合です。また、そろばんを扱うことでも同様の効果が期待されます。が、お金がデジタル化され、数字としてしか扱われなくなると、どうでしょう。「5」が特別なものであるということがつかみにくくなるのではないでしょうか。
<お金の学習のステップ>
1.6種の硬貨を弁別する(五百、百、五十、十、五、一円玉)
2.各硬貨の名前を言う
3.「百円玉」「十円玉」「一円玉」それぞれ1種だけで数え上げ、「〇百円」「〇十円」「〇円」といった呼び方になじむ
4.「百円玉」「十円玉」もしくは「十円玉」「一円玉」の2種類を用い、「〇百〇十円」あるいは「〇十〇円」といった呼び方になじむ
5.五百/百円玉、五十/十円玉、五/一円玉をそれぞれセットにして弁別する
*今回紹介している教材は、このためのものです。
6.「五百円玉」「五十円玉」「五円玉」をまじえて「〇百円」「〇十円」「〇円」と数える
7.「五百円玉」「五十円玉」「五円玉」をまじえて「〇百〇十円」「〇十〇円」と数える
といった手順で進めていきます。これらの学習を通して「5」というものの価値を学んでいきます。また、このまま金銭の学習を進めますと、980円の買い物で980円ちょうど出す、あるいは千円札を出す、といったことになっていきます。
*現代において、しかも手先の使いにくい子たちが現金を扱う必要があるだろうか? プリペイドカードでも、スマホのアプリでもよいのではないだろうか?という疑問もあります。が、現金を扱うことによって身につく金銭感覚、数の感覚もあるのではないでしょうか。
作成方法
これまで紹介してきました様々な教材同様、MDF板を重ねて使っています。1枚をくり抜き、もう一枚で底をふさいでいます。
23段階算数 教材紹介⑤アナログ時計教材
用途
アナログ時計で「時刻が読める」「時間が分かる」ということそのものも重要なのですが、ここでは「5のまとまりを知るための手段」としての時計の学習を紹介します。
前提①:アナログ時計を扱う前に、デジタル時計を扱います。デジタル時計によって「〇時〇分」という言い方になじんでおきます。
前提②:「時刻」と「時間」は違います。「時刻が読める」だけで「時計が分かっている」とされることもあるようですが、それだけでは十分ではありません。「時刻」はその瞬間が〇時〇分であるか、ということ。「時間」は〇時〇分から〇時〇分までの「時の流れの量」です。そのため、「時刻」はデジタル時計の方がわかりやすいですが、「時間」の場合、時計の針が動くアナログ時計の方がわかりやすい、ということもあります。ここでは時刻のみを紹介していきます。
この場合、重要なのは長針の読み、つまり「〇分」の読みなのですが、せっかくなので短針の読み、「〇時」も扱います。いきなりですが、同じ盤面で「短針」「長針」それぞれの読みが異なる、というのは非常に難しいことです。数字の12のところに針があるとき、12時であり、0分であるというのは子どもにとって、とても不思議なことでしょう。漢字に音読みと訓読みといった複数の読み方があることの難しさにも通じます。「長針」「短針」を理屈として学ぶことがまだ難しい場合、一度別の学習を行い、しばらくしてから再度取り組むとよいのではないでしょうか。
2段階相当のこの時点では、「正時の読み(〇時ちょうど)」だけなど短針はごくあっさりと扱い、長針も「~30分まで」の扱いが想定されます(30分以降は短針がさらに難しくなる)。5分、10分、15分、20分…と5飛ばしで読み、「5といくつ」「10といくつ」で数を整理していくことになじんでいきます。繰り返しますが、この時点ではアナログ時計の読みを完全に獲得することは難しいはずです。
「5のまとまり」を学ぶために紹介しているアナログ時計ですが、逆に、数の理解が進んでから扱うと、理解しやすいかもしれません。
なお、ダイヤル等ではなく、時計の針を直接動かせる教材が扱いやすいかと思われます。
23段階算数 教材紹介⑥スライドタイル
用途
引き続き「5のまとまり」を意識するための教材となります。計数、つまり数量を数え上げるためのものです。右から左へと、「1、2、3…」とタイルをスライドさせつつ数え上げるのですが、「5」については、黒のタイルをまとめて接着してあります。そのため、「5! …6 7」と数え上げることになります。
作成方法
<タイル部分>
タイルそのものはホームセンターで売っている市販品です。縦横共に25mmのものです。白タイル(1つずつのバラ)につきましては、2枚重ねにしてボンドで固定しています。黒タイルにつきましては、プラスティックの下敷きを芯にして、5枚ずつを固めています(上下ともに5枚ずつ固めているため、計10枚使用)。
<枠部分>
百円均一の、外形257×97×35mmの木箱を2つ、連結させます。連結のさせかたは1段階の教材紹介をご覧ください。長くした箱の中に、450mm×80mm×5mmのMDF板(A3の板を細長く切ったもの)を5枚、接着します。これで箱が安定します。
アタッチメント部分を作ります。450mm×80mmの板を用意したうえで、25mmのタイルが17個入るよう、430×27mm程度の穴をくりぬきます。
台紙を用意します。台紙は数字を入れてあるバージョンと、数字のないバージョンを表裏にしてラミネイト加工します。この際、A3のラミネイト用紙を使用しますが、「斜めに使わないと」入らないのでご注意ください(やってみるとわかると思います)。
箱→台紙→アタッチメントと重ね合わせて完成です。枠の原材料は500円程度ですが、タイルにそれなりの費用がかかります。タイルは破損しやすい、というデメリットもあるのですが、すべりがとても良いので採用しています。
23段階算数 教材紹介⑦タイルカード
用途
引き続きタイル系の教材の紹介となります。やはり、「5」をまとめて表し、「5といくつ」で数量が把握しやすいように工夫しています。この教材は本来、立体のタイルを板に貼るなどして用意したかったところなのですが、費用的に、労力的に、現実的に難しく、印刷物で代用しています。
10以上、100以上といったものはこのような表記にしています。「5のまとまり」を意識しやすいように。
1000以上につきましては、特にカードの規格を新たに作って用意しました。
23段階算数 教材紹介⑧5×5の位置把握教材
用途
見本合わせの教材となります。これまでに紹介してきました3×2や3×3のものよりもさらに難易度が上がっています。このくらい空間を捉える力が育ってくると、数量ですとか、図形とかを捉えていくことにつきましても、余裕をもって取り組むことができるようになっていきます。
見本と手元のものとの角度をずらすことにより、頭の中で図形的なイメージを動かしていく力もつけることができます。こういった力が、合同ですとか、相似ですとか、展開図ですとか、角度の学習といったことの基礎にもなっていきます。
この教材は、ペグを重ねていくことにより、さらに難易度を上げることもできます。
作成方法
土台は225mm×225mmのMDF板です。A3のMDF板をうまく使います。土台は3枚重ねにしますが、うち2枚にドリルで穴をあけ、そこにダボを埋め込んでいきます。
ダボは直径6mmのもの。穴を開けるドリルも同サイズのものを使用します。なお、ハンドドリルを使うとぶれやすいので、ボール盤を使用するとよいでしょう。ダボは等間隔で配置していきます。
使用するペグとしましては、穴の開いた積み木といった無意味情報。指人形といった有意味情報、それぞれを用意してあります。
23段階算数 教材紹介⑨5×5のマトリクス(二次元属性分類)
用途
1段階で紹介した3×3のマトリクス(2次元属性分類)の発展版です。シンプルに縦横が拡張され、難易度が上がっています。縦横の表札を見比べる力、表の見方の理解が、百ます計算などにもつながっていきます。
平面の絵のもの、半立体のものとがあります。
作成方法
3×3のときと、基本的には変わりません。ペグのサイズを50mmとしますと、枠は52mm四方程度のスペースが空くように計算して木をカットするとよいでしょう。ぴったりしすぎますと、入らなくなってしまいます。ある程度、遊びがある方がよいでしょう。
なお、この5×5のサイズですと、百円均一で入手できるA3サイズでは足りません。ホームセンター等で、より大きなサイズの木を購入して土台にする必要があります。